診断メーカーの『クリスマス版「おふたりは付き合っているんですか?」』(https://shindanmaker.com/578474)の12/22付け結果よりクリスマス近妙で山崎視点です。
「おふたりは付き合っているんですか?クリスマスのご予定は?」
ミミコの近藤勲と志村妙「付き合ってないです」「サンタさん、恋人がほしいです…」「サンタと付き合えば?」「!!その手があった!!」
より。
「おふたりは付き合っているんですか?クリスマスのご予定は?」
ミミコの近藤勲と志村妙「付き合ってないです」「サンタさん、恋人がほしいです…」「サンタと付き合えば?」「!!その手があった!!」
より。
彼女はサンタクロース
山崎退監察レポート。クリスマスキャンペーン中のスナックすまいるにて。
てか、ホント勘弁してくださいよ、副長。何が楽しくて局長が女に鼻の下伸ばしてるだけの監察しなきゃならんのですか。
「まァ、ドンペリ三本も入れてくださるんですかァ? 近藤さん、素敵ィ♡」
「いやァ、だッはッはッ! それほどでもないですよォ~」
象でもないのに鼻伸ばしてるゴリラなんて特殊警察局長の威厳どころか男の威厳もあったもんじゃないよ。鼻じゃないな、鼻の下だな、鼻伸ばすのは木製の操り人形だったっけか。ゴリラの操り人形だったっけか。
「さ、飲みましょ、近藤さん?」
「はい~♡」
情けなさ全開でしかないからね。俺らの大将はなんでそうも情けない男になっちゃうかなァ。
『近藤さんがまたあの女の所へ出入りしている。本気で娶る気があるのかないのか、ただの遊びなのか、監察方(おまえ)の目にはどう視えるのか、四百字詰めの原稿用紙三枚程度にまとめて提出してくれ』
て、マジで作文用紙的に四百字詰め原稿用紙三枚渡してくんだもんな。前に提出した万事屋の旦那が絡んだ妖刀についての監察レポートのことまだ根に持ってんのかな。てめェの感想なんざどーでもいいんだよ、しっかり仕事しろ馬鹿野郎がってブチ切れてた割に俺の仕事、結構信頼してくれちゃってるし。
「まァ、ドンペリ追加してくださるんですかァ? 嬉しいィ♡」
俺の目に映る局長の惚れた女ねェ。
そんなのどこにでもいるようなキャバ嬢でしょうに。局長のことなんざ羽振りのいい上客としか思ってないでしょうに。
しかし、この娘、親の遺した道場のために身売りしようとしたんだったっけ。だったら局長に娶られれば道場経営も安泰だろうに。ただのゴリラに見えて局長は天然理心流四代目宗家だからね。天堂無心流の免状もすぐに受けてあっちゅう間に指南するまでになるでしょう。
その道を選ばないとなると、やっぱり他に好いた男がいるってことかな。するとやっぱり大怪我負った万事屋の旦那を自宅で療養させてただけあって万事屋の旦那とか? ゴリラストーカー対策で要塞化した自宅で楽しくやってたもんな。
「しっかし、お妙さんのサンタクロース姿、かわいいですねッ! 普段の着物姿ももちろん綺麗ですけどサンタ風のスカートとか華やかでいいなァ~」
ん? あれ? 上客でしかないエロ幕臣相手にもそんな楽しそうに笑うんだ?
「やーだ、もォ!」
「アベシっ!」
「近藤さん、恥ずかしいからそんな見ないでくださいよ、もう~!」
「ヒデブっ! でへへ、だってお妙さんかわいいんだもん~」
そっかァ。この人たち、単に楽しんでるだけか。あーあァ。これじゃァただの骨折り損のくたびれ儲けじゃないか。泣く子も黙る真選組監察方が出る幕なんざありゃしない。
「山崎、どうした」
不意に横顔を見せたままの局長に声を掛けられて冷やりとしたが中座したポニーテールのキャバ嬢にこの前局長が仕事の合間に買い物していた簪(かんざし)を見た俺は口元だけで笑って答えた。
「クリスマスキャンペーンのすまいるで局長が根こそぎ掏(す)られないように見張っとけって副長に呑み代という名の駄賃握らされました」
「人聞きの悪いこと言うなァ、トシは。掏られてねェさ。俺はあの笑顔を買ってんの」
局長のテーブルに高価なシャンパンボトルが開いているのに目をやり苦笑する。
「女は金がかかりますね」
「懐は厚みがなくなっても胸は温まるからな。そう、ハートウォーミングだ、ザキ」
「何をまた意味のわからん言い訳してんですか、やっぱり根こそぎやられちゃったんでしょ、局長。まったくもう、今日だけでいくら使っちゃったんです? また副長から大目玉くらいますよ。今日はもうお家帰りましょう、ね?」
「あら、山崎さん、こんばんは」
局長の金のかかる女が戻って来るなり笑顔で挨拶してくれる。
女の笑顔は確かに悪かないけどね、でも今日はもう許したげて。一見、平然そうな局長の本当の顔が泣いてるよ。俺には見えるよ。ゴリラが薄くなった財布握りしめてしくしく泣いてるのが見えるよ。
「もうお帰りになるんですか?」
「いいえ、あなたの近藤勲はまだ帰りませ……ん? フルーツ?」
「はい。クリスマス当日は近藤さん、お仕事なんでしょう? だから、ささやかですけど一足お先にお店からのクリスマスプレゼントです」
フルーツ盛り合わせがテーブルに置かれ、耳打ちされた局長は
「と、特別?! 俺だけに?!」
と、声を高らかに喜んじゃってるけど、それって単にキャバ嬢の常套句だよ、局長。
「山崎さんもご一緒しませんか?」
「え? でも……」
「山崎もご一緒しなさい、うん」
一人前以上は優にあるフルーツの皿を目の前にそのフツールを食べさせっこしてだのしないだのときゃいのきゃいのするゴリラバカップルを目の前に、どう考えても邪魔者でしかない俺を招き入れたふたりについて監察する。いや、ゴリラふたりだから観察か。
常連客の真選組局長の部下が来店していることを知っていて、尚かつ女目当てで店通いしてても局長の人柄なら快くその部下を招き入れることを知っていた。
キャバ嬢としていい仕事してるし、局長の人柄をちゃんとわかっている。それなら、人としての魅力のみならず男としての魅力もわかっているはずだろうに。本当に惚れていない? 嫌いじゃないのはわかるけど、どうだろう、わからないな。ふたりでバカやってるのが楽しいって以外にも収穫が欲しいな。
「おふたりはつき合ってるんですか?」
単刀直入に訊くと局長の想い人は言った。
「つき合ってないです」
見事な断言っぷりに局長は涙目になる。
「サンタさん、恋人が欲しいです……」
「それじゃあサンタさんとおつき合いされたらいいじゃないですか」
サンタコスプレのキャバ嬢に言われた局長は、はっとして言った。
「その手があった!! お妙さん、俺とつき合ってくださいッ!!」
言われてきょとんとしたポニーテールのサンタは握られていた手を慌てて振り離した。
「だから何回も言ってるだろ、つき合わねーよ」
「でもさっき、お妙さん、サンタさんとつき合えばって言ったじゃん」
「言ったけど、言ってません」
「なんですかソレ、ずりィですよぉー」
「……わかりました」
ポニーテールサンタは不貞腐れるゴリラの口元にカットされたバナナを運んだ。少し恥ずかしそうにしながらもアーンしてくれるらしいポニーテールサンタに気をよくした局長は差し出されたバナナを食べる。
「やっぱり、お妙さんは俺に幸せを運んでくれるサンタさんだ」
アンタがサンタさんじゃないのかよ。確かに女子にアーンしてもらえるの幸せだろうけどさ。今日はキャバ嬢がサンタだけどさ。
次々に運ばれるフルーツを食すゴリラが不意に真面目に言った。
「似合ってます」
ゴリラにフルーツを運ぶサンタの手が止まり、やっぱり少し恥ずかしそうに簪の飾りを揺らした。
「ありがとうございます……」
コレ俺いるゥゥゥ?! この場に俺、全然必要ねーじゃん! 俺何のためにこっちのテーブル招かれたの?! フルーツ盛り合わせほとんどエロいゴリラが食べちゃってんだけどォォォ!!
副長、とんだ無駄足ですよ。マジ勘弁してください。
山崎退監察レポート。クリスマスキャンペーン中のスナックすまいるにて。ゴリラ・ゴリラ・ゴリラがゴリラ・ゴリラ・ゴリラにバナナなどのフルーツを食べさせていました。現場からは以上です。
てか、ホント勘弁してくださいよ、副長。何が楽しくて局長が女に鼻の下伸ばしてるだけの監察しなきゃならんのですか。
「まァ、ドンペリ三本も入れてくださるんですかァ? 近藤さん、素敵ィ♡」
「いやァ、だッはッはッ! それほどでもないですよォ~」
象でもないのに鼻伸ばしてるゴリラなんて特殊警察局長の威厳どころか男の威厳もあったもんじゃないよ。鼻じゃないな、鼻の下だな、鼻伸ばすのは木製の操り人形だったっけか。ゴリラの操り人形だったっけか。
「さ、飲みましょ、近藤さん?」
「はい~♡」
情けなさ全開でしかないからね。俺らの大将はなんでそうも情けない男になっちゃうかなァ。
『近藤さんがまたあの女の所へ出入りしている。本気で娶る気があるのかないのか、ただの遊びなのか、監察方(おまえ)の目にはどう視えるのか、四百字詰めの原稿用紙三枚程度にまとめて提出してくれ』
て、マジで作文用紙的に四百字詰め原稿用紙三枚渡してくんだもんな。前に提出した万事屋の旦那が絡んだ妖刀についての監察レポートのことまだ根に持ってんのかな。てめェの感想なんざどーでもいいんだよ、しっかり仕事しろ馬鹿野郎がってブチ切れてた割に俺の仕事、結構信頼してくれちゃってるし。
「まァ、ドンペリ追加してくださるんですかァ? 嬉しいィ♡」
俺の目に映る局長の惚れた女ねェ。
そんなのどこにでもいるようなキャバ嬢でしょうに。局長のことなんざ羽振りのいい上客としか思ってないでしょうに。
しかし、この娘、親の遺した道場のために身売りしようとしたんだったっけ。だったら局長に娶られれば道場経営も安泰だろうに。ただのゴリラに見えて局長は天然理心流四代目宗家だからね。天堂無心流の免状もすぐに受けてあっちゅう間に指南するまでになるでしょう。
その道を選ばないとなると、やっぱり他に好いた男がいるってことかな。するとやっぱり大怪我負った万事屋の旦那を自宅で療養させてただけあって万事屋の旦那とか? ゴリラストーカー対策で要塞化した自宅で楽しくやってたもんな。
「しっかし、お妙さんのサンタクロース姿、かわいいですねッ! 普段の着物姿ももちろん綺麗ですけどサンタ風のスカートとか華やかでいいなァ~」
ん? あれ? 上客でしかないエロ幕臣相手にもそんな楽しそうに笑うんだ?
「やーだ、もォ!」
「アベシっ!」
「近藤さん、恥ずかしいからそんな見ないでくださいよ、もう~!」
「ヒデブっ! でへへ、だってお妙さんかわいいんだもん~」
そっかァ。この人たち、単に楽しんでるだけか。あーあァ。これじゃァただの骨折り損のくたびれ儲けじゃないか。泣く子も黙る真選組監察方が出る幕なんざありゃしない。
「山崎、どうした」
不意に横顔を見せたままの局長に声を掛けられて冷やりとしたが中座したポニーテールのキャバ嬢にこの前局長が仕事の合間に買い物していた簪(かんざし)を見た俺は口元だけで笑って答えた。
「クリスマスキャンペーンのすまいるで局長が根こそぎ掏(す)られないように見張っとけって副長に呑み代という名の駄賃握らされました」
「人聞きの悪いこと言うなァ、トシは。掏られてねェさ。俺はあの笑顔を買ってんの」
局長のテーブルに高価なシャンパンボトルが開いているのに目をやり苦笑する。
「女は金がかかりますね」
「懐は厚みがなくなっても胸は温まるからな。そう、ハートウォーミングだ、ザキ」
「何をまた意味のわからん言い訳してんですか、やっぱり根こそぎやられちゃったんでしょ、局長。まったくもう、今日だけでいくら使っちゃったんです? また副長から大目玉くらいますよ。今日はもうお家帰りましょう、ね?」
「あら、山崎さん、こんばんは」
局長の金のかかる女が戻って来るなり笑顔で挨拶してくれる。
女の笑顔は確かに悪かないけどね、でも今日はもう許したげて。一見、平然そうな局長の本当の顔が泣いてるよ。俺には見えるよ。ゴリラが薄くなった財布握りしめてしくしく泣いてるのが見えるよ。
「もうお帰りになるんですか?」
「いいえ、あなたの近藤勲はまだ帰りませ……ん? フルーツ?」
「はい。クリスマス当日は近藤さん、お仕事なんでしょう? だから、ささやかですけど一足お先にお店からのクリスマスプレゼントです」
フルーツ盛り合わせがテーブルに置かれ、耳打ちされた局長は
「と、特別?! 俺だけに?!」
と、声を高らかに喜んじゃってるけど、それって単にキャバ嬢の常套句だよ、局長。
「山崎さんもご一緒しませんか?」
「え? でも……」
「山崎もご一緒しなさい、うん」
一人前以上は優にあるフルーツの皿を目の前にそのフツールを食べさせっこしてだのしないだのときゃいのきゃいのするゴリラバカップルを目の前に、どう考えても邪魔者でしかない俺を招き入れたふたりについて監察する。いや、ゴリラふたりだから観察か。
常連客の真選組局長の部下が来店していることを知っていて、尚かつ女目当てで店通いしてても局長の人柄なら快くその部下を招き入れることを知っていた。
キャバ嬢としていい仕事してるし、局長の人柄をちゃんとわかっている。それなら、人としての魅力のみならず男としての魅力もわかっているはずだろうに。本当に惚れていない? 嫌いじゃないのはわかるけど、どうだろう、わからないな。ふたりでバカやってるのが楽しいって以外にも収穫が欲しいな。
「おふたりはつき合ってるんですか?」
単刀直入に訊くと局長の想い人は言った。
「つき合ってないです」
見事な断言っぷりに局長は涙目になる。
「サンタさん、恋人が欲しいです……」
「それじゃあサンタさんとおつき合いされたらいいじゃないですか」
サンタコスプレのキャバ嬢に言われた局長は、はっとして言った。
「その手があった!! お妙さん、俺とつき合ってくださいッ!!」
言われてきょとんとしたポニーテールのサンタは握られていた手を慌てて振り離した。
「だから何回も言ってるだろ、つき合わねーよ」
「でもさっき、お妙さん、サンタさんとつき合えばって言ったじゃん」
「言ったけど、言ってません」
「なんですかソレ、ずりィですよぉー」
「……わかりました」
ポニーテールサンタは不貞腐れるゴリラの口元にカットされたバナナを運んだ。少し恥ずかしそうにしながらもアーンしてくれるらしいポニーテールサンタに気をよくした局長は差し出されたバナナを食べる。
「やっぱり、お妙さんは俺に幸せを運んでくれるサンタさんだ」
アンタがサンタさんじゃないのかよ。確かに女子にアーンしてもらえるの幸せだろうけどさ。今日はキャバ嬢がサンタだけどさ。
次々に運ばれるフルーツを食すゴリラが不意に真面目に言った。
「似合ってます」
ゴリラにフルーツを運ぶサンタの手が止まり、やっぱり少し恥ずかしそうに簪の飾りを揺らした。
「ありがとうございます……」
コレ俺いるゥゥゥ?! この場に俺、全然必要ねーじゃん! 俺何のためにこっちのテーブル招かれたの?! フルーツ盛り合わせほとんどエロいゴリラが食べちゃってんだけどォォォ!!
副長、とんだ無駄足ですよ。マジ勘弁してください。
山崎退監察レポート。クリスマスキャンペーン中のスナックすまいるにて。ゴリラ・ゴリラ・ゴリラがゴリラ・ゴリラ・ゴリラにバナナなどのフルーツを食べさせていました。現場からは以上です。
彼女はサンタクロース
Text by mimiko.
2017/12/24