3つの恋のお題ったー(http://shindanmaker.com/125562)の診断結果「ティーダへの3つの恋のお題:キスしたい、キスしたい、キスしたい/朝になった、夢じゃなかった/重ねた手のひら」から。
マカラーニャ聖なる泉後ナギ平原→ナギ平原旅行公司のティ→ユウなティーダ視点。
純情ティーダがいます(笑)
マカラーニャ聖なる泉後ナギ平原→ナギ平原旅行公司のティ→ユウなティーダ視点。
純情ティーダがいます(笑)
キスしたい、キスしたい、キスしたい
好きだからという気持ちよりも先に、目の前で涙を流す彼女の気持ちを軽くしたかった。
だからって、なんにも言わずにキスとか、フツーするか?
歴代の大召喚士たちがシンと戦った爪痕を遺すナギ平原。ティーダたちは道なき荒野を進んでいた。先頭を行くユウナとリュックの後ろをキマリが見守るように歩いている。続いてアーロン、その少し後にワッカとルールー。ティーダは最後尾からリュックと会話を弾ませているユウナを見つめていた。
信じていたエボンに裏切られ、べベル寺院から追われる身となってもユウナは気丈に振る舞っていた。出会った頃なら、同じ歳なのに本当にしっかりしている、大したものだと感心して終わりだっただろう。けれど、そうではない。旅を続けて少しずつ知ることができた。ユウナの真面目な直向きさ。誰にでも思いやる心を持っている優しさ。辛いことがあろうとも、いつでも笑っていたいと笑顔の練習をさせられた。意外に強引で頑固なところ。滅多に弱音を吐かない強さ。しかし、昨晩はビサイドを旅立ってから初めてユウナの弱いところをこの目にした。
でも、オレと一緒にいても、旅をやめちゃったらどこで何してても笑えないってさ、そんなのオレのほうが笑えないッスよ。シンとか召喚士の旅とか関係なく、好きな男と仕事、どっちが大事なんだってユウナに訊いたら、真顔で仕事だって答えられそうだもんな。つうか、ひょっとしてオレってユウナの好きな男じゃない?!
ティーダは歩みを止めて平原一面に生い茂っている緑の葉を視点の合わない目で眺める。
やっぱ勝手に自惚れてるだけッスかね、は、ハハハ。
俯いたまま乾いた笑みをこぼし、森の泉でのことを思い返して、頬を熱くする。
ユウナの唇、柔らかかったな。……てっ!何、鮮明に思い出そうとしてるんだよ、オレ!!ナシナシ、今のナシ!
ティーダは頭上の何かを掻き散らすように両手をぶんぶんと振ると、その手を下ろして頭を抱えた。
――かわいいだろ、好きになるなよ――
――余計なお世話かもしれないけど、ユウナを好きになっちゃダメよ――
自覚のないうちの牽制は思いのほか効いていた。確かにいつの間にか、自分の足元に線を引いていた。けれど、昨日はその線を越えた。
ワッカとルールーがそんなこと言っとくから、オレ、自分の気持ちに気づかないふりしてたんだよ。けど、あんな弱ってるユウナ見たらさ、つい、キスとかしたくなるだろ?!ふりってのも限界があるんスよ!でも、もう好きじゃないふりとかムリだからな、ワッカ!オレは……!
後ろについてきているであろうティーダの気配を感じなくなり、ワッカは振り返った。すると無言で自分を睨み上げていたティーダに怪訝な顔をする。
「どうした?ん?」
きょとんとするワッカにつられてルールーも足を止めてティーダの様子を窺う。
「何?お腹空いたの?」
「お腹空いたんだったら、もうちょっと進んだとこにリンの店、あるよ。そこでご飯しようよ」
と、リュックは腹部を擦った。その側にいるユウナとキマリも立ち止まり、ティーダの様子を窺っている。ユウナと視線を合わせてしまったティーダは、頬を赤くした。いつもの調子ではないらしいティーダが体調でも崩したのではないだろうかとユウナは、ティーダの元へ歩む。
「どうしたの?どこか、痛い?」
心配そうに青と緑の瞳がこちらを見つめる。顔だけが熱くなっていたはずが、いつの間にか耳まで熱く感じる。
「あ、いや、痛い、とかじゃなくて、あの……」
奥歯に物が挟まった口調にアーロンは溜息をついて言った。
「白魔法で腹は満たされん。そんなところで突っ立っていても腹は減るだけだ。先を急ぐぞ」
今度はアーロンが先頭を切り、一行はその後に続く。
「行こっか」
と、小首を傾げて微笑む。ユウナの笑顔を眩しく感じたティーダは、人知れず懺悔した。
ごめん、ユウナ。オレが食いたいの、そのかわいくて柔らかい唇なんだ。オレ、昨日の今日でこんなことばっか考えてる奴で、ほんっとごめん!
だからって、なんにも言わずにキスとか、フツーするか?
歴代の大召喚士たちがシンと戦った爪痕を遺すナギ平原。ティーダたちは道なき荒野を進んでいた。先頭を行くユウナとリュックの後ろをキマリが見守るように歩いている。続いてアーロン、その少し後にワッカとルールー。ティーダは最後尾からリュックと会話を弾ませているユウナを見つめていた。
信じていたエボンに裏切られ、べベル寺院から追われる身となってもユウナは気丈に振る舞っていた。出会った頃なら、同じ歳なのに本当にしっかりしている、大したものだと感心して終わりだっただろう。けれど、そうではない。旅を続けて少しずつ知ることができた。ユウナの真面目な直向きさ。誰にでも思いやる心を持っている優しさ。辛いことがあろうとも、いつでも笑っていたいと笑顔の練習をさせられた。意外に強引で頑固なところ。滅多に弱音を吐かない強さ。しかし、昨晩はビサイドを旅立ってから初めてユウナの弱いところをこの目にした。
でも、オレと一緒にいても、旅をやめちゃったらどこで何してても笑えないってさ、そんなのオレのほうが笑えないッスよ。シンとか召喚士の旅とか関係なく、好きな男と仕事、どっちが大事なんだってユウナに訊いたら、真顔で仕事だって答えられそうだもんな。つうか、ひょっとしてオレってユウナの好きな男じゃない?!
ティーダは歩みを止めて平原一面に生い茂っている緑の葉を視点の合わない目で眺める。
やっぱ勝手に自惚れてるだけッスかね、は、ハハハ。
俯いたまま乾いた笑みをこぼし、森の泉でのことを思い返して、頬を熱くする。
ユウナの唇、柔らかかったな。……てっ!何、鮮明に思い出そうとしてるんだよ、オレ!!ナシナシ、今のナシ!
ティーダは頭上の何かを掻き散らすように両手をぶんぶんと振ると、その手を下ろして頭を抱えた。
――かわいいだろ、好きになるなよ――
――余計なお世話かもしれないけど、ユウナを好きになっちゃダメよ――
自覚のないうちの牽制は思いのほか効いていた。確かにいつの間にか、自分の足元に線を引いていた。けれど、昨日はその線を越えた。
ワッカとルールーがそんなこと言っとくから、オレ、自分の気持ちに気づかないふりしてたんだよ。けど、あんな弱ってるユウナ見たらさ、つい、キスとかしたくなるだろ?!ふりってのも限界があるんスよ!でも、もう好きじゃないふりとかムリだからな、ワッカ!オレは……!
後ろについてきているであろうティーダの気配を感じなくなり、ワッカは振り返った。すると無言で自分を睨み上げていたティーダに怪訝な顔をする。
「どうした?ん?」
きょとんとするワッカにつられてルールーも足を止めてティーダの様子を窺う。
「何?お腹空いたの?」
「お腹空いたんだったら、もうちょっと進んだとこにリンの店、あるよ。そこでご飯しようよ」
と、リュックは腹部を擦った。その側にいるユウナとキマリも立ち止まり、ティーダの様子を窺っている。ユウナと視線を合わせてしまったティーダは、頬を赤くした。いつもの調子ではないらしいティーダが体調でも崩したのではないだろうかとユウナは、ティーダの元へ歩む。
「どうしたの?どこか、痛い?」
心配そうに青と緑の瞳がこちらを見つめる。顔だけが熱くなっていたはずが、いつの間にか耳まで熱く感じる。
「あ、いや、痛い、とかじゃなくて、あの……」
奥歯に物が挟まった口調にアーロンは溜息をついて言った。
「白魔法で腹は満たされん。そんなところで突っ立っていても腹は減るだけだ。先を急ぐぞ」
今度はアーロンが先頭を切り、一行はその後に続く。
「行こっか」
と、小首を傾げて微笑む。ユウナの笑顔を眩しく感じたティーダは、人知れず懺悔した。
ごめん、ユウナ。オレが食いたいの、そのかわいくて柔らかい唇なんだ。オレ、昨日の今日でこんなことばっか考えてる奴で、ほんっとごめん!
キスしたい、キスしたい、キスしたい
Text by mimiko.
2012/08/02