近妙ベースに少々沖神、ほんのり銀妙。

花火より屋台

「今日はいらっしゃらないものだと思ってましたよ」
 近藤の隣に腰掛けた妙はそう言い、水割りを作り始める。
 今晩は夕方から江戸でも有数の花火大会が催され、真選組はその警備に当たっていた。前日までしつこいくらいに花火大会には行かないのかと訊かれていた妙だったが、この通り、いつものようにスナックすまいるで接客していた。
 中の氷をからんと鳴らせ、グラスはコースターの上へ置かれた。近藤は礼を言い、乾いていた喉に水割りをひとくち流し込む。
 やっぱりお妙さんが作ってくれる酒は美味いな。
 近藤は微笑んだ。
「花火大会の本会場近隣の店は悪乗りした輩の被害を受けると毎年報告があるんです。だから心配で来ちゃいました」
 確かに毎年そのようなことがあったと翌日のテレビニュースや新聞で知る。しかし、妙が勤めている店は本会場まで近いといえば近いが間近にあるという程ではない。それにこの近辺の店は花火大会のお陰で客足がぐっと下がる。すまいるも例外ではなく土曜の夜だというのに店はがらんとし、客は近藤も含めて数人。そして妙を指名する客は近藤が始めてだった。
 妙は、はっとして近藤の横顔を見た。
 私に指名を入れさせようとした?だから着替えもせずに仕事帰りのその足で来てくれたの?
 近藤は妙の視線に気づき、にこりと笑うとグラスを置いた。妙にじっと見つめられ、表情を緩ませ尋ねる。
「どうかしました?」
 気が抜ける。そうだった所で礼を言う気さえ失せる。この男のへらついた顔、声にいつも苛立たされる。こちらが見ればそうやって笑い、こそこそと後をつけてくる。
 帰宅の途につく自分の後ろで歩幅の大きな足音がし、妙は溜め息をついた。
 閉店間際になると近藤は店を出る。妙が雑務を終わらせて店を出ると決まって路地裏に潜んでいた近藤が姿を現すが、妙は見てみぬ振りをし、近藤の前を通り過ぎて自宅へと向かう。おそらく近藤は肩を落としながら自分の後をついてきているのだろう。しかし、自宅の前まで来ると決まっていつもの気の抜けるような声で言う。
――お妙さァん、お休みなさァァい!――
 妙は振り返らず聞こえていないように自宅へ入るが、あの調子だと手を大振りしていることだろう。
 大の男のすることではない。好きだの結婚してくれだのと言う割りに一方的にあちらの気持ちをぶつけてくるだけで、口説いてはこない。からかわれているのだろうか。面白がって楽しんでいるのだろうか。それにしては後をしつこくつけ回し、性質が悪い。自分は近寄ってくる近藤を容赦なく殴り飛ばしているが、それを悦んでいるのだろうか。
 近藤さんってマゾ?
 後ろの人の気配を感じなくなり振り返った。すると近藤がすぐ傍におり、妙は驚いて後ずさりながらよろつく。近藤は腕を回して妙の背中を支え、足が止った。
「驚かせちゃいましたか?すみません。さっきから呼んでたんですけど気づいてないみたいだったから……」
と、回していた腕を下ろす。
 ……下心ないの?いつもなら隙をついて手を握ろうとしたりするのに……。
「お妙さん、花火しませんか?」
「え?」
「と言ってもコンビニの花火、ほぼ売れてて線香花火しか買えなかったんですけど」
 近藤は制服のポケットから線香花火の袋を取り出す。
「いっぱいあるんで束ねたままどちらが長く続くか勝負しましょうか」
 無邪気に笑う近藤に、思わず妙は顔を綻ばせた。
 子供みたいな人ね。だけど本当に下心ないのかしら。
 妙は近藤に顔を向けたまま瞼を閉じた。近藤は目を見張った。
 お妙さん?!何ソレどういうこと?!え!?いいの?!
 近藤は瞳を閉じたままの顔を見つめ、生唾を飲み込むと妙の両肩に手を添える。近藤が近づいてきているのを感じて妙は瞼を上げた。瞳を閉じた近藤が背を屈め、角度をつけた顔が近づいてきている。無骨な顔つきだがそれ程悪い顔ではない。こんな至近距離に居ても不思議と嫌悪は感じない。しかし前言撤回だ。
 下心ありありでいやらしい男だわ、このゴリラ。たまに無害ですみたいな顔するけど有害物質以外の何物でもないわ。
 妙は近藤の鼻に頭突きを食らわせ、近藤は悲痛な呻き声を上げながら鼻を押さえた。
「お妙さん、酷いです……」
 目には涙が浮かんでおり、何とも痛そうだ。妙は、くすりと笑うと恒道館道場の門を潜る。
「この私に勝負を挑んでくるんですから負けたらハーゲンダッツ1ダースですよ」
 笑みを含んだ声の妙の後姿に、近藤は表情を瞬時に明るくさせた。
「はいィィィ!」
「間違って勝ったら10ダースですよ」
「はい、負けませんよ!勝ってお妙さんにハーゲンダッツ10ダース持ってきます!」
 近藤は握った両手の拳を振り、妙は好物のアイスクリームを献上する約束を取り付け気を良くした。
「おまえ、なんでついてくるネ」
「いーじゃねーか。てめェが持ってるロケット花火、俺にやらせろィ」
「いやアル、その手を離すアル!」
 聞き覚えがある男女の声に妙と近藤が振り返ると、コンビニのビニール袋を奪い合う神楽と沖田を先頭に同じ袋をぶら下げた銀時と新八がこちらにやって来ていた。一同は妙と近藤の姿を見て歩みを止める。
「あ、近藤さん。先に帰ったと思ったらこんな所にいたんですかィ」
 沖田はイカ焼きをかじりながら近藤を見る。
「総悟、仕事は?まだ見物客の誘導やってる時間だよな?」
「安心して下さい。土方に押し付けてきましたァ」
「ええ。」
 本来なら近藤も最後まで花火大会の警備をするつもりだった。だが、そわそわと落ち着かない近藤を見て気を利かせた土方は、後は自分に任せろ言い、近藤は仕事を抜けてきた。沖田がここに居るということは土方の仕事量が増えるということだ。近藤は土方に悪いことをしたと仕事を抜けてきたことを悔やんだ。
 スマンな、トシ。今度奢るから許してくれ。
「ほら、近藤さん久々に花火したいって童心に返ってたじゃねェですかィ」
 総悟ォ……。
 近藤は沖田の心遣いを嬉しく思い、胸を熱くする。
「だから近藤さんの好きな線香花火……あれ?」
 沖田は神楽のコンビニの袋を離して自分の袋の中を探ったが目当てのものがなく、ふと近藤が持っていた線香花火を見つけた。
「あ、それそれ」
と、沖田は近藤から線香花火を取る。
 あ。
 近藤は行こうとする沖田をぽかんと見つめた。
「さすが近藤さん、気が利くなァ」
 総悟、それお妙さんと一緒にしようと思った線香花火……。
「あ、ちょっと待てチャイナ。そのロケット、俺によこすアルネ」
 沖田は門を潜っていた神楽を追っていった。
「うぎゃァ!私のマネするナ!気持ち悪いネ!」
 神楽は沖田の手を避け、庭へと行ってしまった。
「コンビニで花火買ってたら沖田さんと出会ったんです」
と、新八は屋台土産の林檎飴と綿菓子を妙と近藤に一本ずつ渡す。銀時は妙にお好み焼きの包みを渡し、近藤にはチョコバナナとイカ焼きを渡した。それでも減らない花火とは別にぶら提げている屋台土産袋に銀時は溜め息をついた。
「なんだえらく買い込んでるな。最近、万事屋儲かってるのか?」
 近藤に尋ねられ、銀時は頭を掻いた。
「ちげーよ。お宅のS王子の神楽への貢ぎもんだ。店にあった最後のロケット花火を買い占めたとか言ってコンビニからずっとあの調子で奪い合ってやがんの」
「食べ物で釣れると思ったら大間違いだって、神楽ちゃんもなんか意地になっちゃってるし」
 新八は苦笑する。
「立ち話もなんだからさっさと入って下さい」
 妙は微笑み、玄関へ入り、新八も後に続いて入って行った。
 銀時と近藤は庭へ回り、縁側に腰かけてチョコバナナをかじる。
「みんな考えることは同じだな」
 近藤は神楽と沖田の組み合いを眺めながら呟いた。
「たく、あいつらも飽きねーなァ」
と、ふたりを眺める。チョコバナナを食べ終えると銀時は袋の中を漁り、フランクフルトを二本取り出して一本を近藤に渡した。  何が面白くて男ふたりで花火大会の屋台土産を黙々と食べているのだろう。銀時はやり切れなさを誤魔化すように呟いた。
「あー、一杯やりたくなってきたなァ」
「おお、そうだな」
 近藤も同意すると、新八が大きめの盆を手にやってきた。
「今、姉上が燗つけてますよ」
 盆には切られた西瓜が載せられていた。新八はそれを縁側に置くと庭に出て花火用のバケツを用意する。
「神楽ちゃんも沖田さんもまだやってるんですか。西瓜持ってきましたよ、西瓜」
 新八の声に神楽は、さっと沖田の牽制を避け、縁側へやって来ると銀時の横へ座った。
「なんでィ、チャイナ。色気より食い気かよ」
 え?色気?どこが?――銀時、近藤、新八は一斉に沖田を見た。
「おまえにくれてやる色気なんてないネ」
 神楽は素っ気なく言うと西瓜をかじる。
「代わりに種くれてやるネ。受けるヨロシ」
と、口に残った西瓜の種を沖田に向かって飛ばした。
「何しやがるチャイナ」
 沖田も西瓜をかじり、口内に残った種を神楽へ飛ばす。
「種飛ばし女王と崇められたこの私に挑んでくるとはいい度胸アル。手加減はなしアルヨ」
「手加減だァ?サディスティック星人を舐めてもらっちゃァ困るぜィ」
 沖田と神楽は西瓜を両手に取ると立ち上がり、かじっては種を飛ばし合う。
「あーあー、きったねェ対決始めちまいやがったよ。S王子の教育ちゃんとしてんの?」
 銀時は呆れ顔、近藤は笑顔でふたりを見る。
「ははは、楽しそうでいーじゃねーかァ」
 そこへ盆を持った妙がやって来て庭のふたりを眺めた。
「あら、困ったわねェ。これじゃあ、うちの庭が西瓜畑になっちゃうわァ。近藤さん、今晩のうちに一つも残らず種、拾っておいて下さいね」
と、銀時と近藤の間に膝を突いた。
「え、今晩のうちって、あの、暗くって種とか無理……」
 先程の穏やかに微笑む表情とは打って変わって鋭く険しい表情で睨みつけられ、近藤は体を硬直させた。
「侍に二言はありませんよねェ、銀さん」
「そーそー」
 銀時は適当に相槌を打ち、屋台土産の袋を探る。
「そんな、二言も何も一言も……」
「近藤さん、何か仰いました?」
 妙に笑顔で尋ねられ、近藤は冷やりとした。
「い、いえ、何も……」
 ああん?なんか文句あんのかァ?って言ってる顔だ……。
 近藤は頬を引き攣らせながら笑う。
「子の尻拭いは親がするもんだ」
「そうよね、いいこと言うわァ、銀さん。てめェもちゃんと拾っとけよ」
 妙は先程近藤に向けた見た者を凍りつかせるような笑顔を銀時にも向けた。
「だってさすがにゴリラひとりじゃ、この庭一面、一晩は無理でしょう?」
と、微笑みながら庭を飛び回る神楽と沖田を見る妙。
 んなァァァァ!何やってんの君たちィィ!――銀時と近藤は口を開き、声にならない叫び声を上げると同時に立ち上がった。銀時は神楽、近藤は沖田の頭に拳骨を一振り入れ、猫の首を掴むように編側へ引きずり、自分達を挟むように神楽と沖田を脇に座らせた。
「よそのお家に来た時はお行儀良くしようね!」
 銀時と近藤は目を吊り上げ声を合わせた。一喝され、神楽と沖田はしょぼくれながら声を合わせ返事する。
「はーい……」
「どこの親でも同じようなものなんですね」
 妙はくすりと笑い、銚子二本、猪口二個を乗せた盆を置いた。神楽と沖田はそれぞれ花火を物色し出す。
「そういや、ぱっつぁんは?」
 銀時は手にした猪口に酒を注がれながら辺りを見回した。近藤はフランクフルトを食べ終え猪口を手にし、暗闇で小さな火を放つ線香花火を見つけ、それを持つ新八を見つけた。
「あれ……」
と、指差し、銀時と妙もその方を見る。自分の存在にようやく気づかれ、新八はふて腐れながら呟いた。
「さっきから花火しようって声掛けてるのに誰も僕のことなんて……。いいですよ、どうせ僕なんていてもいなくても同じようなもんなんですから」
 猪口を持っていた近藤に酒を注ごうと妙は銚子を向ける。が、近藤は猪口をもう片方の手で覆い、微笑んだ。
「すみません、後で頂きます」
と、立ち上がる。新八の方へ行こうとして振り返った。
「あ、銀時、俺の酒残しとけよ。後でお妙さんに御酌してもらうんだからな」
「へいへい」
 銀時は気だるそうに返事し、酒を飲む。
「新八君、どちらが長く続くか勝負するか!」
 しゃがんでいる新八はご機嫌な様子の近藤を一度見上げて線香花火の火に視線を戻した。
「地味な僕には地味な勝負がお似合いってことですか」
「はははっ、地味に見えても奥深いぞ」
 拗ねている新八の横へとしゃがみ、近藤は新八の背中を叩いた。その拍子に線香花火の火が落ちる。
「あァァ!近藤さん何するんですかァァ!今回の大事に育ててたんですよォォ!」
 新八は立ち上がると地団太を踏んだ。地味な勝負は御免だと謂わんばかりだった新八は線香花火を最後まで楽しめなかったことに怒りを露にしている。
「だァはっはっ!スマンスマン!」
 近藤は笑い飛ばし、力なくしゃがみ込む新八の肩を景気良く叩いた。一方、神楽と沖田は打ち上げ花火を上げ、派手さがどうだの競い合っている。銀時は屋台土産の袋から新たに取り出していたたこ焼きを摘みながら妙の酌を受け、線香花火に火を灯す近藤と新八を見やり、薄く笑った。
「いー男じゃねェか」
 妙は銀時の持つ猪口から銚子を離し、近藤と新八を見た。
「ありゃァ子煩悩な親父になるぞ」
と、酒を飲み、猪口を空ける。
「そうですね」
 妙は銚子を持つ両手を伸ばし、銀時を見て手を止めた。物珍しいものでも見るような顔で見られている。
「誤解しないで下さい」
 妙は変わらない調子で猪口に酒を注いだ。
「面倒見が良くないと局長なんて役職、務まらないでしょう。万事屋も同じですよ。なんでも引き受けるだなんて面倒見が良くないとできません」
 銀時は鼻で笑い、口につけた猪口を傾けた。
「買いかぶってんじゃねーよ。て、何気にゴリラと同類にされてんの?オイオイやめてくれよ。あんなバカと一緒くたにされんのは御免だぜ」
 妙は微笑み、近藤の話を真剣に聞く新八を見やった。新八は妙に振り返り、手を振る。
「姉上も勝負しましょうよー。コツ聞いたから僕、負けませんよー」
「はいはい。ゴリラの有り難い御教示って本当にためになるのかしら」
 呼ばれて庭へ下り、妙は新八と近藤の間にしゃがむ。銀時は楽しそうに笑う妙達を見て、ふっと笑うと手酌する。一度置いた銚子をまた手にすると違和感をありありと感じ、左手見た。すると握ったはずの銚子が打ち上げ花火になっており、その打ち上げ花火の導火線にマヨネーズ型ライターが近づき、火が点けられた。銀時は目を白黒させながら庭に下り、花火に火を点けた人物を見る。
「おいィィ!これ、火ィィィ!」
 沖田は手に持っているライターの火を点けたり消したりと弄んでいる。
「これ手持ちのじゃないよォォ!ちょっと沖田君何やってんのォォォ!」
「ひとりで酒飲んでねェで旦那も一緒にやりやしょーぜィ」
「一緒にってね、俺だけひとりで盛り上がって打ち上げ花火持ってみましたよウッヒャーってなってるよねコレ!それに何そのムカつくライター!」
「これですかィ?土方からくすねてきやした。わー綺麗だなー」
 沖田は冷静に花火を観賞し、銀時は手に掛かる火の粉を熱がる。
「うぁちィ!それホントに綺麗だと思ってんのォォなんか感情こもってないよね!アチアチ!ちょっゴリ!お宅の子危ないんですけどォォォ!」
 銀時は近藤に向かって叫ぶと、近藤は首だけ銀時に向けて線香花火を持っていない方の手で制止する。
「スマン、今は黙っててくれ……」
と、手を下ろして線香花火に視線を戻した。妙は自分の線香花火を近藤に近づける。
「あ、ちょっとお妙さん、俺のに寄って来てます。やめて下さい、真剣勝負ですよ」
 近藤は真剣な眼差しで妙を見る。
「あら、私のと一緒になりたくないんですか?」
 上目遣いで妙に見つめられ、近藤はどきりとした。
「え、や、それは……」
 鼻の下を伸ばした近藤だったが、新八からの視線を感じて咳払いを一つした。
「ダメですよ、お妙さん」
 また真剣な眼差しで妙を見るが、妙は面白くなさそうに唇を尖らせて自分と近藤の線香花火の火をくっつけた。
「ああァァァ!ダメって言ったじゃないですかお妙さんんん!」
 近藤は頭を抱えて立ち上がり身悶える。
 あ、そんなに悔しかったんだ――妙と新八は悔しがる近藤を呆れた顔で見上げた。
「ちくしょー銀時ィィ!てめェのせいだからなァァァ!」
 銀時に指を差したはずの手に打ち上げ花火を握らされ、近藤はきょとんとした。その花火の導火線には火が点いている。
「ゴリはコレ持つネ」
 火が点けられた打ち上げ花火を両手に持たされ、近藤は慌ててその場を離れた。
「ちょっとチャイナさんんん!火ィ点いてるんですけどォォ!」
「あの男に負けたくないアル」
「いや負けたくないってコレ地面に置いて楽しむやつだよ!しかもどういうところに勝敗ポイントあるのォォォうぁちィィィ!」
「沖田くんんん!頭はやめてお願いィィィ!髪焦げっから銀さん部分ハゲとかヤだからァァァ!」
 銀時の悲壮な叫び声が上がり、新八は苦笑した。
 はははは、あーあもう無茶苦茶だァ……。
 ふと妙が肩を震わせて笑っているのに気づき、微笑む。
「姉上。父上と一緒に行った花火大会も楽しかったけど、今日みたいな花火大会もいいですね」
 妙は笑いを治め、微笑みながら頷く。
「そうね。馬鹿馬鹿しくってとっても楽しいわね」
 はいと、新八は頷き返した。一方、銀時と近藤は真剣な表情で顔を見合わせ、交互に飛び移動する。銀時は神楽、近藤は沖田の前に立ちはだかり、頭に拳骨を入れた。
「火遊びする時は大人の注意をよく聞こうね!」
「はーい……」
 再度、銀時と近藤に一喝され、神楽と沖田はしょぼくれながら返事した。
花火より屋台
Text by mimiko.
2009/08/07

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