まだえっちしたことない頃です。ちゅーしてます。
ユウナが「先だけじゃなくて深いのして」とか言ってます。
ちなみに前の話で結婚するまで手を出さない宣言したためにティーダがなんとか踏みとどまってます。

ほんの少しだけのつもりが

 二人掛けソファに腰掛け、スフィアテレビを見るティーダの横顔をユウナは見つめた。ティーダはユウナの視線に気づくことなく、手にしていた紅茶をテーブルに置き、スフィアテレビを見ている。
「……」
 こちらを向かないだろうかと尚もティーダの横顔を見つめるが一向に気づかず、痺れを切らせたユウナは、ティーダの腕に手を添えた。先程までスフィアテレビの映像を映していた青い瞳に自分の顔が映り、勢いのまま言ってしまおうとした言葉を飲み込む。
 てっきりスフィアテレビを見ていると思っていたティーダはユウナの何かしら思い詰めた表情に小首を傾げた。
「ん?どうした?」
「あの……」
と、言ったまま色違いの瞳を泳がせ、そのまま視線を落とす。頬を赤くして押し黙ってしまったユウナに、自分が何かしでかしてしまったのだろうかとティーダは心当たりを探った。思い当たることはなく、ティーダはとりあえず謝ってみた。
「ごめん、オレ、なんかした?」
「ううん、そうじゃなくて……」
 ティーダの手に添えていた手を、きゅっと握り、ユウナは思い切って顔を上げた。
「その、キスしちゃダメかな?」
 突然の申し出にティーダは目を丸くして瞬きを繰り返した。ユウナの顔は瞬く間に真っ赤に染まり、実際には見えないはずの湯気がユウナの頭から上がっているように見える。ティーダは、これ以上ない程のユウナの茹で上がった顔に思わず噴き出した。
「ぷっ、くっくっく」
 肩を震わせながらなんとか笑いを堪えるティーダに、ユウナは悔しそうに唇を尖らせる。
「あはは、ごめん。ユウナ、すっごく真っ赤でかわいくて、つい……」
「……だからってそんなに笑うなんてひどいよ……」
 頬を膨らませて拗ねるユウナに愛おしさが込みあがり、ティーダはユウナの頬に手を当てて親指の腹で唇を撫でる。薄く唇が開き、すぐにでも口づけたくなったがそれでは面白くないとティーダは口の両端を上げた。
「どうせならえっちなキスしよっか」
「えっ」
 言われてユウナはティーダの目を見る。
「あ、あの、ふ、普通のでいいよ」
 明らかに動揺を隠せないユウナに構わず、ティーダはにこりと微笑んだ。
「ユウナ、口開いて舌ちょっと出して」
 一度、ティーダから視線を逸らせて戻すが、変わらずの笑顔にユウナは観念したように言われるまま唇を開いて舌を出した。遠慮がちに出されたユウナの舌先を自分の舌先で擽り出す。時折、顔の角度を変えるが、唇を重ねることなく深く絡めることもなく、舌先同士だけで擽り合う。次第にユウナの舌が大きく動いて絡められそうになるが、ティーダはそれから逃れて、また変わらずに舌先だけを擽る。
「んっ、や……」
 ユウナの声が漏れ、ティーダは舌を離す。息が上がり、薄く唇を開いているユウナはティーダを切なげに見上げた。
「先だけじゃなくて、深いの、して?」
 すごいことを言われたとティーダは息を飲んだ。
 ユウナ、なんてこと言ってくれるッスか。
 ティーダは、ユウナの左胸に右手を伸ばし、手の平でやんわりとその膨らみを覆う。
「あ、ちょっ、んんっ」
 口づけられ、ユウナは言葉を失くす。ゆったりと優しい舌の動きに胸が熱くなり、眉を寄せてティーダの口づけに応える。全身の力が抜け、胸を交互に覆うティーダの手も心地よくなり、甘くくぐもった声が出る。唇をそっと離したティーダは、顔を近づけたまま謝った。
「ごめん、暴走した……」
「うん、ダメだよ。ちゃんと加減してくれなくちゃ」
「だよな。でもこれでもかなり我慢したよ?」
と、苦笑して片眉を上げる。
「胸、もっとやらしく触りたかったもん」
 あっけらかんと言われてユウナは目を丸くした。
ほんの少しだけのつもりが
Text by mimiko.
2010/12/01

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