しないと出られない部屋に入ってた近妙。
銀魂NL版深夜の60分一本勝負(https://twitter.com/GntmNL60m)2016/03/28(月)付のお題。
銀魂NL版深夜の60分一本勝負(https://twitter.com/GntmNL60m)2016/03/28(月)付のお題。
キスしないと出られない部屋
はァァァ?!キスしないと出られない部屋だァ?!
近藤は閉じ込められた部屋のドアノブを激しく回す。
ふざけんじゃねーぞ!万が一キスなんぞしちまったら瞬殺されちまうじゃねーか!
額に汗を滲ませ、ドアノブを回し続ける。が、手の平に掻いた汗で滑ってドアノブから手が離れてしまった。慌ててドアノブを掴むと背後で草履がにじり寄る音がした。背中から嫌な汗が噴き出る。
「どうしました、近藤さん?」
落ち着いた妙の声に近藤の肩が竦む。背を向けたまま無言でいる近藤に妙は改めて声をかける。
「あの、まさかと思いますけど閉じ込められたりしてませんよね?」
疑念を否定することを当然とし、明らかに同意を求められている。
だよね、そうだよね、俺もそう思いたいです、お妙さん!嬉しい……じゃなかった、この奇々怪々な条件を実行せねば解錠ならねーなんてどう考えてもおいしーもん!……じゃなかった、おかしーもん!……しかし、どうする。
ドアの張り紙を凝視したまま固まっている近藤の脇から妙が顔を出した。ドアに貼り付けられている文字を妙の目が追う。
「……近藤さん……」
と、ドアノブを軽く握ったままだった近藤の手に妙の両手が触れた。妙の指先から彼女の温もりを感じて鼓動を高鳴らせたのも束の間、近藤の視界が上下逆さまになる。腹部には人ひとりの体重が載り、呻く。
「ぐふゥゥゥッ!」
投げられ、仰向けに倒れた近藤の胸倉が掴まれる。妙の両手に引き寄せられた頭は揺らされ、やはり近藤の視界は揺れる。酔いそうだ。
「一体、どういうことですか!?」
「ちょ、揺れる、頭揺れる、お妙さんやめて」
「どういうことなのか説明してくれるまで揺らしますッ」
「いや、俺だって説明して欲、あ、酔う、マジで酔っちゃうからやめてください、お妙さん」
「あなたの仕業じゃないんですかッ」
「ち、違いますよ!うっぷ、そんなことしたって、いいこと全然ないし!」
近藤の言葉に妙の手が止まった。
「……そうですか……」
力なく呟いた妙は近藤の頭を寝かせて手を離した。先ほどまでの威勢はどこへやらだ。
「お妙さん……?」
「もう、いいです……」
「え……?」
「私とキスしたって、いいこと全然ないんでしょう……?」
「えッ!」
そっち?!てかそんなわけねーじゃん!
「誤解です、お妙さん!」
全力で誤解を解こうとした姿勢がそのまま行動に出る。近藤は妙の両肩を軽く掴んで真っ直ぐに見つめた。
「俺、今すぐお妙さんとキスしたいですッ!」
「あら、そうですか」
と、微笑んだ妙は近藤の鼻に右拳を打ち込んだ。
だよね、そうだよね。俺もそんなことだろうとは思ってたよ。
打たれた鼻をさすりながら近藤は妙に言う。
「お妙さん、下がっててください」
促されるまま数歩下がった妙は、ドアを蹴破る近藤の後ろ姿に呟く。
「……バカ……」
「……え?お妙さん何か言いました?」
背後で声が聞こえた気がした近藤は振り返ったが、妙はいつもの調子で微笑んだ。
「いいえ、何も言ってませんけど」
近藤は閉じ込められた部屋のドアノブを激しく回す。
ふざけんじゃねーぞ!万が一キスなんぞしちまったら瞬殺されちまうじゃねーか!
額に汗を滲ませ、ドアノブを回し続ける。が、手の平に掻いた汗で滑ってドアノブから手が離れてしまった。慌ててドアノブを掴むと背後で草履がにじり寄る音がした。背中から嫌な汗が噴き出る。
「どうしました、近藤さん?」
落ち着いた妙の声に近藤の肩が竦む。背を向けたまま無言でいる近藤に妙は改めて声をかける。
「あの、まさかと思いますけど閉じ込められたりしてませんよね?」
疑念を否定することを当然とし、明らかに同意を求められている。
だよね、そうだよね、俺もそう思いたいです、お妙さん!嬉しい……じゃなかった、この奇々怪々な条件を実行せねば解錠ならねーなんてどう考えてもおいしーもん!……じゃなかった、おかしーもん!……しかし、どうする。
ドアの張り紙を凝視したまま固まっている近藤の脇から妙が顔を出した。ドアに貼り付けられている文字を妙の目が追う。
「……近藤さん……」
と、ドアノブを軽く握ったままだった近藤の手に妙の両手が触れた。妙の指先から彼女の温もりを感じて鼓動を高鳴らせたのも束の間、近藤の視界が上下逆さまになる。腹部には人ひとりの体重が載り、呻く。
「ぐふゥゥゥッ!」
投げられ、仰向けに倒れた近藤の胸倉が掴まれる。妙の両手に引き寄せられた頭は揺らされ、やはり近藤の視界は揺れる。酔いそうだ。
「一体、どういうことですか!?」
「ちょ、揺れる、頭揺れる、お妙さんやめて」
「どういうことなのか説明してくれるまで揺らしますッ」
「いや、俺だって説明して欲、あ、酔う、マジで酔っちゃうからやめてください、お妙さん」
「あなたの仕業じゃないんですかッ」
「ち、違いますよ!うっぷ、そんなことしたって、いいこと全然ないし!」
近藤の言葉に妙の手が止まった。
「……そうですか……」
力なく呟いた妙は近藤の頭を寝かせて手を離した。先ほどまでの威勢はどこへやらだ。
「お妙さん……?」
「もう、いいです……」
「え……?」
「私とキスしたって、いいこと全然ないんでしょう……?」
「えッ!」
そっち?!てかそんなわけねーじゃん!
「誤解です、お妙さん!」
全力で誤解を解こうとした姿勢がそのまま行動に出る。近藤は妙の両肩を軽く掴んで真っ直ぐに見つめた。
「俺、今すぐお妙さんとキスしたいですッ!」
「あら、そうですか」
と、微笑んだ妙は近藤の鼻に右拳を打ち込んだ。
だよね、そうだよね。俺もそんなことだろうとは思ってたよ。
打たれた鼻をさすりながら近藤は妙に言う。
「お妙さん、下がっててください」
促されるまま数歩下がった妙は、ドアを蹴破る近藤の後ろ姿に呟く。
「……バカ……」
「……え?お妙さん何か言いました?」
背後で声が聞こえた気がした近藤は振り返ったが、妙はいつもの調子で微笑んだ。
「いいえ、何も言ってませんけど」
キスしないと出られない部屋
Text by mimiko.
2016/03/30