「建前と本音の紙一重」の続き。
引き続き近と妙がちゅうしてたり入ってないけど際どかったりします。
包み隠さずに思いの丈をぶっちゃけてる下劣で下品な勲とラッキースケベです。

冗談と本気の紙一重

 だよね、そうだよね、このままできるとか、ないよね。新八君はいないようだし、お妙さんはキスさせてくれたし、このままやれるッ!とか思ったけど、そう簡単にはいかないよね、わかってたよ、わかってた!
 瞼裏でちらつく火花の奥で先程の口づけを思い返す。
 けど、夢じゃないもんね!俺とお妙さんがベロチューしたのは紛れもない事実ッ!俺みたいなムサ苦しい野郎は御免なんだと思ってたけど、なんだよォ、お妙さん、俺でも全然イケんじゃん?あ、そういえば尾美一塾頭もムサい系だったじゃねェか。なるほどなァ、俺のことを完全無視できないのってそういうことだったんだァ。
 鼻の下を伸ばして上半身を起こした近藤は、妙の両腕をそっと掴んで口づける。
 この娘、初恋の男と俺を重ねてたな。だったら今は亡き初恋の男ができねェことを、君の心の中に彗星のごとく現れたこの俺がしてやんよ。発射前まではいつも来ていたものの、ずっと待機していたままだった俺のアームストロング砲を今こそ放つ時ッ!
 唇が合わさる角度を変えながら籠る妙の声を誘うようにねっとりと愛撫する。妙を襲った悪寒は、熱く絡みつく舌と唇によって瞬く間に快感に変わる。
「ん、やっ……」
 肩を震わせる妙の背に手を回して抱き寄せると、まるで妙のすべてを絡めとっているかのように錯覚し、恍惚とする。
 あのじゃじゃ馬が俺の腕の中で大人しくしてる。ああ、もっと。この娘のすべてを奪って、余すことなく愛したい。
 合わさった唾液を啜り、その甘美な味に舌なめずりをすると、潤んだ瞳がこちらを見上げた。まるで雄に食われるのを待つ雌だ。近藤は小さく笑う。が、それは妙の癇に障ったらしい。妙は眉を吊り上げて近藤を押し倒した。馬乗りになり、頬を左右の拳で打つ。じゃじゃ馬は、じゃじゃ馬でしかない。故意か不意か、着物の下で猛っていたそれが下着越しのそこに何度もあてがわれ、近藤は頬の痛みなど感じなくなる。
「ちょッ、ごふッ、やめッ、お妙さんッ、ぶふッ、マジやめてッ」
 どういう調教の仕方でくんのこの娘。生娘でこれだったら恐ろしすぎるんだけどッ!
 言われて妙の手が止まった。近藤は細腰を掴んで分身をそこへあてがった。びくりとした妙は、眉根を寄せて近藤へ縋る。
「や、違う、違うの、近藤さん、私、そんなつもりじゃなかったんです、だから、ぁん、突き上げたら、だめッ、やんッ、近藤さんッ、だ、ダメだっつってんだろがッ、調子のんなこのエロゴリラァァァ!」
 甘い抵抗を吹き飛ばすドスの利いた力強い声に両肩をわし掴まれて頭を揺さ振られた。一瞬、遠のいた意識が戻ると視界に細い指が飛び込んできた。
「あべしッ!」
 とどめの目つぶしを食らってのた打ち回ろうとするが、跨ったままの妙にはばかられる。痛みを逃す術を封じられてはいるが、相変わらず薄い下着の中の秘裂に長着と袴を持ち上げているそれが捕えられている。
 ゴリラの生殺しにもほどがあるよッお妙さんッ!
「調子なんてのってないからねッ、生理的なもんだよッ」
「生理的って、いつも生理的に発情してるんですかッ、歩く性犯罪ですかッ」
「女に跨られたら動きたくなるのが男ってもんなんです。ていうか誤解しないでくださいよッ、お妙さんとキスしたから勃ってるんだからねッ、勃たされた上にお妙さんの大事なところで挟まれたりしたら、ずっと今まで弾詰めまくってたアームストロング砲がいよいよ発射されひでぶッ!」
 乾いた音が大きく鳴った。両平手打ちで挟まれた頬が大きなもみじ型に腫れる頃、妙の唇が近藤の唇に重なる。すぐに顔を離した妙は、挟んだままだった近藤の両頬を指で摘まんで左右に引っ張った。
「ひはいれす、おひゃへひゃん」
 まだ退かないんだけど何がしたいの、この子。
「この、エロゴリラ……、この、変態ゴリラ……」
 むにむにと引っ張られていた頬が解放されると近藤は訊ねた。
「憂さ晴らししたいんだったら突きましょうか?」
 言われて妙の動きが止まる。不信と不満を募り募らせてくれた張本人がそれを言うのかと妙の眉が引き攣る。
「冗談は顔だけにしてください」
「いや、冗談じゃねェ。本気だ」
 射ろうとする狩人の目だ。視線を逸らせば負けると直感した妙は見つめ返す。
「攫われたいってんなら、ナマで突いてあげますよ。孕ませればあなたを連れ去れる。だが、あなたはそれを望んでいない。だから、俺はあの手この手でちょっかいを出すだけにとどまってる」
「私が望んでいないことをわかってるんだったら、いい加減、諦めたらどうです?」
「冗談はよしてくれ、お妙さん。俺はあなたに惚れてる。心底、惚れてるんだ。踏まれようが蹴られようが、それは変わらねェ。諦めるってんなら、お妙さん、君のほうだ」
「え?」
「自分に嘘をつき続けるのは諦めろ。いい加減、俺に惚れてると認めるんだ。キャラとか設定とか気にしねェで、俺だけを見てればいい。君は俺から逃げられねェんだから」
 近藤は腰を動かして妙を抱き寄せた。頬に触れてから髪を撫で、顔を引き寄せて口づける。ゆっくりと撫でる舌が水音を鳴らし、妙の声が口内に響いた。唇を離すと、最初に口づけた時のようにうっとりとした妙がいる。
「お妙さんも、やっぱこういうの好きなの?」
「……え?」
 きょとんとする妙に、先週プレイしてみた美青年や美少年を攻略対象とする恋愛シュミュレーションゲームの話をする。普段は美少女を攻略対象する恋愛シュミュレーションゲーム専門の近藤だったが、最愛で最強の難攻不落である妙という女性を攻略する参考にとプレイしてみたのだ。
 イケメンの台詞は、ねーよ!と思いつつもいろいろと勉強になったからなァ。
 一通り話を聞き終えると、妙は近藤の両頬に触れて微笑んだ。口づけを期待した近藤は、すぐさまその期待を打ち破られる。妙は近藤の額へと自分の額を勢いよく打ちつけた。
「冗談は休み休み言えや、馬鹿ゴリラ」
と、にこやかに毒づかれる。
「んぐゥ、お妙さん、俺はいつでも本気です……」
 額の痛みを堪えきれず、近藤は白目を剥いた。
冗談と本気の紙一重
Text by mimiko.
2015/01/13

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