10-2ED、10-2.5ユウナ様行方不明事件以降と10-2LM未満。
10-2真EDザナルカンドに向かう旅の連絡船リキ号乗船中。無印の時のワカルル会話のところのイメージですが船のあれこれを確認できてないのであくまでイメージです。
非合体のちょいえろティユウです。ティーダはいまいちきまってないです。残念ティーダがいるのでかっこいいティーダご所望の方は逃げてくださいませ。
10-2.5でユウナ死人化しててティーダはそれを知ってる自分設定です。
10-2真EDザナルカンドに向かう旅の連絡船リキ号乗船中。無印の時のワカルル会話のところのイメージですが船のあれこれを確認できてないのであくまでイメージです。
非合体のちょいえろティユウです。ティーダはいまいちきまってないです。残念ティーダがいるのでかっこいいティーダご所望の方は逃げてくださいませ。
10-2.5でユウナ死人化しててティーダはそれを知ってる自分設定です。
真面目に誠実に
ユウナは俺に何か隠し事をしている。俺もユウナに隠し事をしている。お互い様なんだ。
スピラに帰ってきたあの日の晩、俺はユウナと練習船オーラカ・エース号に乗った。嵐が近づいていると知っていたら操舵輪を握るユウナの手を握らなかった。適当に舫わず、ユウナを抱き締めたりもしなかった。
ごめん――なんかじゃ片付けられないし、どう詫びたらいいのかわからない。それに言えないんだ。言ってしまったらユウナの物語が終わってしまうかもしれない。
俺はあの旅で自分の物語を一度終わらせた。自分で考えて自分で決めた。本人が納得してのことだ。客観的に考えてもまだいい方だと思う。けど、ある日突然、自分以外の奴に自分が何者であるか事実を突きつけられたらどうなるんだ?自分でなんとなく気づいたんなら、考える時間がある。でも、その考える時間がなかったら?多分、物語は最悪の結末を迎える。それくらいはバカな俺でもわかる。
アーロンはユウナレスカにやられて死人になった。アーロンには自覚があった。けれど異界へ行かなかったのは、ユウナと俺のことがあったから。大切な仲間だったユウナのオヤジさんと俺のオヤジ、本人たちに自分の子どものことをよろしくって頼まれてたんだ。簡単に死ねるわけないよな。
でも、ユウナは?今のユウナに、シンを倒す旅の時のような強い気持ちってあるのか?アーロンみたいな何が何でもこの世にとどまなければならないっていう強い意志――執念。それほどのスピラへの未練ってあるのか?俺……とか?いや、まさか。確かにユウナは俺のことを好きだし、俺のことも受け入れてくれてる。でも、メチャメチャすごく愛してくれてるってわけじゃないよな。仲間としても、彼氏彼女としても、ついこの間からって感じだし、ユウナも言ってたようにお互い知らないことは想像以上にいっぱいあると思う。そんな今の俺たちの間に、執念とか愛憎とかに匹敵するような強い想いがあるとは正直、思えない。つうか、俺、ユウナと愛憎劇繰り広げたくないッス。めくるめく愛の、すっげぇ奥まで深い愛と官能の物語を……とかいやらしい目でユウナのことをみるとユウナ本人に怒られそうだな。まあ、怒られはするけど憎まれたりはするかな、しなさそう。ユウナってなんだかんだで全部許してくれそうだもんな。あ、でも憎まれちゃうかも。俺、ユウナにとっては二年も行方不明な何回もキスしまくった友達以上恋人未満な奴だった。改めて考えると俺って薄情な男だな~。ユウナ、よく俺のこと好きだって言ってくれたよな、ホント。俺が女なら俺みたいな男、絶対お断りだし。すごいなユウナ、俺のこと、結構好きでいてくれてるんだな。ああ、なんか、ユウナが相手なら愛憎路線でもいい気がしてきた。憎まれるほど愛されたいかも。
愛憎って言ったらこの間のクシュたちだよな。召喚獣になってまで好きな人を召喚し続けたクシュ。記憶を消されても何度もビサイドに、クシュに辿りつくブライア。そのブライア自身は、千年前の戦争最中で復讐を誓ったヴァルムの執念とクシュの想いを糧に自分をスピラに存在させていた。
千年前の亡霊――。
ユウナのスフィアハンターの旅のきっかけになった千年前のザナルカンドに実在していた歌姫召喚士の彼氏も亡霊。いや、ユウナは違うって言ってた。けど、シューイン本人じゃないって言っても、どこがどう違うんだ?
千年前、ブライアは一度死んだ。その死を受け入れずにブライアだった幻光を集めたのはクシュ。クシュの願いを叶えるようにスピラに生き続け、昔の記憶を取り戻すと千年前の復讐を果たした。
確かに俺はブライアをほとんど知らない。ユウナについて聞かれたり、回りくどい言い回しにイラついた印象しかない。あの僅かな時間のブライアしか知らない。けど、あのブライアは本人だったと思う。ブライア自身が死人の余生を望んでいなかったとしても千年前に死んだはずのブライア本人だと、ユウナの話を聞いてそう感じた。
影と結びついた本人じゃないシューインは、本当にシューインじゃなかったのか?恋人レンとただ幸せに暮らしたかっただけなんだろうけど、戦争でそれが叶わなくて敵地に潜りこんで兵器を奪おうとした。戦争を恨んでなかったのか?敵を恨んでなかったのか?敵地に潜り込むってなんだよ。死ぬつもりだったのか?レンもどうせ死ぬって諦めたから自棄になったのか?
俺ならそんなことはしない。ユウナの手を離したりしない。絶対に一緒につれてく。でも、ごめん。一度は俺から手を離した。仕方なかったんだ。だって、夢じゃユウナに触れない。
俺のザナルカンドを召喚していたシンという殻に守られた千年前の召喚士だったはずのエボン=ジュを倒して召喚はされなくなった。よって、召喚されることによって存在した街の住人だったザナルカンド・エイブスのティーダは覚める夢とともに消滅。
なのに、戻った。あの暗い海で目覚めた時、バハムートの祈り子の声に起こされたように感じた俺は本当に本物なのか?変わらずにまだ祈り子の夢なのか?それとも本当にユウナが呼んだ?ユウナに呼ばれた俺は、ユウナの……召喚獣……とか?いやいやいや、ない。魔物出たから倒して!とか命令されてない。俺がフラタニティを振りかざす前にユウナはタイニービーで魔物は瞬殺だし充填もすげぇ速いし。俺は誰かの夢とか召喚獣とか、そんなんじゃない……と思いたいだけかも。ん?じゃあ、そういう感じでユウナも前と変わらないって思えばいいのかな。
召喚士の旅で一緒だった俺の知ってるユウナ。スフィアハンターの旅をしていた俺の知らないユウナ。そしてユウナと俺のらっぶらぶな物語に出てくるユウナ。真面目なユウナは、これから知る自分のことや、戻ってきた俺のことや、過去のスピラのことなんかでいっぱい辛い思いをするかもしれない。けど、大丈夫。俺は何があってもユウナの味方だし、俺からはもうユウナの手を離したりしない。ユウナは前と変わらないし、俺も前と変わらない。だから、前と変わらずにお互いに知らないところもいっぱいある。知らないことは、これから知っていけばいいだけだし、どうやって存在してるか、なんて案外どうでもいいのかも。ここにいることがユウナと俺の真実なんだ。
みんな亡霊だ、ユウナ送ってやれ――アーロンならそう言うかもしれない。けど、アンタもそんなこと言えた立場かよ!!って異界に向かって言い返してやるッスよ。
うーん、なんていうか、初めてスピラに来た時となんか似てるんだ。俺が呼ばれた理由が漠然とだけど、なんかとてつもない何か重大な秘密っていうかなんていうか……。
「アーーーーーッッ!!」
ティーダの大きな声が甲板に響いた。青空で泳ぐスピラカモメをティーダの傍らで眺めていたユウナは、ぎょっとしてティーダを見る。
「どうしたの?」
「あー、ごめん。ちょっと難しいこと考えてたらこんがらがってきて叫んでみた」
と、小首をかしげる。
「ホントにびっくりしたよ。考え事って?」
「ベクレムシュート対策」
ティーダはブリッツボールを蹴るような仕草で返し、ユウナはくすりと笑った。
「練った対策、他のチームに教えないでね」
「あ、そっか。俺、オーラカだったな。いや、でも他のチームでも打てる奴いんじゃないの?」
「うーん、どうだろ。最近どこのチームもいい選手所属してるからいるかも?でも、ジェクト様シュート3号はジェクトさんとキミだけだよ」
「ウッス。打てるように頑張るッス」
視線を落として答えるティーダにユウナは気遣う。
「ねえ、そんなに体、鈍ってるの?わたしが練習を見に行くとかっこ悪くて恥ずかしいからってキミはひとりで練習しに行っちゃうし……」
「今度からは逃げないよ。かっこ悪くても、それも俺だもんな」
柔らかい表情で誓うティーダにユウナは頷いた。
「ユウナも俺から逃げんなよ~?」
冗談めかしながら疑われ、ユウナは笑顔でうんうんと頷く。
「ホントかな~、怪しいな~」
と、ティーダはユウナの手を取り、指を絡ませて握った。人目から隠れるように帆柱を回り込み、ユウナを導く。柱を背にしたユウナの頬にそっと触れ、見上げた彼女の唇を奪う。舌を優しく擽ると細い腰が揺れた。ティーダはユウナの膝の間に割り込ませた太腿でユウナの肢体を支えながら帆柱へと縫いつける。体の自由を奪われ、逃げ出したくなるが唇を甘く犯され、心も体も身動きが取れず、観念したようにユウナのくぐもった声があふれた。小さな水音の合間に伝わってくるユウナの声が可愛らしい。揺れたユウナの腰がティーダの太腿の上で揺れると、ティーダの両手が二つの膨らみを撫でる。手の平で転がされた頂は凝り固まり、次の刺激を欲しそうなユウナの腰を再び揺らす。
「んっ、はぁ、ダメ、こんなところで、ダメだよ……」
眉を下げたユウナに抗議され、ティーダの口端が上がる。
「うん。けど、ユウナが俺の足を挟んで擦るからさ。ちょっとそういう気分になっちゃって……」
「わ、わたしが挟んだんじゃないもん。キミが押しつけてくるから」
「何を?」
すっとぼけた顔で言われてユウナの唇が尖る。
「太もも……」
少しむくれたユウナにティーダは更なるすっとぼけをかます。
「そっか、太ももじゃない別のモノのほうがいいのか。ユウナのエッチ」
「なっ……!」
顔を真っ赤にし、言葉なく憤慨するユウナにティーダは顔を綻ばせた。
「ごめんごめん。ユウナがかわいくてつい……」
と、ティーダはユウナの耳に口づける。
「ユウナ、ごめんな」
囁くティーダの吐息が耳にかかる。肩を竦ませた彼女を追い立てるようにティーダの舌先がユウナの耳を這う。
「やっ、あ、ティーダっ、ダメっ」
ぞくりとしたものが耳から全身へと駆けた。ティーダにしがみつくユウナはびくびくと体を揺らす。
「じゃあ、ここ、こんなに硬くしちゃったらダメだよ」
と、ティーダの右の人差し指がユウナの左胸の頂に触れた。転がされ、ユウナは口元を右手で覆う。
「ん、そんな触り方したらダメ、ぁんっ」
触れられていない右の頂が疼く。今されているような触り方をされたら気持ちがいいはずだと想像して服の布地に擦られただけでじんとする。
「ユウナ、右も触って欲しい?」
触れて欲しいと思いながらもユウナは首を横に振った。いつ人が来るかわからないこんなところでお願いすることではない。
「俺は、ユウナの硬くなってるこっち側のここ、舐めたい」
耳元で囁かれ、ユウナは目をぎゅっと瞑った。
わざとだ。わざといやらしく誘って面白がってるだけだ。ユウナは自分を弄ぼうとするティーダに毅然と言い放つ。
「そんなのダメです!絶対ダメ!」
予想外の拒絶にティーダは我に返った。
「ご、ごめん!」
ユウナから離れ、頭を下げる。
「俺、いろんなことから逃げないで立ち向かう覚悟でいようって決めたんだけど、そっちの欲にはところ構わず真っ当に立ち向かったらダメだって今、わかった。ホントごめん!」
頭を下げたままのティーダに声をかける。
「うん、もういいよ」
「うん……」
と、まだ頭を下げたままのティーダにユウナは小首を傾げる。
「あの、さ……、その、舐めたりするの絶対ダメ?」
訊かれてユウナは笑みをこぼした。
「絶対ダメ……じゃないけど、他に人がいるところではダメ」
「了解ッス」
ティーダは顔を上げ、ユウナの服のエイブスマークを見つめた。
「やっぱさぁ、その服やめない?」
「どうして?」
「どうしてって、ユウナわかってないの?」
「何を?」
「おっぱい揺れるの見ちゃうの。見る気なくても自然と視線がそっち行くし、俺はユウナの彼氏だから、唯一そういうの許されるし、いつでも触れるとかは思ってないけど、つい触りたくなるの」
ティーダの暴露にユウナは目を丸くした。
「ホントは誘われてないって理解しててもユウナっていう存在だけで俺、誘われてる?とか思っちゃうのに、更にその服はダメ。反則ッスよ。あの黒の水着姿の時なんて大変だったんだから」
「大変って?」
「下半身事情が」
と、曝け出したティーダの顔は真っ赤だった。
恥ずかしいのであれば言わなければいいのに敢えて掘り返すティーダが可笑しかった。
――今度からは逃げないよ。かっこ悪くても、それも俺だもんな――
――俺、いろんなことから逃げないで立ち向かう覚悟でいようって決めたんだけど、そっちの欲にはところ構わず真っ当に立ち向かったらダメだって今、わかった。ホントごめん!――
ティーダの言葉を思い返したユウナは彼なりの誠意を感じ、自分もそうありたいと心の中で頷いた。
ユウナはティーダの両手を掴み、自分の両胸に触れさせる。
「ユ、ユウナ?!」
「さっきね、ホントは触って欲しかったの」
「えっ」
「でも、ここじゃダメ。でも、キミに触られるのは嬉しい。……わたしが言いたいこと、わかる?」
「そっか、よかった」
と、ティーダは安堵の表情でユウナを抱き締めた。
「ただいま……」
ぼそりと呟くティーダにくすりと笑ってから応える。
「おかえりなさい」
ユウナの手に優しく頭を撫でられ、ティーダの気が弛んだ。
「ん~、ユウナぁ。ダメだって思いながら感じてるユウナ、かわいかったッス~」
返事の代わりによしよしと撫でられ、ティーダはユウナの首に口づけた。ユウナから口づけの跡をつけないでと釘を差され、そのつもりもなかったが、思わず跡をつけてしまったこととなる。それを内緒にしていたティーダはポルト=キーリカに到着した途端、ユウナの大目玉をくらった。
スピラに帰ってきたあの日の晩、俺はユウナと練習船オーラカ・エース号に乗った。嵐が近づいていると知っていたら操舵輪を握るユウナの手を握らなかった。適当に舫わず、ユウナを抱き締めたりもしなかった。
ごめん――なんかじゃ片付けられないし、どう詫びたらいいのかわからない。それに言えないんだ。言ってしまったらユウナの物語が終わってしまうかもしれない。
俺はあの旅で自分の物語を一度終わらせた。自分で考えて自分で決めた。本人が納得してのことだ。客観的に考えてもまだいい方だと思う。けど、ある日突然、自分以外の奴に自分が何者であるか事実を突きつけられたらどうなるんだ?自分でなんとなく気づいたんなら、考える時間がある。でも、その考える時間がなかったら?多分、物語は最悪の結末を迎える。それくらいはバカな俺でもわかる。
アーロンはユウナレスカにやられて死人になった。アーロンには自覚があった。けれど異界へ行かなかったのは、ユウナと俺のことがあったから。大切な仲間だったユウナのオヤジさんと俺のオヤジ、本人たちに自分の子どものことをよろしくって頼まれてたんだ。簡単に死ねるわけないよな。
でも、ユウナは?今のユウナに、シンを倒す旅の時のような強い気持ちってあるのか?アーロンみたいな何が何でもこの世にとどまなければならないっていう強い意志――執念。それほどのスピラへの未練ってあるのか?俺……とか?いや、まさか。確かにユウナは俺のことを好きだし、俺のことも受け入れてくれてる。でも、メチャメチャすごく愛してくれてるってわけじゃないよな。仲間としても、彼氏彼女としても、ついこの間からって感じだし、ユウナも言ってたようにお互い知らないことは想像以上にいっぱいあると思う。そんな今の俺たちの間に、執念とか愛憎とかに匹敵するような強い想いがあるとは正直、思えない。つうか、俺、ユウナと愛憎劇繰り広げたくないッス。めくるめく愛の、すっげぇ奥まで深い愛と官能の物語を……とかいやらしい目でユウナのことをみるとユウナ本人に怒られそうだな。まあ、怒られはするけど憎まれたりはするかな、しなさそう。ユウナってなんだかんだで全部許してくれそうだもんな。あ、でも憎まれちゃうかも。俺、ユウナにとっては二年も行方不明な何回もキスしまくった友達以上恋人未満な奴だった。改めて考えると俺って薄情な男だな~。ユウナ、よく俺のこと好きだって言ってくれたよな、ホント。俺が女なら俺みたいな男、絶対お断りだし。すごいなユウナ、俺のこと、結構好きでいてくれてるんだな。ああ、なんか、ユウナが相手なら愛憎路線でもいい気がしてきた。憎まれるほど愛されたいかも。
愛憎って言ったらこの間のクシュたちだよな。召喚獣になってまで好きな人を召喚し続けたクシュ。記憶を消されても何度もビサイドに、クシュに辿りつくブライア。そのブライア自身は、千年前の戦争最中で復讐を誓ったヴァルムの執念とクシュの想いを糧に自分をスピラに存在させていた。
千年前の亡霊――。
ユウナのスフィアハンターの旅のきっかけになった千年前のザナルカンドに実在していた歌姫召喚士の彼氏も亡霊。いや、ユウナは違うって言ってた。けど、シューイン本人じゃないって言っても、どこがどう違うんだ?
千年前、ブライアは一度死んだ。その死を受け入れずにブライアだった幻光を集めたのはクシュ。クシュの願いを叶えるようにスピラに生き続け、昔の記憶を取り戻すと千年前の復讐を果たした。
確かに俺はブライアをほとんど知らない。ユウナについて聞かれたり、回りくどい言い回しにイラついた印象しかない。あの僅かな時間のブライアしか知らない。けど、あのブライアは本人だったと思う。ブライア自身が死人の余生を望んでいなかったとしても千年前に死んだはずのブライア本人だと、ユウナの話を聞いてそう感じた。
影と結びついた本人じゃないシューインは、本当にシューインじゃなかったのか?恋人レンとただ幸せに暮らしたかっただけなんだろうけど、戦争でそれが叶わなくて敵地に潜りこんで兵器を奪おうとした。戦争を恨んでなかったのか?敵を恨んでなかったのか?敵地に潜り込むってなんだよ。死ぬつもりだったのか?レンもどうせ死ぬって諦めたから自棄になったのか?
俺ならそんなことはしない。ユウナの手を離したりしない。絶対に一緒につれてく。でも、ごめん。一度は俺から手を離した。仕方なかったんだ。だって、夢じゃユウナに触れない。
俺のザナルカンドを召喚していたシンという殻に守られた千年前の召喚士だったはずのエボン=ジュを倒して召喚はされなくなった。よって、召喚されることによって存在した街の住人だったザナルカンド・エイブスのティーダは覚める夢とともに消滅。
なのに、戻った。あの暗い海で目覚めた時、バハムートの祈り子の声に起こされたように感じた俺は本当に本物なのか?変わらずにまだ祈り子の夢なのか?それとも本当にユウナが呼んだ?ユウナに呼ばれた俺は、ユウナの……召喚獣……とか?いやいやいや、ない。魔物出たから倒して!とか命令されてない。俺がフラタニティを振りかざす前にユウナはタイニービーで魔物は瞬殺だし充填もすげぇ速いし。俺は誰かの夢とか召喚獣とか、そんなんじゃない……と思いたいだけかも。ん?じゃあ、そういう感じでユウナも前と変わらないって思えばいいのかな。
召喚士の旅で一緒だった俺の知ってるユウナ。スフィアハンターの旅をしていた俺の知らないユウナ。そしてユウナと俺のらっぶらぶな物語に出てくるユウナ。真面目なユウナは、これから知る自分のことや、戻ってきた俺のことや、過去のスピラのことなんかでいっぱい辛い思いをするかもしれない。けど、大丈夫。俺は何があってもユウナの味方だし、俺からはもうユウナの手を離したりしない。ユウナは前と変わらないし、俺も前と変わらない。だから、前と変わらずにお互いに知らないところもいっぱいある。知らないことは、これから知っていけばいいだけだし、どうやって存在してるか、なんて案外どうでもいいのかも。ここにいることがユウナと俺の真実なんだ。
みんな亡霊だ、ユウナ送ってやれ――アーロンならそう言うかもしれない。けど、アンタもそんなこと言えた立場かよ!!って異界に向かって言い返してやるッスよ。
うーん、なんていうか、初めてスピラに来た時となんか似てるんだ。俺が呼ばれた理由が漠然とだけど、なんかとてつもない何か重大な秘密っていうかなんていうか……。
「アーーーーーッッ!!」
ティーダの大きな声が甲板に響いた。青空で泳ぐスピラカモメをティーダの傍らで眺めていたユウナは、ぎょっとしてティーダを見る。
「どうしたの?」
「あー、ごめん。ちょっと難しいこと考えてたらこんがらがってきて叫んでみた」
と、小首をかしげる。
「ホントにびっくりしたよ。考え事って?」
「ベクレムシュート対策」
ティーダはブリッツボールを蹴るような仕草で返し、ユウナはくすりと笑った。
「練った対策、他のチームに教えないでね」
「あ、そっか。俺、オーラカだったな。いや、でも他のチームでも打てる奴いんじゃないの?」
「うーん、どうだろ。最近どこのチームもいい選手所属してるからいるかも?でも、ジェクト様シュート3号はジェクトさんとキミだけだよ」
「ウッス。打てるように頑張るッス」
視線を落として答えるティーダにユウナは気遣う。
「ねえ、そんなに体、鈍ってるの?わたしが練習を見に行くとかっこ悪くて恥ずかしいからってキミはひとりで練習しに行っちゃうし……」
「今度からは逃げないよ。かっこ悪くても、それも俺だもんな」
柔らかい表情で誓うティーダにユウナは頷いた。
「ユウナも俺から逃げんなよ~?」
冗談めかしながら疑われ、ユウナは笑顔でうんうんと頷く。
「ホントかな~、怪しいな~」
と、ティーダはユウナの手を取り、指を絡ませて握った。人目から隠れるように帆柱を回り込み、ユウナを導く。柱を背にしたユウナの頬にそっと触れ、見上げた彼女の唇を奪う。舌を優しく擽ると細い腰が揺れた。ティーダはユウナの膝の間に割り込ませた太腿でユウナの肢体を支えながら帆柱へと縫いつける。体の自由を奪われ、逃げ出したくなるが唇を甘く犯され、心も体も身動きが取れず、観念したようにユウナのくぐもった声があふれた。小さな水音の合間に伝わってくるユウナの声が可愛らしい。揺れたユウナの腰がティーダの太腿の上で揺れると、ティーダの両手が二つの膨らみを撫でる。手の平で転がされた頂は凝り固まり、次の刺激を欲しそうなユウナの腰を再び揺らす。
「んっ、はぁ、ダメ、こんなところで、ダメだよ……」
眉を下げたユウナに抗議され、ティーダの口端が上がる。
「うん。けど、ユウナが俺の足を挟んで擦るからさ。ちょっとそういう気分になっちゃって……」
「わ、わたしが挟んだんじゃないもん。キミが押しつけてくるから」
「何を?」
すっとぼけた顔で言われてユウナの唇が尖る。
「太もも……」
少しむくれたユウナにティーダは更なるすっとぼけをかます。
「そっか、太ももじゃない別のモノのほうがいいのか。ユウナのエッチ」
「なっ……!」
顔を真っ赤にし、言葉なく憤慨するユウナにティーダは顔を綻ばせた。
「ごめんごめん。ユウナがかわいくてつい……」
と、ティーダはユウナの耳に口づける。
「ユウナ、ごめんな」
囁くティーダの吐息が耳にかかる。肩を竦ませた彼女を追い立てるようにティーダの舌先がユウナの耳を這う。
「やっ、あ、ティーダっ、ダメっ」
ぞくりとしたものが耳から全身へと駆けた。ティーダにしがみつくユウナはびくびくと体を揺らす。
「じゃあ、ここ、こんなに硬くしちゃったらダメだよ」
と、ティーダの右の人差し指がユウナの左胸の頂に触れた。転がされ、ユウナは口元を右手で覆う。
「ん、そんな触り方したらダメ、ぁんっ」
触れられていない右の頂が疼く。今されているような触り方をされたら気持ちがいいはずだと想像して服の布地に擦られただけでじんとする。
「ユウナ、右も触って欲しい?」
触れて欲しいと思いながらもユウナは首を横に振った。いつ人が来るかわからないこんなところでお願いすることではない。
「俺は、ユウナの硬くなってるこっち側のここ、舐めたい」
耳元で囁かれ、ユウナは目をぎゅっと瞑った。
わざとだ。わざといやらしく誘って面白がってるだけだ。ユウナは自分を弄ぼうとするティーダに毅然と言い放つ。
「そんなのダメです!絶対ダメ!」
予想外の拒絶にティーダは我に返った。
「ご、ごめん!」
ユウナから離れ、頭を下げる。
「俺、いろんなことから逃げないで立ち向かう覚悟でいようって決めたんだけど、そっちの欲にはところ構わず真っ当に立ち向かったらダメだって今、わかった。ホントごめん!」
頭を下げたままのティーダに声をかける。
「うん、もういいよ」
「うん……」
と、まだ頭を下げたままのティーダにユウナは小首を傾げる。
「あの、さ……、その、舐めたりするの絶対ダメ?」
訊かれてユウナは笑みをこぼした。
「絶対ダメ……じゃないけど、他に人がいるところではダメ」
「了解ッス」
ティーダは顔を上げ、ユウナの服のエイブスマークを見つめた。
「やっぱさぁ、その服やめない?」
「どうして?」
「どうしてって、ユウナわかってないの?」
「何を?」
「おっぱい揺れるの見ちゃうの。見る気なくても自然と視線がそっち行くし、俺はユウナの彼氏だから、唯一そういうの許されるし、いつでも触れるとかは思ってないけど、つい触りたくなるの」
ティーダの暴露にユウナは目を丸くした。
「ホントは誘われてないって理解しててもユウナっていう存在だけで俺、誘われてる?とか思っちゃうのに、更にその服はダメ。反則ッスよ。あの黒の水着姿の時なんて大変だったんだから」
「大変って?」
「下半身事情が」
と、曝け出したティーダの顔は真っ赤だった。
恥ずかしいのであれば言わなければいいのに敢えて掘り返すティーダが可笑しかった。
――今度からは逃げないよ。かっこ悪くても、それも俺だもんな――
――俺、いろんなことから逃げないで立ち向かう覚悟でいようって決めたんだけど、そっちの欲にはところ構わず真っ当に立ち向かったらダメだって今、わかった。ホントごめん!――
ティーダの言葉を思い返したユウナは彼なりの誠意を感じ、自分もそうありたいと心の中で頷いた。
ユウナはティーダの両手を掴み、自分の両胸に触れさせる。
「ユ、ユウナ?!」
「さっきね、ホントは触って欲しかったの」
「えっ」
「でも、ここじゃダメ。でも、キミに触られるのは嬉しい。……わたしが言いたいこと、わかる?」
「そっか、よかった」
と、ティーダは安堵の表情でユウナを抱き締めた。
「ただいま……」
ぼそりと呟くティーダにくすりと笑ってから応える。
「おかえりなさい」
ユウナの手に優しく頭を撫でられ、ティーダの気が弛んだ。
「ん~、ユウナぁ。ダメだって思いながら感じてるユウナ、かわいかったッス~」
返事の代わりによしよしと撫でられ、ティーダはユウナの首に口づけた。ユウナから口づけの跡をつけないでと釘を差され、そのつもりもなかったが、思わず跡をつけてしまったこととなる。それを内緒にしていたティーダはポルト=キーリカに到着した途端、ユウナの大目玉をくらった。
真面目に誠実に
Text by mimiko.
2014/04/20