エロい新刊描いたったー【R18】(http://shindanmaker.com/80873)の診断結果「ティユウのエロい新刊はフルカラー16ページ、内容は『脱衣→やっぱりやめた→絶頂→絶頂→絶頂→謝罪』です。」から。
シンの体内突入前の飛空艇。のイメージで。
10ティユウの有名である世界一ピュアなキスを著しく汚す勢いでティーダがえろえろ小僧です。ちっとも爽やかスポーツマンではないです。
10仕様なふたりがえっちしてるなんてありえない!!という方は回れ右で。
以上、ご注意下さい。
最後かもしれないから
千年前の人々が召喚する夢を守る鎧。夢を守るために現実の人々を死の螺旋へ誘うシン。倒せば父親は死に、自分も死ぬ。そして、シンを討つ召喚士も死ぬ。
なんとなくであったが、わかっていた。父親がシンであると聞かされた時から、おそらく自分も安穏と生きてはいけないだろうと。けれど、ユウナは違う。
――ユウナがシンを倒せば、みんなが笑顔になれる。はやく、シンを倒そう!――
スピラの人々にナギ節を期待される度、スピラの憂いに触れる度、ユウナに言ってきた。いつも笑顔で頷いていたのはユウナだけで、仲間は一度も笑っていなかった。
気づかなければならなかったのに、何度も何度も思い出すのは笑顔ばかり。その笑顔に隠された心中を思うと、寂しくて、切なくて、悔しかった。
知らなかったのだから仕方がないでは済まされない。急に顔が見たくなって、今までのことを謝りたくなったが、すぐには再会できず口惜しかった。
顔を見たらすぐにでも謝るんだと息巻いていたのに、言葉が出てこなかった。かわりに強く抱き締めたかったが、仲間の手前ではよろしくない行いだと、それを諦める。
そして、今まで見ることのなかったユウナの涙をこの目にして、自分にできることはなんだろうと考えた。答えは出なかったが、伝えたかった。
たとえスピラ中が敵にまわっても、オレはユウナの味方で、ユウナの行くところならどこへでもついていく。ずっとユウナを守るガードでいる。ユウナにはオレがついてるから泣かないで。頼りないガードかもしれないけど、必ず守りきってみせるから。
ただ、傷ついているユウナを慰めたかった、優しく包んでやりたかった。今も、あの時と同じ思いでいるのに、それだけではない思いが自分にはある。
***
召喚士一行を乗せた飛空艇はべベル上空にあった。ティーダは、仲間たちのいるブリッジから上階通路へとスピラの様子を見に行く。向こうにユウナの姿を見つけ、後方から彼女を見守るキマリの横に並ぶと、キマリは、ユウナを頼むと言ってブリッジへ降りていった。
今までのことを思い返していると、ユウナに声をかけ辛くなり、彼女の後姿をただ見つめる。
こんな時に、好きだなんて言ったらダメだよな。前にルールーにも言われたし、ワッカにはスピラに来た時に、好きになるなって言われてたし、それに、ちょっと前にも釘さされたし。
ティーダは溜息をついた。
やっぱり、ダメだよな。でも……。
***
「ユウナ」
ティーダは、ユウナの背後に立ち、両肩に触れた。
「あんまり思い詰めるとよくないッスよ」
「あ、うん……」
「て、また考えてる?」
ティーダの指摘にユウナは苦笑いしながら頷く。ティーダはユウナの左横の髪を耳にかけ、その耳元で囁いた。
「じゃあ、オレのことだけ考えて」
と、耳に口づけ、舌を差し込む。耳から首筋にかけてぞくりとした快感が抜ける。ユウナは肩を竦ませた。グローブとプロテクターを外したティーダの両手はユウナの両脇を通り、襟元から右手は左の、左手は右の温かな膨らみに下がった。寄せながら揺らされ、ユウナの息が上がる。唇は耳から首へと移動し、首筋に舌が這う。
「んっ」
短く我慢している声が上がり、ティーダは声を引き出そうと黒い布地の上から両胸の先を指で探る。柔らかい膨らみの頂を二本の指で押し込み、右の耳に吸いつく。
「ユウナ」
熱を帯びた囁きにユウナは息を詰まらせた。膨らみを押し込んでいた指が離れると、弾力をつけて頂が戻る。突起として現れた先端をティーダの人差し指と中指が弄び、ユウナの肩が揺れた。
ティーダの左手は右胸から右脇腹、左脇腹へと移動し、腰へと下がる。左胸に触れる指は服の中に潜りこみ、硬くなった突起を指の腹で転がす。
「あ、や……こんなところで、んっ」
「大丈夫。誰もこないよ」
切なげに息をつくユウナのスカートの深いスリットに手を差し込み、太腿を撫でながらもう一方の胸の先も刺激する。
「あっ」
声を上げて唇を結ぶユウナの左耳に舌を差し込み、舌先で耳を撫でて唇を離した。すっかり敏感になっているらしいユウナは声出すことを我慢しながら体をびくびくと揺らしている。
「ユウナ」
「あっ、吸っちゃ……んっ」
首に吸いついて跡を残す。太腿を撫でていただけの左手は下腹部から足の付け根へと優しく触れた。が、ユウナが両足を閉じて立っているために、そこには触れられない。ティーダはユウナの閉じている両足の間に左膝を後ろから割りこませ、足を開かせた。左の指は下着の上から中心を往復し、湿り気を帯びた筋を作る。
「……濡れてる……」
「や、そんなこと言わないで」
「でも、ここ、気持ちいいから濡れてくるんだろ?」
熱っぽい声にユウナの肩が揺れた。
「ん……」
眉を寄せ、恥ずかしそうに頷くユウナに微笑む。ティーダの中指はユウナの柔らかい中心を撫ではじめ、次第に下着を押し込むように動く。
「はぁ、んっ、ダメ、だよ、いっぱい濡れちゃう、からぁ」
ティーダの指は少しも遠慮せずに蜜が流れてくる入口をぐにぐにと撫でる。
「もう、遅いよ、ほら……」
と、下着の上から秘裂に二本の指を添えた。湿った布と流れ出てくる蜜が滑って粘着質な水音が鳴る。
「あっ、や……」
「直接がいい?」
耳元で囁かれてユウナの背中にぞくりと快感が駆ける。ティーダはユウナの下着を膝上まで下ろし、片足だけ脱がせて立ち上がった。ユウナを後ろへ向かせて口づける。舌を絡めて再び左の指でユウナのそこに触れる。秘裂に添えた指で上下に撫で、水音をわざと立てた。
「ほら、音鳴るくらい濡れてる」
「や、はぁ、んっ」
胸に触れていた右手を下ろしていき、太腿まで来るとスカートをたくし上げて裾から中へ潜りこませた。左の中指は入口を撫でほぐすと少しずつ侵入していき、右の指は蜜を絡めとると、隠れている小さな突起に触れた。中指は根元まで入れられ、敏感な突起を優しくいたぶられる。舌は甘く痺れさせられ、ユウナは涙を溢れさせた。ティーダが唇を離すとユウナが言う。
「ティーダ、や、欲しいよ」
はあはあと、呼吸をするユウナは苦しそうに切なそうにティーダを見つめた。自然とティーダの口の片端が上がる。
「指じゃダメ?」
「ダメ、ティーダのが、いいの」
ティーダは、しょうがないなと笑った。
「濡れてるからって、まだ、ダメだよ。慣らさないと、ユウナが辛くなるだろ?指、足すから、もうちょっと我慢して」
「そんなぁ……」
残念がるユウナのそこから一度引き抜いて二本の指をゆっくりと進入させる。
「ほら、オレの指、だんだんユウナの奥に入ってく……」
「んんっ」
ユウナは意識し、ティーダの指をきゅうきゅうと締めつけた。その締めつけに、ユウナの中に張りつめた分身が入っている時のことを考えてティーダは身震いする。
「はぁ、ユウナ、根元まで入ったよ」
一息ついて落ち着こうとするが、ティーダの腰が無意識に揺れる。ユウナにまだだと言ったのに、自分も早く繋がりたいと思っていることに苦笑しながら、ユウナの中の指で内壁を探る。ユウナの反応を窺いながら、より反応があるところを探り当てると指の腹で擦る。もう一方の指は再び隠れている小さな突起を擽り始めた。
「あっ、それ、だめっ」
「ん、気持ちよくてダメ?腰が揺れて、さっきよりも濡れてきてるよ」
「やぁ、言わなっ、あぁ、剥いちゃだめぇ、はぁ」
覆われていた小さな突起を露わにして指の腹で刺激すると、ユウナの声が大きくなった。
「すごいよ、ユウナ。いっぱいあふれてきてる……」
ティーダが中の指で強く粘膜を擦り上げると、ユウナは声にならない嬌声を上げた後、ティーダの指を強く締めつけて内壁を痙攣させた。肩で息をするユウナの中から指を引き抜くと、今度はユウナの上体を下げさせ、柱に掴まらせる。ティーダはユウナのスカート捲り上げてしゃがんだ。蜜で濡れ光り、ひくつく襞を眺めて溜息をつく。
「だめ、そんなところ見ないで」
と、ユウナの手にそこを隠される。
「ダメじゃないよ、ユウナ。すごくやらしくて、すごくうまそうだよ」
「う、うまそうって、はぁぁ、やぁんっ」
慌てるユウナの手をそっと退けて太腿に舌を這わせる。膝裏から内腿へと上がっていくと、遠慮することなくそこへ動いた。小さな突起を舌で舐め、唇で包んで吸う。我慢をすることを忘れたユウナの声は、止まることなく、吐息とともに発せられる。
蜜にまみれた入口に尖らせた舌先を差し込むと、ユウナは戦慄き、悦びの声を上げる。
「やぁ、あっ、ティーダぁ」
甘い声で欲しがるユウナの揺れる乳房を下から優しく捏ねてやると、益々甘い声で鳴いた。堪らなくなったティーダは入口の蜜を舐めとり、指を挿入した。
「あぁあ、はぁ、ん、指もう、だ、め、ぁんん」
下にある小さな突起を吸い上げ、中の指はユウナの反応する一点を執拗に撫でる。
「そんな、許して、はぁ、やっ」
再び強い快感の中へと連れて行かれる。かくんかくんと腰が揺れたかと思えば、ユウナの体が強張った。快感が覚めてくると、ユウナは振り返って言った。
「はぁ、もう、だめだよ……」
「うん、オレも、もうだめだよ」
ティーダはすでに取り出していた分身を見下ろした。蜜で濡れ光り、すぐにでもそこへ入りたいと、ひとりでに揺れ動いている。
「オレの、欲しくない?」
と、ティーダはユウナの腰を掴んで、そこへ分身をあてがう。入るのか入らないのか微妙な動きに、ユウナは体を揺らした。
「ほ、欲しいよ。でも、今は……」
「イったばっかりで辛い?」
「あ、やっ……んっ」
ティーダは、半分を入れては引き抜いた。焦らされ、切なげな声が上がる。
「でも、ユウナのここはオレの欲しそうに吸いついてくるよ」
再び、半分まで入れては引き抜く。粘膜を潤す蜜を掻き出すような動きは、ユウナの思考を緩ませた。
「や、いや、もっと奥まで、ティーダの、奥まで、欲しいよぉ」
「うん。じゃあ、ちゃんと奥まで」
ティーダは、ゆっくりとユウナの中を押し進んだ。最奥に到達すると、互いに恍惚の溜息をつく。
「ん、ティーダ、キス、して、ふっ」
お願いされ、振り返ったユウナに口づける。舌先を舐めあい、唇を濡らして涎をこぼす。混ざり合う唾液の水音、くぐもった声を含んだ吐息が、ふたりの熱を上げる。
「あぁ、やぁ、気持ち、いいよ」
「うん、はぁ。オレも気持ちいいよ、んくっ」
甘い声に、上擦った声。快感に酔いしれ、結合したところから溶けてひとつになってしまうのではないかと錯覚する。
「ああ、ユウナ、すごく、熱いよ、ん、溶けそう……」
「ん、わたしも、熱い、よぉ、ティーダの、熱くて、おっきいよぉ」
箍の外れてしまったユウナの背中に口づけ、上体を戻すと腰を掴んで引き上げた。ぐっと自分の腰を突き上げる。
「あっ、や、そんな、奥っ」
熱い塊を突きつけられ、ユウナは全身をびくびくさせた。
「すごいな、中、びくびくして、も、イきそ、だよ」
奥を突いたまま腰を揺り動かし、動く度にユウナの腰が揺れる。
「いいよ……はぁ、わたしの一番奥で、イって?」
甘い声が震えている。ティーダは、うんと返事をして息をついた。ユウナの中にいることを意識し、散らしていた射精欲を全身からかき集める。
「んっ、ユウナっ」
腰を動かし出し、突き上げると同時に集まってきた精が急速に駆け上がって来るのを感じる。
「あ、あっ、またおっきくなっ、ティ、ダぁ、も、だめ、はぁ、そんなので突いちゃ、あっ、だめ、はぁ、だっ、あんっ、てぃーらぁ、ふぁあん、らめぇっ……!」
「あっ、んんっ、ユウナっ、くっ、ああっ、ぁんんっ……!」
***
なんてすぐに想像できちゃうくらい、もう、かなり好きなんだよな。つうか、らめぇとかユウナが言うわけねえっつの。ブリッツならともかく、多分、オレ、そんなすごい技持ってないよ。まだ一回もそういうことしたことないしわかんないけど。つうか、巧くできるかどうかもわかんないし。実際、あんなにアンアン言わせられるとか、あんま思ってない。ただの想像だからな、うん、想像。
ティーダは深い溜息をついた。
そもそも、オレがユウナのあんなこんなを想像してるなんてこと、ユウナに知られたくないよな。それに、単なる男の欲望って言うの?そういうのでユウナを汚したくない。でも、やっぱ考えちゃうんだよな。
視線を落としていたユウナは顔を上げ、自分に言い聞かせるように頷くと踵を返す。振り返った先にティーダを見つけ、ユウナの顔は自然と綻んだ。
「どうしたの?」
小首を傾げて微笑むユウナの笑顔が、とても眩しい。まるで目くらましでもくらわされたようだ。
うっ、ま、眩しい。アルベド印の閃光弾より眩しいッス。
後ろめたさでユウナの顔を直視できないティーダは、顔をユウナに向けても視線は、あちらへやった。不思議に思ったユウナはティーダの様子を窺う。
「調子、悪いの?」
こちらを心配する問いかけに、ティーダはどきりとした。
「あ、いや、全然!悪いどころか、すこぶるいい調子ッス!」
答えている間もあからさまに目を逸らすティーダの額にユウナの細い指が触れた。手の平が当てられ、ティーダの眉根が寄る。
うわ、これはマズイッス。
「熱はない、かな。でも、汗が……」
ぎくりとしたティーダはユウナの手を握って額から引き離した。
「こ、興奮してたからッス」
て、オレっ、何言ってんだ!
「興奮?」
不思議そうに見上げられ、再びティーダの視線が泳ぐ。
「あ、いや、その……た、戦うからっ、これからいよいよシンと戦うから、それで」
いい言い訳をひらめいたと思ってユウナの目を見たティーダだったが、視線を合わせて後悔する。
ユウナ、こんな近くにいちゃダメだよ。さっきの思い出しちゃうッス。
ティーダはユウナの腕をそっと掴んで口づけた。唇押しつけると、ちゅっと音が鳴る。幾度かに押しつけているとユウナも応えるように唇を押しつけた。
「ごめん、ユウナ……」
「ん?何……?」
と、唇を押しつけ合う。
「ユウナには言えないこと、考えてたんだ」
「言えないこと?」
そのまま聞き返したユウナは、はっとした。
「何?」
と、訊ねたユウナの表情は険しい。
ティーダには今まで重大なことを内緒にされてきただけに、また何か大事なことを隠されているのではないかと疑う。
「ああ、違う違う。そういうことじゃなくて、こういうこと」
ティーダは、おもむろにユウナの胸に触れた。驚くユウナは胸元とティーダの顔を交互に見る。手の平で優しく押し潰した膨らみを開いた指で掴まれる。ティーダは自分の胸元を見つめたままでいる。
「あの……」
ユウナは、ティーダを制止しようとティーダの両手に手を重ねた。我に返ったティーダは手を止める。
「ごめん。こんな時に、こんなこと考えてるなんてどうかしてるだろ?」
自嘲するティーダの手が離れそうになったのを、ユウナは押さえつけた。再びティーダの手の平にユウナの温かい膨らみが戻る。
「え?」
「あ、あの……いいよ……」
ユウナは俯いたまま呟く。
「……え?」
「だから、その……触ってもいいよ……」
震える小さな声に、ティーダは微笑んだ。
「うん、ありがとう。でも、もうやめる」
顔を上げたユウナの色違いの瞳は涙で薄らと潤み、頬を赤くしている。羞恥にまみれたその表情に、やめると宣言してしまったことを取り消したくなるが、思いとどまる。
「触るだけじゃあ、多分、おさまらないから」
と、両手を下ろす。
「え……」
ユウナの吐露した小さな驚きに、ティーダは内心、やはりと頷く。
「ユウナとしたいって、想像してた」
包み隠さない正直な言葉に、ユウナの顔が茹で上がった。湯気でも上がっているのではないかと思うほどの見事な茹り具合に、ティーダは思わず吹き出す。
「あはは、ごめん、ユウナがすごく真っ赤な顔するから、ぷっ」
「もう、そんなに笑うなんて、失礼だよっ」
胸の前で握った拳を上下させながら怒るユウナに愛おしさがこみ上がる。
かわいいな。素直で、すごくかわいい。だから、オレ、つい余計なこと言っちゃうんだよな。知られたくないのに、わざわざ白状してさ。でも、ユウナはどんなオレでも受け入れてくれるって、不思議とそう思うんだよな。
怒りを収めつつあるユウナは、ティーダを窺った。
「まだ笑ってるっす」
と、言った声は、まだ僅かに怒りが残っていた。ユウナは何かをひらめき、ティーダに気づかれぬように、にやりと笑うと、ティーダの左手を握った。
「ねえ、こっち来て」
ユウナは、ティーダを柱の陰に隠れるように座らせるとティーダの両足の間に両膝をついた。ティーダの両肩に手を置いて自分を見上げるティーダに口づける。唇を重ねては、傾ける顔の角度を変える。ティーダはユウナに任せるように、ゆっくりと瞼を閉じた。
「……深いキス、してもいい……?」
訊かれてティーダの目が見開く。至近距離にあるユウナの伏し目がちな眼差しに見下ろされ、ティーダは硬直した。
からかわれて悔しい気持ちを発散させようとしてけしかけたユウナだったが、ティーダの意識する様子を可愛らしく感じ、本当に口づけたくなる。
「いや、それは、マズっ、ぅむっ」
口を開いたティーダに舌を差し込む。が、ティーダの舌に触れない。ユウナは唇を開いて口づけ直した。
あの森の泉で初めてしたキスをもう一度したい。ねえ、ティーダ、あの時みたいに心を満たしたい。満たして欲しいの。
「んんっ……」
舌先が触れてティーダの声が舌から伝わってくる。瞬間、舌が甘く痺れてユウナは体をびくりとさせた。更に深く濃厚になる口づけに、互いの息が乱れる。
「ユ、ウナ……っ……」
「ん、ふっ……ティーダ、んっ……はぁっ」
名前を呼ばれて切なさが募り、ティーダは、ユウナの腰を抱き寄せた。心地よく感じる拘束にユウナは腰をびくりとさせる。体の芯が熱くなり、もっと触れたい、触れて欲しいと願う。
――ユウナとしたいって、想像してた――
ああ、そっか。こういうことなんだ。
ユウナは、体の芯が潤いだすのを受け入れた。
恥ずかしくて、エッチでいやらしいけど、いけないことじゃなくて、むしろいいことなんだ。ティーダに触れられると、心が満たされて幸せだと感じる。だから、それを体で感じてもいいんだ。わたしも想像したよ。さっき胸を触られたけど、服の上からじゃなくて肌に直接触れられたらどうなるんだろう、胸にキスされたらどうなるんだろうって。
切なさが募り、瞳が潤む。
もっと近くでティーダを感じたい。
ティーダは唇を離すとユウナに微笑み、抱き締めた。両頬が柔らかい膨らみに挟まれ、至福の溜息をつく。
「気持ちいいの?」
ユウナは、くすりと笑って訊ねた。
「うん、やわらかくて気持ちいい」
子供のように笑うティーダの髪を優しく撫でる。
「そっか、よかった……」
照れるユウナにティーダは、にこりと笑って胸に顔をうずめた。ぱっと顔を上げて提案する。
「ユウナ、約束しよっか」
「約束?」
「うん。て言っても、もしもの時の約束」
改まっての約束事。しかも、もしもの時とはどういうことだろうと、ユウナが考えていると、ティーダはユウナの胸元を少しめくって口づけた。
「んっ」
肌に吸いついて跡をつけると、ユウナを見上げる。
「もし、異界の住人になっちゃったらさ、指笛吹いて。飛んで行くから。で、ずっとイチャイチャしよう」
「イチャイチャ……?」
「今みたいなの」
と、笑う。ああと、ユウナは恥ずかしそうに頷いた。
「ユウナ……」
好きだよと、言いそうになって、それを呑みこんだ。
「ん?何?」
「ううん、なんでもない。あ、でも、もしもの時な。ちゃんとスピラに戻って来れるって信じてるッス」
「うん、誰も犠牲になんてしない。キミもだよ」
お見通しだと言わんばかりのユウナに、ティーダは、うんうんと頷いた。
「最後までじゃなくて、ずっとだよ」
またうんうんと頷く。
「キミもちゃんとスピラに帰ってくるんだよ」
涙が混じるユウナの声に切なさがこみ上がってくるが、同じように頷く。
「ちゃんと帰ってきたら、しようね」
ティーダは頷き返してから、首を捻った。
「何するの?」
「そ、それは、えっと……」
ユウナは涙をひっこめてティーダの耳元で続ける。
「……エッチ……」
「えっ!」
声を上げて驚くティーダの耳元から離れる。言ってしまったもの、恥ずかしくて堪らない。顔が火照って今すぐにでもガガゼト山へ行きたい気分だ。が、ティーダも頬や耳が赤い。ティーダも同じ気持ちであるとユウナは嬉しく感じたが、ティーダはにやにやと笑っている。
「ユウナのエッチ~」
からかわれて恥ずかしさが増す。
「もう、真剣なのに」
ユウナは誤魔化すようにティーダの肩をぽかぽかと叩いた。
「うん、ありがとう。嬉しいよ、すごく嬉しい」
頷き、微笑むティーダにユウナは唇を重ねた。
最後かもしれない。だから、今だけはいっぱいキスしよう。
なんとなくであったが、わかっていた。父親がシンであると聞かされた時から、おそらく自分も安穏と生きてはいけないだろうと。けれど、ユウナは違う。
――ユウナがシンを倒せば、みんなが笑顔になれる。はやく、シンを倒そう!――
スピラの人々にナギ節を期待される度、スピラの憂いに触れる度、ユウナに言ってきた。いつも笑顔で頷いていたのはユウナだけで、仲間は一度も笑っていなかった。
気づかなければならなかったのに、何度も何度も思い出すのは笑顔ばかり。その笑顔に隠された心中を思うと、寂しくて、切なくて、悔しかった。
知らなかったのだから仕方がないでは済まされない。急に顔が見たくなって、今までのことを謝りたくなったが、すぐには再会できず口惜しかった。
顔を見たらすぐにでも謝るんだと息巻いていたのに、言葉が出てこなかった。かわりに強く抱き締めたかったが、仲間の手前ではよろしくない行いだと、それを諦める。
そして、今まで見ることのなかったユウナの涙をこの目にして、自分にできることはなんだろうと考えた。答えは出なかったが、伝えたかった。
たとえスピラ中が敵にまわっても、オレはユウナの味方で、ユウナの行くところならどこへでもついていく。ずっとユウナを守るガードでいる。ユウナにはオレがついてるから泣かないで。頼りないガードかもしれないけど、必ず守りきってみせるから。
ただ、傷ついているユウナを慰めたかった、優しく包んでやりたかった。今も、あの時と同じ思いでいるのに、それだけではない思いが自分にはある。
***
召喚士一行を乗せた飛空艇はべベル上空にあった。ティーダは、仲間たちのいるブリッジから上階通路へとスピラの様子を見に行く。向こうにユウナの姿を見つけ、後方から彼女を見守るキマリの横に並ぶと、キマリは、ユウナを頼むと言ってブリッジへ降りていった。
今までのことを思い返していると、ユウナに声をかけ辛くなり、彼女の後姿をただ見つめる。
こんな時に、好きだなんて言ったらダメだよな。前にルールーにも言われたし、ワッカにはスピラに来た時に、好きになるなって言われてたし、それに、ちょっと前にも釘さされたし。
ティーダは溜息をついた。
やっぱり、ダメだよな。でも……。
***
「ユウナ」
ティーダは、ユウナの背後に立ち、両肩に触れた。
「あんまり思い詰めるとよくないッスよ」
「あ、うん……」
「て、また考えてる?」
ティーダの指摘にユウナは苦笑いしながら頷く。ティーダはユウナの左横の髪を耳にかけ、その耳元で囁いた。
「じゃあ、オレのことだけ考えて」
と、耳に口づけ、舌を差し込む。耳から首筋にかけてぞくりとした快感が抜ける。ユウナは肩を竦ませた。グローブとプロテクターを外したティーダの両手はユウナの両脇を通り、襟元から右手は左の、左手は右の温かな膨らみに下がった。寄せながら揺らされ、ユウナの息が上がる。唇は耳から首へと移動し、首筋に舌が這う。
「んっ」
短く我慢している声が上がり、ティーダは声を引き出そうと黒い布地の上から両胸の先を指で探る。柔らかい膨らみの頂を二本の指で押し込み、右の耳に吸いつく。
「ユウナ」
熱を帯びた囁きにユウナは息を詰まらせた。膨らみを押し込んでいた指が離れると、弾力をつけて頂が戻る。突起として現れた先端をティーダの人差し指と中指が弄び、ユウナの肩が揺れた。
ティーダの左手は右胸から右脇腹、左脇腹へと移動し、腰へと下がる。左胸に触れる指は服の中に潜りこみ、硬くなった突起を指の腹で転がす。
「あ、や……こんなところで、んっ」
「大丈夫。誰もこないよ」
切なげに息をつくユウナのスカートの深いスリットに手を差し込み、太腿を撫でながらもう一方の胸の先も刺激する。
「あっ」
声を上げて唇を結ぶユウナの左耳に舌を差し込み、舌先で耳を撫でて唇を離した。すっかり敏感になっているらしいユウナは声出すことを我慢しながら体をびくびくと揺らしている。
「ユウナ」
「あっ、吸っちゃ……んっ」
首に吸いついて跡を残す。太腿を撫でていただけの左手は下腹部から足の付け根へと優しく触れた。が、ユウナが両足を閉じて立っているために、そこには触れられない。ティーダはユウナの閉じている両足の間に左膝を後ろから割りこませ、足を開かせた。左の指は下着の上から中心を往復し、湿り気を帯びた筋を作る。
「……濡れてる……」
「や、そんなこと言わないで」
「でも、ここ、気持ちいいから濡れてくるんだろ?」
熱っぽい声にユウナの肩が揺れた。
「ん……」
眉を寄せ、恥ずかしそうに頷くユウナに微笑む。ティーダの中指はユウナの柔らかい中心を撫ではじめ、次第に下着を押し込むように動く。
「はぁ、んっ、ダメ、だよ、いっぱい濡れちゃう、からぁ」
ティーダの指は少しも遠慮せずに蜜が流れてくる入口をぐにぐにと撫でる。
「もう、遅いよ、ほら……」
と、下着の上から秘裂に二本の指を添えた。湿った布と流れ出てくる蜜が滑って粘着質な水音が鳴る。
「あっ、や……」
「直接がいい?」
耳元で囁かれてユウナの背中にぞくりと快感が駆ける。ティーダはユウナの下着を膝上まで下ろし、片足だけ脱がせて立ち上がった。ユウナを後ろへ向かせて口づける。舌を絡めて再び左の指でユウナのそこに触れる。秘裂に添えた指で上下に撫で、水音をわざと立てた。
「ほら、音鳴るくらい濡れてる」
「や、はぁ、んっ」
胸に触れていた右手を下ろしていき、太腿まで来るとスカートをたくし上げて裾から中へ潜りこませた。左の中指は入口を撫でほぐすと少しずつ侵入していき、右の指は蜜を絡めとると、隠れている小さな突起に触れた。中指は根元まで入れられ、敏感な突起を優しくいたぶられる。舌は甘く痺れさせられ、ユウナは涙を溢れさせた。ティーダが唇を離すとユウナが言う。
「ティーダ、や、欲しいよ」
はあはあと、呼吸をするユウナは苦しそうに切なそうにティーダを見つめた。自然とティーダの口の片端が上がる。
「指じゃダメ?」
「ダメ、ティーダのが、いいの」
ティーダは、しょうがないなと笑った。
「濡れてるからって、まだ、ダメだよ。慣らさないと、ユウナが辛くなるだろ?指、足すから、もうちょっと我慢して」
「そんなぁ……」
残念がるユウナのそこから一度引き抜いて二本の指をゆっくりと進入させる。
「ほら、オレの指、だんだんユウナの奥に入ってく……」
「んんっ」
ユウナは意識し、ティーダの指をきゅうきゅうと締めつけた。その締めつけに、ユウナの中に張りつめた分身が入っている時のことを考えてティーダは身震いする。
「はぁ、ユウナ、根元まで入ったよ」
一息ついて落ち着こうとするが、ティーダの腰が無意識に揺れる。ユウナにまだだと言ったのに、自分も早く繋がりたいと思っていることに苦笑しながら、ユウナの中の指で内壁を探る。ユウナの反応を窺いながら、より反応があるところを探り当てると指の腹で擦る。もう一方の指は再び隠れている小さな突起を擽り始めた。
「あっ、それ、だめっ」
「ん、気持ちよくてダメ?腰が揺れて、さっきよりも濡れてきてるよ」
「やぁ、言わなっ、あぁ、剥いちゃだめぇ、はぁ」
覆われていた小さな突起を露わにして指の腹で刺激すると、ユウナの声が大きくなった。
「すごいよ、ユウナ。いっぱいあふれてきてる……」
ティーダが中の指で強く粘膜を擦り上げると、ユウナは声にならない嬌声を上げた後、ティーダの指を強く締めつけて内壁を痙攣させた。肩で息をするユウナの中から指を引き抜くと、今度はユウナの上体を下げさせ、柱に掴まらせる。ティーダはユウナのスカート捲り上げてしゃがんだ。蜜で濡れ光り、ひくつく襞を眺めて溜息をつく。
「だめ、そんなところ見ないで」
と、ユウナの手にそこを隠される。
「ダメじゃないよ、ユウナ。すごくやらしくて、すごくうまそうだよ」
「う、うまそうって、はぁぁ、やぁんっ」
慌てるユウナの手をそっと退けて太腿に舌を這わせる。膝裏から内腿へと上がっていくと、遠慮することなくそこへ動いた。小さな突起を舌で舐め、唇で包んで吸う。我慢をすることを忘れたユウナの声は、止まることなく、吐息とともに発せられる。
蜜にまみれた入口に尖らせた舌先を差し込むと、ユウナは戦慄き、悦びの声を上げる。
「やぁ、あっ、ティーダぁ」
甘い声で欲しがるユウナの揺れる乳房を下から優しく捏ねてやると、益々甘い声で鳴いた。堪らなくなったティーダは入口の蜜を舐めとり、指を挿入した。
「あぁあ、はぁ、ん、指もう、だ、め、ぁんん」
下にある小さな突起を吸い上げ、中の指はユウナの反応する一点を執拗に撫でる。
「そんな、許して、はぁ、やっ」
再び強い快感の中へと連れて行かれる。かくんかくんと腰が揺れたかと思えば、ユウナの体が強張った。快感が覚めてくると、ユウナは振り返って言った。
「はぁ、もう、だめだよ……」
「うん、オレも、もうだめだよ」
ティーダはすでに取り出していた分身を見下ろした。蜜で濡れ光り、すぐにでもそこへ入りたいと、ひとりでに揺れ動いている。
「オレの、欲しくない?」
と、ティーダはユウナの腰を掴んで、そこへ分身をあてがう。入るのか入らないのか微妙な動きに、ユウナは体を揺らした。
「ほ、欲しいよ。でも、今は……」
「イったばっかりで辛い?」
「あ、やっ……んっ」
ティーダは、半分を入れては引き抜いた。焦らされ、切なげな声が上がる。
「でも、ユウナのここはオレの欲しそうに吸いついてくるよ」
再び、半分まで入れては引き抜く。粘膜を潤す蜜を掻き出すような動きは、ユウナの思考を緩ませた。
「や、いや、もっと奥まで、ティーダの、奥まで、欲しいよぉ」
「うん。じゃあ、ちゃんと奥まで」
ティーダは、ゆっくりとユウナの中を押し進んだ。最奥に到達すると、互いに恍惚の溜息をつく。
「ん、ティーダ、キス、して、ふっ」
お願いされ、振り返ったユウナに口づける。舌先を舐めあい、唇を濡らして涎をこぼす。混ざり合う唾液の水音、くぐもった声を含んだ吐息が、ふたりの熱を上げる。
「あぁ、やぁ、気持ち、いいよ」
「うん、はぁ。オレも気持ちいいよ、んくっ」
甘い声に、上擦った声。快感に酔いしれ、結合したところから溶けてひとつになってしまうのではないかと錯覚する。
「ああ、ユウナ、すごく、熱いよ、ん、溶けそう……」
「ん、わたしも、熱い、よぉ、ティーダの、熱くて、おっきいよぉ」
箍の外れてしまったユウナの背中に口づけ、上体を戻すと腰を掴んで引き上げた。ぐっと自分の腰を突き上げる。
「あっ、や、そんな、奥っ」
熱い塊を突きつけられ、ユウナは全身をびくびくさせた。
「すごいな、中、びくびくして、も、イきそ、だよ」
奥を突いたまま腰を揺り動かし、動く度にユウナの腰が揺れる。
「いいよ……はぁ、わたしの一番奥で、イって?」
甘い声が震えている。ティーダは、うんと返事をして息をついた。ユウナの中にいることを意識し、散らしていた射精欲を全身からかき集める。
「んっ、ユウナっ」
腰を動かし出し、突き上げると同時に集まってきた精が急速に駆け上がって来るのを感じる。
「あ、あっ、またおっきくなっ、ティ、ダぁ、も、だめ、はぁ、そんなので突いちゃ、あっ、だめ、はぁ、だっ、あんっ、てぃーらぁ、ふぁあん、らめぇっ……!」
「あっ、んんっ、ユウナっ、くっ、ああっ、ぁんんっ……!」
***
なんてすぐに想像できちゃうくらい、もう、かなり好きなんだよな。つうか、らめぇとかユウナが言うわけねえっつの。ブリッツならともかく、多分、オレ、そんなすごい技持ってないよ。まだ一回もそういうことしたことないしわかんないけど。つうか、巧くできるかどうかもわかんないし。実際、あんなにアンアン言わせられるとか、あんま思ってない。ただの想像だからな、うん、想像。
ティーダは深い溜息をついた。
そもそも、オレがユウナのあんなこんなを想像してるなんてこと、ユウナに知られたくないよな。それに、単なる男の欲望って言うの?そういうのでユウナを汚したくない。でも、やっぱ考えちゃうんだよな。
視線を落としていたユウナは顔を上げ、自分に言い聞かせるように頷くと踵を返す。振り返った先にティーダを見つけ、ユウナの顔は自然と綻んだ。
「どうしたの?」
小首を傾げて微笑むユウナの笑顔が、とても眩しい。まるで目くらましでもくらわされたようだ。
うっ、ま、眩しい。アルベド印の閃光弾より眩しいッス。
後ろめたさでユウナの顔を直視できないティーダは、顔をユウナに向けても視線は、あちらへやった。不思議に思ったユウナはティーダの様子を窺う。
「調子、悪いの?」
こちらを心配する問いかけに、ティーダはどきりとした。
「あ、いや、全然!悪いどころか、すこぶるいい調子ッス!」
答えている間もあからさまに目を逸らすティーダの額にユウナの細い指が触れた。手の平が当てられ、ティーダの眉根が寄る。
うわ、これはマズイッス。
「熱はない、かな。でも、汗が……」
ぎくりとしたティーダはユウナの手を握って額から引き離した。
「こ、興奮してたからッス」
て、オレっ、何言ってんだ!
「興奮?」
不思議そうに見上げられ、再びティーダの視線が泳ぐ。
「あ、いや、その……た、戦うからっ、これからいよいよシンと戦うから、それで」
いい言い訳をひらめいたと思ってユウナの目を見たティーダだったが、視線を合わせて後悔する。
ユウナ、こんな近くにいちゃダメだよ。さっきの思い出しちゃうッス。
ティーダはユウナの腕をそっと掴んで口づけた。唇押しつけると、ちゅっと音が鳴る。幾度かに押しつけているとユウナも応えるように唇を押しつけた。
「ごめん、ユウナ……」
「ん?何……?」
と、唇を押しつけ合う。
「ユウナには言えないこと、考えてたんだ」
「言えないこと?」
そのまま聞き返したユウナは、はっとした。
「何?」
と、訊ねたユウナの表情は険しい。
ティーダには今まで重大なことを内緒にされてきただけに、また何か大事なことを隠されているのではないかと疑う。
「ああ、違う違う。そういうことじゃなくて、こういうこと」
ティーダは、おもむろにユウナの胸に触れた。驚くユウナは胸元とティーダの顔を交互に見る。手の平で優しく押し潰した膨らみを開いた指で掴まれる。ティーダは自分の胸元を見つめたままでいる。
「あの……」
ユウナは、ティーダを制止しようとティーダの両手に手を重ねた。我に返ったティーダは手を止める。
「ごめん。こんな時に、こんなこと考えてるなんてどうかしてるだろ?」
自嘲するティーダの手が離れそうになったのを、ユウナは押さえつけた。再びティーダの手の平にユウナの温かい膨らみが戻る。
「え?」
「あ、あの……いいよ……」
ユウナは俯いたまま呟く。
「……え?」
「だから、その……触ってもいいよ……」
震える小さな声に、ティーダは微笑んだ。
「うん、ありがとう。でも、もうやめる」
顔を上げたユウナの色違いの瞳は涙で薄らと潤み、頬を赤くしている。羞恥にまみれたその表情に、やめると宣言してしまったことを取り消したくなるが、思いとどまる。
「触るだけじゃあ、多分、おさまらないから」
と、両手を下ろす。
「え……」
ユウナの吐露した小さな驚きに、ティーダは内心、やはりと頷く。
「ユウナとしたいって、想像してた」
包み隠さない正直な言葉に、ユウナの顔が茹で上がった。湯気でも上がっているのではないかと思うほどの見事な茹り具合に、ティーダは思わず吹き出す。
「あはは、ごめん、ユウナがすごく真っ赤な顔するから、ぷっ」
「もう、そんなに笑うなんて、失礼だよっ」
胸の前で握った拳を上下させながら怒るユウナに愛おしさがこみ上がる。
かわいいな。素直で、すごくかわいい。だから、オレ、つい余計なこと言っちゃうんだよな。知られたくないのに、わざわざ白状してさ。でも、ユウナはどんなオレでも受け入れてくれるって、不思議とそう思うんだよな。
怒りを収めつつあるユウナは、ティーダを窺った。
「まだ笑ってるっす」
と、言った声は、まだ僅かに怒りが残っていた。ユウナは何かをひらめき、ティーダに気づかれぬように、にやりと笑うと、ティーダの左手を握った。
「ねえ、こっち来て」
ユウナは、ティーダを柱の陰に隠れるように座らせるとティーダの両足の間に両膝をついた。ティーダの両肩に手を置いて自分を見上げるティーダに口づける。唇を重ねては、傾ける顔の角度を変える。ティーダはユウナに任せるように、ゆっくりと瞼を閉じた。
「……深いキス、してもいい……?」
訊かれてティーダの目が見開く。至近距離にあるユウナの伏し目がちな眼差しに見下ろされ、ティーダは硬直した。
からかわれて悔しい気持ちを発散させようとしてけしかけたユウナだったが、ティーダの意識する様子を可愛らしく感じ、本当に口づけたくなる。
「いや、それは、マズっ、ぅむっ」
口を開いたティーダに舌を差し込む。が、ティーダの舌に触れない。ユウナは唇を開いて口づけ直した。
あの森の泉で初めてしたキスをもう一度したい。ねえ、ティーダ、あの時みたいに心を満たしたい。満たして欲しいの。
「んんっ……」
舌先が触れてティーダの声が舌から伝わってくる。瞬間、舌が甘く痺れてユウナは体をびくりとさせた。更に深く濃厚になる口づけに、互いの息が乱れる。
「ユ、ウナ……っ……」
「ん、ふっ……ティーダ、んっ……はぁっ」
名前を呼ばれて切なさが募り、ティーダは、ユウナの腰を抱き寄せた。心地よく感じる拘束にユウナは腰をびくりとさせる。体の芯が熱くなり、もっと触れたい、触れて欲しいと願う。
――ユウナとしたいって、想像してた――
ああ、そっか。こういうことなんだ。
ユウナは、体の芯が潤いだすのを受け入れた。
恥ずかしくて、エッチでいやらしいけど、いけないことじゃなくて、むしろいいことなんだ。ティーダに触れられると、心が満たされて幸せだと感じる。だから、それを体で感じてもいいんだ。わたしも想像したよ。さっき胸を触られたけど、服の上からじゃなくて肌に直接触れられたらどうなるんだろう、胸にキスされたらどうなるんだろうって。
切なさが募り、瞳が潤む。
もっと近くでティーダを感じたい。
ティーダは唇を離すとユウナに微笑み、抱き締めた。両頬が柔らかい膨らみに挟まれ、至福の溜息をつく。
「気持ちいいの?」
ユウナは、くすりと笑って訊ねた。
「うん、やわらかくて気持ちいい」
子供のように笑うティーダの髪を優しく撫でる。
「そっか、よかった……」
照れるユウナにティーダは、にこりと笑って胸に顔をうずめた。ぱっと顔を上げて提案する。
「ユウナ、約束しよっか」
「約束?」
「うん。て言っても、もしもの時の約束」
改まっての約束事。しかも、もしもの時とはどういうことだろうと、ユウナが考えていると、ティーダはユウナの胸元を少しめくって口づけた。
「んっ」
肌に吸いついて跡をつけると、ユウナを見上げる。
「もし、異界の住人になっちゃったらさ、指笛吹いて。飛んで行くから。で、ずっとイチャイチャしよう」
「イチャイチャ……?」
「今みたいなの」
と、笑う。ああと、ユウナは恥ずかしそうに頷いた。
「ユウナ……」
好きだよと、言いそうになって、それを呑みこんだ。
「ん?何?」
「ううん、なんでもない。あ、でも、もしもの時な。ちゃんとスピラに戻って来れるって信じてるッス」
「うん、誰も犠牲になんてしない。キミもだよ」
お見通しだと言わんばかりのユウナに、ティーダは、うんうんと頷いた。
「最後までじゃなくて、ずっとだよ」
またうんうんと頷く。
「キミもちゃんとスピラに帰ってくるんだよ」
涙が混じるユウナの声に切なさがこみ上がってくるが、同じように頷く。
「ちゃんと帰ってきたら、しようね」
ティーダは頷き返してから、首を捻った。
「何するの?」
「そ、それは、えっと……」
ユウナは涙をひっこめてティーダの耳元で続ける。
「……エッチ……」
「えっ!」
声を上げて驚くティーダの耳元から離れる。言ってしまったもの、恥ずかしくて堪らない。顔が火照って今すぐにでもガガゼト山へ行きたい気分だ。が、ティーダも頬や耳が赤い。ティーダも同じ気持ちであるとユウナは嬉しく感じたが、ティーダはにやにやと笑っている。
「ユウナのエッチ~」
からかわれて恥ずかしさが増す。
「もう、真剣なのに」
ユウナは誤魔化すようにティーダの肩をぽかぽかと叩いた。
「うん、ありがとう。嬉しいよ、すごく嬉しい」
頷き、微笑むティーダにユウナは唇を重ねた。
最後かもしれない。だから、今だけはいっぱいキスしよう。
最後かもしれないから
Text by mimiko.
2012/10/02