FFX/X-2HDリマスターCREDITS BONUS AUDIO「FINAL FANTASY X -Will-」前提。
もしFF10-3がくるならば通過点であったらいいなティユウ結婚妄想です。ティーダ視点。
10無印の聖ベベル宮であった件の結婚式のシーモアポジションにティーダがいるイメージでどうぞ。
もしFF10-3がくるならば通過点であったらいいなティユウ結婚妄想です。ティーダ視点。
10無印の聖ベベル宮であった件の結婚式のシーモアポジションにティーダがいるイメージでどうぞ。
本日は晴天なり
ユウナは、俺と深い仲になっても相変わらずひとりで抱え込む。吐き出して楽になっちゃえばいいのに、なかなかそれをしない。置かれている状況が、どうなろうとも変わらないユウナの性分なんだろうけど、ほんと水臭いよな。けど、ビシッと言ってやるんだ。
俺は君の夫です、妻である君は夫である俺に隠し事は一切なしです、身も心も全部俺と一生一緒になるんです、それがユウナと俺の『誰にも何にも負けない愛』という名の究極召喚です――なんてな。改めて考えるとすっげぇ恥ずかしいな。ビシッと言えんのかな、俺。
ふと小さな機械音が俺のすぐ側を右から左へと飛んで行った。遠隔操作できるスフィアビデオカメラだ。
カメラ近すぎッスよ、どこの放送局?
飛行するスフィアビデオカメラの行先を目で追うと、新郎の世話人たちのひとりと視線がかち合ってどきりとする。無言でどこ見てるんだと怒られ、俺は姿勢を正した。
リュックが花婿のドレスフィアで用意してくれた衣装は動きやすいけど首までかっちり締まっていて暑苦しい。が、スピラ全土で生中継されている式だけあって下手なことはできない。その窮屈さにすべてを放り出したくなるけれど自分を奮い立たせる。頑張れ、俺。これが終わったらお披露目立食会。それも終わったらユウナと朝までいちゃいちゃタイムだ。
俺は反対側のユウナを見やった。俺と同じように新婦の世話人たちに囲まれ、歩いている。あの時とまるっきり同じだ。視線を戻して溜息をついた。
『ベベルでやる必要あんのか?ルカでもよくない?』
『なーに言ってんの!ベベルでやるからこそ意味あんじゃん!チィはブリッツばっかで知らなかったかもしれないけど、真実運動の時に出てきちゃったあの結婚式の映像記録スフィア、寺院の陰謀がどうのっていう検証番組で映像が放送されちゃったんだよ?!視聴者にユウナの悪い印象を与えないよう構成されてたけど……ユウナが傷つかなかったと思う?』
ベベル宮は最上階、そこで俺とユウナの挙式計画をリュックに持ちかけられた。あまりいい顔しなかった俺に、リュックはユウナのために怒って泣いてくれた。
大召喚士ユウナ、エボナー導師ユウナ――ユウナに釣りあうような男に早くなりたくて、俺はリュックの指摘の通りブリッツボール三昧だった。ユウナが抱えていたことを気にかけてるつもりでいたけど、思い上がりだった。
男と女で好き合っていることだけが俺とユウナの絆じゃない。俺はユウナのガードで、彼女を護る盾。彼女は、その盾と自らの命は同等であると、あの挙式で示した。仲間を尊重する敬意と信念を貫こうとする強い意思に人として魅かれた。あの時は、それに気づいてなかった。ただ俺の目の前でシーモアがユウナにキスしたその事実に怒ってた。ユウナの細い肩がどれだけのものを背負っているのか、つまらないことばかり考えていたあの時の俺には理解できなかったんだ。
でも、今は違う。
世話人たちの歩みが止まり、俺は花嫁と並んで階段を上がる。
復活した厄災によって、またスピラ中の笑顔が陰った。誰かに責任をとらせようとする人たち、昔の嘘ばかりの信仰に縋る人たち、新しい時代に希望を見い出せなくなった人たち、いろんな人たちのバラバラになってしまった思い。それを、注目されることを逆手に取り、自ら見世物になることでひとつにする。
リュックのベベル挙式計画の提案に俺が渋っていた時のユウナの言葉を思い出す。
『そう、だよね……。やっぱり、そういうのよくないよね。ありがとう、リュック。でも、ごめん。わたし……あの時、シーモア老師と結婚することでまやかしの希望になってたんだよね。ユウナレスカ様にまやかしの希望なんていらないって断言したのに、エボナーの導師になってビサイド寺院に籠って……。また自分からまやかしの希望になろうとしてた。ダメだね、わたし』
過去を振り返って自分は未熟だと無理に笑おうとするユウナに俺は言ってやった。
『今のはちょっと聞き捨てならないッスね。ユウナにとって俺と結婚するのって、まやかしの希望なの?俺とユウナの育んだ愛ってニセモノ?あんなこともこんなこともすでにしちゃってんのにさ。あ!俺だけが真実の愛だと思ってた?!』
『ち、違うよ、そうじゃなくてっ……!ルールーには大召喚士の名前を利用されないようにって言われてたのに、わたし、自分で利用してる。わたしが一度、シンを倒せたのはみんなが一緒に戦ってくれたからこそなのに……』
『リュック、その計画進めよう。ユウナは俺の嫁だってスピラに宣言するッスよ』
『おおっ!昨シーズンMVPと大召喚士の結婚!スクープだね!シェリンダにさっそく知らせなきゃ~』
『え、ちょっとリュック待って!……いいの?』
『うん。そういうブランドは利用した者勝ちッス』
大胆不敵だったり、遠慮したり、ユウナは繊細だよな。俺は、難しいことはわからないから直感を信じるよ。俺たちの結婚ニュースが少しでも今の暗いスピラを照らす希望の光になりますように――。
花嫁のベールを上げ、願いを込めるように唇を重ね合わせた。そっと、綺麗に仕上がっている化粧を落とさないように。
「えっちなキスは夜まで我慢な」
耳元で囁くと、丸くなった青と緑の目がすぐに細くなった。地の肌を紅くした彼女を、拍手喝采の中、横抱きに抱え上げる。再び側に飛んできたスフィアビデオカメラに笑顔を向けると、腕の中の彼女も幸せそうに笑った。
今日の晴天の太陽みたいに眩しいほどの幸せをスピラ全土に輝かせてやるッスよ。にゃははははっ!俺のユウナ、すっげぇかわいいだろ!
俺は君の夫です、妻である君は夫である俺に隠し事は一切なしです、身も心も全部俺と一生一緒になるんです、それがユウナと俺の『誰にも何にも負けない愛』という名の究極召喚です――なんてな。改めて考えるとすっげぇ恥ずかしいな。ビシッと言えんのかな、俺。
ふと小さな機械音が俺のすぐ側を右から左へと飛んで行った。遠隔操作できるスフィアビデオカメラだ。
カメラ近すぎッスよ、どこの放送局?
飛行するスフィアビデオカメラの行先を目で追うと、新郎の世話人たちのひとりと視線がかち合ってどきりとする。無言でどこ見てるんだと怒られ、俺は姿勢を正した。
リュックが花婿のドレスフィアで用意してくれた衣装は動きやすいけど首までかっちり締まっていて暑苦しい。が、スピラ全土で生中継されている式だけあって下手なことはできない。その窮屈さにすべてを放り出したくなるけれど自分を奮い立たせる。頑張れ、俺。これが終わったらお披露目立食会。それも終わったらユウナと朝までいちゃいちゃタイムだ。
俺は反対側のユウナを見やった。俺と同じように新婦の世話人たちに囲まれ、歩いている。あの時とまるっきり同じだ。視線を戻して溜息をついた。
『ベベルでやる必要あんのか?ルカでもよくない?』
『なーに言ってんの!ベベルでやるからこそ意味あんじゃん!チィはブリッツばっかで知らなかったかもしれないけど、真実運動の時に出てきちゃったあの結婚式の映像記録スフィア、寺院の陰謀がどうのっていう検証番組で映像が放送されちゃったんだよ?!視聴者にユウナの悪い印象を与えないよう構成されてたけど……ユウナが傷つかなかったと思う?』
ベベル宮は最上階、そこで俺とユウナの挙式計画をリュックに持ちかけられた。あまりいい顔しなかった俺に、リュックはユウナのために怒って泣いてくれた。
大召喚士ユウナ、エボナー導師ユウナ――ユウナに釣りあうような男に早くなりたくて、俺はリュックの指摘の通りブリッツボール三昧だった。ユウナが抱えていたことを気にかけてるつもりでいたけど、思い上がりだった。
男と女で好き合っていることだけが俺とユウナの絆じゃない。俺はユウナのガードで、彼女を護る盾。彼女は、その盾と自らの命は同等であると、あの挙式で示した。仲間を尊重する敬意と信念を貫こうとする強い意思に人として魅かれた。あの時は、それに気づいてなかった。ただ俺の目の前でシーモアがユウナにキスしたその事実に怒ってた。ユウナの細い肩がどれだけのものを背負っているのか、つまらないことばかり考えていたあの時の俺には理解できなかったんだ。
でも、今は違う。
世話人たちの歩みが止まり、俺は花嫁と並んで階段を上がる。
復活した厄災によって、またスピラ中の笑顔が陰った。誰かに責任をとらせようとする人たち、昔の嘘ばかりの信仰に縋る人たち、新しい時代に希望を見い出せなくなった人たち、いろんな人たちのバラバラになってしまった思い。それを、注目されることを逆手に取り、自ら見世物になることでひとつにする。
リュックのベベル挙式計画の提案に俺が渋っていた時のユウナの言葉を思い出す。
『そう、だよね……。やっぱり、そういうのよくないよね。ありがとう、リュック。でも、ごめん。わたし……あの時、シーモア老師と結婚することでまやかしの希望になってたんだよね。ユウナレスカ様にまやかしの希望なんていらないって断言したのに、エボナーの導師になってビサイド寺院に籠って……。また自分からまやかしの希望になろうとしてた。ダメだね、わたし』
過去を振り返って自分は未熟だと無理に笑おうとするユウナに俺は言ってやった。
『今のはちょっと聞き捨てならないッスね。ユウナにとって俺と結婚するのって、まやかしの希望なの?俺とユウナの育んだ愛ってニセモノ?あんなこともこんなこともすでにしちゃってんのにさ。あ!俺だけが真実の愛だと思ってた?!』
『ち、違うよ、そうじゃなくてっ……!ルールーには大召喚士の名前を利用されないようにって言われてたのに、わたし、自分で利用してる。わたしが一度、シンを倒せたのはみんなが一緒に戦ってくれたからこそなのに……』
『リュック、その計画進めよう。ユウナは俺の嫁だってスピラに宣言するッスよ』
『おおっ!昨シーズンMVPと大召喚士の結婚!スクープだね!シェリンダにさっそく知らせなきゃ~』
『え、ちょっとリュック待って!……いいの?』
『うん。そういうブランドは利用した者勝ちッス』
大胆不敵だったり、遠慮したり、ユウナは繊細だよな。俺は、難しいことはわからないから直感を信じるよ。俺たちの結婚ニュースが少しでも今の暗いスピラを照らす希望の光になりますように――。
花嫁のベールを上げ、願いを込めるように唇を重ね合わせた。そっと、綺麗に仕上がっている化粧を落とさないように。
「えっちなキスは夜まで我慢な」
耳元で囁くと、丸くなった青と緑の目がすぐに細くなった。地の肌を紅くした彼女を、拍手喝采の中、横抱きに抱え上げる。再び側に飛んできたスフィアビデオカメラに笑顔を向けると、腕の中の彼女も幸せそうに笑った。
今日の晴天の太陽みたいに眩しいほどの幸せをスピラ全土に輝かせてやるッスよ。にゃははははっ!俺のユウナ、すっげぇかわいいだろ!
本日は晴天なり
Text by mimiko.
2014/07/18