お妙さんが黒猫仕様で別人です。
捏造設定→近藤さんの自宅は屯所とは別にあって江戸一等地の高層マンションイメージ

黒猫チャンとボク

 俺は部屋に猫を飼っている。卵焼きとハーゲンダッツというアイスクリームが大好物なその猫は、人の形をしている雌で、黒くてかわいらしい耳と、黒い透け透けレースのベビードールを身に纏って主人である俺の帰りを待っている。
 そこそこ激務である仕事を終えて誰もいない部屋に帰宅するのはなかなか寂しかったが、最近飼い始めたその黒猫のお陰で俺の味気ない日常も少しは、いや、かなり楽しいものになった。
「ただいま~」
 俺はコンビニの袋を片手にオートロック式施錠の分厚いドアを開け、中に入る。玄関先に黒猫が待っているかと少しは期待したが、それは見事に外れていた。
 お妙さん、今日は待ってないか……。気まぐれだもんなァ。
 黒猫の名前は妙。俺は、お妙さんと呼んでいる。お妙さんは、俺のことを近藤さんと呼び、相思相愛だ。だが、お妙さんの扱いは非常に難しい。
 とりあえずコンビニの袋の中身を冷凍庫に入れてから各部屋を巡ってお妙さんを探す。一通り見て回ったがお妙さんはどこにもいなかった。ふと浴室で水の音がし、その方へ行ってみる。洗面所の脱衣籠にはお妙さんのベビードールがあり、磨りガラスのドアの向こうには、お妙さんらしき影が映っていた。
 間もなくして水音が止み、浴室のドアが開いた。裸のお妙さんと視線が合い、どきりとする。何か怒っているのだろうか、お妙さんは無表情だ。俺の前を通り過ぎ、バスタオルで濡れた体を拭く。
「今からするの?」
「あ、いや、それは後でも……」
 やっぱりなんか怒ってる?
 今からしてもいい、この後からすることとはセックスだ。お妙さんがうちに住み始めた時から毎晩している。お妙さんと俺はすでに、というか初めからそういう仲でもある。
 俺は極めて明るい声で報告と提案をする。
「今日はアイス買ってきました。一緒に食べましょう」
 ベビードールとストッキングを着用し、猫耳カチューシャを装着しながら少し嬉しそうな横顔を見せてお妙さんは洗面所を一足先に出た。
 機嫌悪かったのって昨日アイス買って帰るの忘れたからかな。
 俺は台所に寄って、帰宅途中コンビニで買ってきたアイスクリームのカップを二つ取り出した。味は二つともバニラだ。お妙さんの座るソファへと運ぶ。するとお妙さんは、ぼそりと言った。
「なんでふたつとも同じ味なのよ。違う味にすればよかったのに」
「あ……」
 言われて気づくが、確かに。違うものにすれば食べさせあいっこなど楽しく食べれたかも知れない。
「もう、ホントに気が利かないんだから」
「……すみません」
 こんな感じで俺は初めからからお妙さんには頭が上がらない。
 初め、そう、俺がお妙さんを初めて抱いた時、お妙さんはかなり積極的だった。
***
 大きな事件が片付いて、久々に帰宅した俺はソファでテレビを見ながらいつの間にか寝こけていた。だが、股間の方がなんか気持ちいいなァなどと目を覚ましたら、黒猫にぱっくり咥えられていた。
「んっ、ぅむっ」
 くぐもった声を洩らしながら俺の前で膝を突いて一生懸命、頭を動かす。舌を器用に使って擽られては口内に先を当てられ窄めた唇で音を立てて吸われる。久しぶりに感じるそこへの刺激はとてもよくて、なんの前触れもなしに咥えられていようが、気持ちいいものは気持ちよかった。溜まり込んでいたものを搾り取られるように飲まれ、顔を上げた黒猫を見てどきりとした。
 俺のものを咥え込んでいた唇は小さく、その端には俺が放ったものが付着し、零れたその先は、黒く透けた布地に奥の白い肌が。決して大きいとは言えないが、形の良い手の平サイズの胸の頂には黒い布地越しでもわかる綺麗な桜色があった。そして何よりその黒猫の黒に近い茶色の大きな瞳に長い睫、すっと通った鼻に、やっぱり俺が出したものがまだついてるけど吸いつきたくなるぷっくりした唇、挙げれば限がないくらいに俺のドツボだった。
 何その猫耳!猫コスプレなの?ていうかオートロックの部屋にどうやって侵入したの?そもそもその裸同然の姿でナニしに来たの?ナニする気満々なの?好きにしていいの?などと色々、気にはなったけどすぐに吹っ飛んだ。大きなその瞳にじっと見つめられたら、もう後は、どうにでもなれと……。
「飲みに来ただけ?」
と、黒猫の腰を抱いてソファに膝を突かせて引き寄せる。
「え?」
「セックスしてもいいの?」
 唇が重なりそうな距離で静かに訊ねると、くすりと笑われた。
「ストレートなのね。そんなに単刀直入に訊かれたのは初めてよ」
 ということは初めてではないと。少しがっかりした。
「そっか……。でもこれからはずっとうちにいてくれる?」
 そわそわしながら訊ねると、またくすりと笑われた。
「相性もまだわからないのに、もう引き留めるの?」
「……」
 やっぱりそういうこと?この黒猫娘はいろんな男と寝ていて、うちに来たのはただの偶然。そうだよな、生娘ならいきなり男のものを咥えたりはしないだろうし……。
 黒猫に唇を重ねられ、それに応える。
―相性もまだわからないのに、もう引き留めるの?―
 て、ことは相性が良かったら、ずっとうちにいてくれるのかな。
 弾力を愉しむ口づけを終えると黒猫は唇を離した。間近で黒猫の顔を見つめて訊ねる。
「そんなに相性よくなくても、気持ちよかったらずっといてくれる?」
 黒猫の目が俺を真っ直ぐに見つめる。緊張して鼓動が速まる。黒猫は俺の胸の上に置いていた手でそれを感じ取ったのか、またくすりと笑った。
「そうね、すごく気持ちよかったら考えてもいいわ」
 三度目の笑いは照れ笑いも入っているようにも見えて、嬉しくなった。相手は誰でもいいのかも知れない。けど、俺を見てくれたように感じた。
 軽く口づけをしてから深く口づける。舌を絡めて顔の角度を変えると水音と吐息が洩れ、次第に黒猫のくぐもった声も洩れ始める。唇を離して舌を弄ぶ。わざと声を出してみるとつられるように黒猫の苦しそうな声が出た。
「んっ、ふぁ」
 右の手の平で左胸をやんわり持ち上げるように覆う。胸の先を撫でるように揺らして声を誘う。
「んんっ、やっ」
 黒猫は肩を揺らし、俺は逃げられないようにと右胸ももう片方の手で同様にする。甘い吐息が洩れ、思わず笑みが零れた。
「はは、えらく敏感だな。いつもこんな感じなの?」
と、一度離した舌先を優しく吸って返事を待つ。
 黒猫は首を左右に振り、舌を絡めてきた。切なげな声を洩らしながらも積極的に俺の舌を擽る。
 気持ちいいな。キスだけしかしてないのに、こんなにいいなんて……。
 下半身が熱くなり、黒猫を抱き締めたくなったのを我慢して、指全部で両胸の尖った先へと向かって薄い布越しに触れるか触れない程で揉む。敢えて先には触れないように。
「やぁ、ちゃんと、触って……」
 胸の突起が疼くのか、腰が揺れている。思わず、ふっと笑う。
「ああ、すごく触って欲しそうだもんなァ」
 指で、ぴんと弾くと嬉しそうな声が上がった。弾いたまま触れないでいると、待っていると言わんばかりに見られて、にこりと微笑む。脇に手を差し込んでゆっくりと揉み、両方の親指で、すっかり硬くなった突起を刺激する。とても美味そうに見えて思わず薄い布地の上から吸いつく。
「あっ」
 反った背を抱き寄せ、胸の頂の周囲を唇で挟んでは離す。それを繰り返しながらもう一方の頂を親指で休みなく刺激する。黒猫は肩を震わせて甘い溜息をつきながら、俺の頭を抱いた。
 ああ、いい匂い……今、幸せかも。女に頭抱かれるって、なかなかないもんなァ。
 親指で刺激していた頂に歯を軽く立ててやり、なかなか触れないでいたもう片方の頂を二本の指で摘まんでやる。悦ぶ声が上がり、舐めたり摘まんだまま転がしたりすると腰の揺れが徐々に大きくなった。胸を堪能して一方の手を下腹部へと下していく。そしてそこに指を差し込んだ。が、目が点になった。下着の生地はレースのような薄い生地ではないはずなのに、やけにぬるりとしていてまるで直接触っているようだった。
 動きを止めた俺を黒猫は不思議そうに窺った。
「どうかしたの?」
「いや、その……なんか直に触ってるみたいだと思って……」
「……そうよ……」
 視線を落としてぽそりと言われ、黒猫の顔を見た。
 え、それって……。
 頭を過ったことを確認すべく、俺は黒猫をソファに座らせ、足を広げた。
「ぱっ……」
と、言ったまま口を開閉させる。黒猫の視線を感じて我に返って生唾を飲み込んだ。
 普通なら下着の生地で見えないはずのそこが、ぱっくり見えていた。
 なななななんちゅー下着つけてんのこの娘ェェェェ!ノーブラでもアレなのに、ぱっくりでぱっかりなパンツなんてはいて、男の部屋上がり込んで咥えたり飲んだり……!けけけけけしからん!まったくもってけしからん!そんなにはめて欲しいなら俺のを毎日でもはめてやる!その前にきれいなピンクがひくひくヌレヌレを舐めまくってやる!
 一気に頭に血が上って、あとは己の欲望のまま、黒猫の欲しがるまま、愛撫しまくって、腰を振りまくって、イかせまくってやった。
 その翌朝、何かが焦げたような臭いで目が覚めた。臭いの元を辿ると台所で黒猫が朝飯として卵焼きを作っていてくれた。
 どうみても焼き過ぎて炭になっていたが、
「私の作った卵焼きが食べれないっていうの?」
と、笑顔で殺気を放たれたりしたら、遠慮しておくと言えないっていうか……。
 ザリザリとした歯ごたえでもなんとか完食させたのは、俺がその黒い卵焼きを食べると黒猫が嬉しそうに微笑んだからだった。
***
 まんまと惚れた。ノーブラでやらしい下着つけてて男好きでも、かわいい声で鳴いて気持ちよがって、俺を熱く締めつける。この中は今までで一番気持ちがいい。
「はぁ、お妙さん……」
 寝室のベッドに寄り添って横になり、膝を閉じないようにと広げたお妙さんの足に俺の足を絡めていたが、中に沈めた二本の指はそのままで足を解放する。
「何回イった?もう3回はイったよね?」
 耳元で囁き訊ねる。
「……4回……」
 肩で息をしているお妙さんは苦しそうに答えた。
「ウソだァ。まだ3回でしょう?」
「ほんとに、4回、んっ」
 耳に舌を差し込み、首を竦ませる。
「んん、ほんとに、4回だって言っ、あぁっ」
 お妙さんの中の指をばらつかせ、その上の小さな突起を親指で軽く刺激する。
「やぁ、ダメ、もう、辛いの」
 懇願されたが却下する。
「ヤダ。さっきのアイス、俺の分もお妙さんが食べちゃったでしょ。だからちゃんと5回、イかないと入れてあげません」
 突起を苛めると指が締めつけられ、ふっと笑う。
「ほら、ここ弄ると指締めつけてくるよ?あと2回くらいすぐにイけそうだ」
「や、やっ」
と、繰り返し、お妙さんは嫌々をする。そこを弄る俺の手を掴み、涙を浮かべた瞳で言われた。
「近藤さんが入ってきたら、あと2回、ちゃんとイくからぁ」
 堪らねェなんて思ったが、思わず笑った。
「あ、じゃあやっぱり3回だったの?」
「だから4回だって、言ってるじゃない」
 眉を寄せて言われ、俺はお妙さんの顔の脇に肘を突いて小首を傾げた。
「ほんとよ、舐められた時にすぐに、2回……」
「そんなに気持ちよかった?」
 お妙さんは、こくりと頷き、俺は上体を起こして自身を濡れそぼったそこに押し当てた。先を侵入させてすぐに引き抜く。お妙さんの襞が蜜の糸を引くようにひくつき、逸る衝動を抑えようと息をつく。
「や、もう、焦らさないで、一気に奥まで……来て……」
 切なげに言い、腹部を大きく波打たせている。
 ほんとに欲しそうだ。
「お妙さん」
と、名前を呼んで、一気に挿入した。お妙さんは背を逸らせて全身をびくびくと揺らしている。
 あれ?ウソ、一突きでイっちゃった?
「あん、すごいよぉ、近藤さんのが奥の一番気持ちいいところにグイって、こんなのでイったの初めてぇ」
 完全にエロモードに入ったらしい。こんなに嬉しそうに悦ぶなんて。それにこんなに悦ばれたことなんて俺だって初めてだ。
「ああ、お妙さん、俺とずっとこうしてて?」
「うん、ずっと近藤さんと気持ちいいことしてるぅ」
***
 ……なんてな。
 自宅のリビングに設置の大型テレビに映し出されるコスプレアダルトビデオを見つめて近藤は呟いた。
「それにしても、この黒猫娘、お妙さんにすっごく似てるよなァ。……猫耳もいいもんだなァ、新八くん」
黒猫チャンとボク
Text by mimiko.
2010/12/15

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