近→妙の近藤さん独白。
武州の道場の関連が捏造されてます。
武州の道場の関連が捏造されてます。
僕が彼女を好きな理由
坂田銀時。お妙さんと親しげに話す野郎は、お妙さんによって許嫁申告されたがどうやら違っていたらしい。俺のプロポーズを断る手段としてのでっち上げであっても、お妙さんが野郎に惚れているのなら手を引いてもよかった。だが、せっこい小細工で決闘を侮辱した。お妙さんがそんなちっせェ男に惚れるわけがない。いや、お妙さんならそんな小せェ男であってもすべて受け入れるのかもしれない。しかし、端から奴は言っていた。嫁のもらい手があって良かったと。本性がバレねェうちに幕臣と入籍しておけと。奴にお妙さんと結婚する意志はないということだ。ていうか残念ながら、お妙さんの本性ならばとうに知っている。あ、いや、残念っていうか、うん……元気な娘さんっていうか、まあ、俺はどんなお妙さんでも愛すけどね。お妙さんが俺のケツ毛ごと愛してくれたように、ありのままのお妙さんを受け止める。どんな人生を歩んでいようともだ。だから、俺は彼女を受け止めるだけだと思っていた。
一旗揚げようと田舎から出た。松平のとっつぁんに拾われて俺たちは真選組という御旗を掲げることができた。局中法度を魂とし、市井の人々の平和と安全を護る正義を以って胸を張る。私的なことはさて置き、総じて日々、充実していた。それなのに、ここへ来て故郷に置いてきたものを思い出した。
あのまま江戸へ行かなければ、俺は剣術を教える一生を送っていたはずだ。気立てのよい娘を嫁に迎えて子を生し、門下生を募り、やがて子にも剣を教え、そして昔を思い出しながら老い、息絶える。師がそうだったように俺もその道を辿ったのだろう。
真選組という未来がある道を選んだことに後悔はない。生まれ育ったあの地で仲間と出会い、俺は導かれた。感謝している。だから、自分の過去を振り返ることなどありはしないと思っていた。
だが、真選組局長の妻に相応しいすべてを包み込むおおらかな心を持ち、ただの近藤勲という男が惚れたその相手に振り向かされた。
お妙さん、新八くん。あの時、残してきたのがミツバ殿と総悟だったらと思うと、俺は君たちの夢を応援したいと純粋に思ったんだよ。頼る親も師も不在ならば、心許ないだろう。俺は、頼ってくれとはおおっぴろに言えない身だけに君を追い回すことしかできない。だが、君たちの側にはあの白髪パーマも俺もいる。俺の悪友たちもきっと力になってくれる。行き詰ってどうにもならなかった時は頼るといい。
とか言いたいけど、やっぱり『そんなの余計なお世話ですぅ』とか言うんだろうな、お妙さんは。
一旗揚げようと田舎から出た。松平のとっつぁんに拾われて俺たちは真選組という御旗を掲げることができた。局中法度を魂とし、市井の人々の平和と安全を護る正義を以って胸を張る。私的なことはさて置き、総じて日々、充実していた。それなのに、ここへ来て故郷に置いてきたものを思い出した。
あのまま江戸へ行かなければ、俺は剣術を教える一生を送っていたはずだ。気立てのよい娘を嫁に迎えて子を生し、門下生を募り、やがて子にも剣を教え、そして昔を思い出しながら老い、息絶える。師がそうだったように俺もその道を辿ったのだろう。
真選組という未来がある道を選んだことに後悔はない。生まれ育ったあの地で仲間と出会い、俺は導かれた。感謝している。だから、自分の過去を振り返ることなどありはしないと思っていた。
だが、真選組局長の妻に相応しいすべてを包み込むおおらかな心を持ち、ただの近藤勲という男が惚れたその相手に振り向かされた。
お妙さん、新八くん。あの時、残してきたのがミツバ殿と総悟だったらと思うと、俺は君たちの夢を応援したいと純粋に思ったんだよ。頼る親も師も不在ならば、心許ないだろう。俺は、頼ってくれとはおおっぴろに言えない身だけに君を追い回すことしかできない。だが、君たちの側にはあの白髪パーマも俺もいる。俺の悪友たちもきっと力になってくれる。行き詰ってどうにもならなかった時は頼るといい。
とか言いたいけど、やっぱり『そんなの余計なお世話ですぅ』とか言うんだろうな、お妙さんは。
僕が彼女を好きな理由
Text by mimiko.
2015/02/27