おバカ勲テイストとなってます。
密接に密着
昼下がり、かぶき町の大通りで近藤と出会った妙は、近藤の手を握り、引っ張った。身を隠そうと、自動販売機と電柱の間へと二人で入り込む。大人一人ならば隠れるのにも余分があったものの、長身で体つきが良い近藤と一緒では狭苦しい。だが妙は気にもせずに大通りの向こう側を警戒する。近藤は自分の両足の間にいる妙を見下ろした。
「……」
あのォすみません、お妙さん。俺、ヤバイんですけど……。とか言いたいのになんか言えない……!なんなの急に、お妙さんどうしちゃったの?!俺、近藤よ?!勲よ?!ゴリラよ!?こんな密着許されるの?!お妙さん、俺に関心ないみたいだけどホントヤバイよ?!
「おた、っん」
「しっ!静かに!」
妙は近藤の口を手の平で押さえ、尚も向こうを気にしている。
お妙さんの手がァ手がァ……!!
妙の手が自分に触れていると意識して顔を熱くするが、気を落ち着かせようと視線を逸らす。自分の口へと伸ばした妙の右の白い腕が、肘まで袖が捲れて見えていた。
ぐっ、お妙さん白い……!きっとその着物の中も白い綺麗な肌……いかんいかんいかん!
ふと、妙は身じろぎ、更に体が密着する。
ギャァァやめて!お妙さんやめて!これ以上密着しないでお願いィィ!
今度は均衡を保とうと、妙は近藤の胸に手をつく。
ぐォォォォ!ヤバイヤバイお妙さんの体、完璧に俺の下半身にくっついてる!いいいいいかんぞ絶対にダメぇっ!このド変態ゴリラァァァ!とかって殴り飛ばされるから何が何でもお願勲!元気にならな勲!――
「あの、お妙さん……」
耳元で囁かれ、妙は肩を揺らして勲を見上げた。
「な、なんですか」
「その、そんなにくっつかれると困るんですが」
勲の吐息が耳にかかり、眉を寄せた妙は小さく声を洩らした。
「んっ」
潤んだ瞳と我慢するように結んだ唇に堪らなくなった勲は、妙を抱き締め、首に口づけた。
「んっ、ちょっと、近藤さん、やめっ」
「遅いです、ん」
離れようとする妙を物ともせず、首に吸いつき、妙の甘い吐息を誘い出す。
「はぁ、ダメ、跡がついちゃう……」
「大丈夫、そんなにきつく吸ってないです。というかお妙さんの唇吸わせて下さい……」
「いやです」
「え、やっぱり?」
「唇だけなんていやです」
「え、あ……じゃあ舌も……」
妙は、こくりと頷き、勲は顔を近づけ、舌先を薄く開いた唇に侵入させた。
「んっ、近藤、さん……ふぁっ」
「ふ、お妙、さん……」
―とか……ないよなァ、ははは。しかし、こんなに傍にいられるなんて夢みたいだな。もしやマジでゴリラ・ ゴリラ・ゴリラのゴリラだと思われてる?男だって意識してたら、そうそう近づけないと思うんだけど……。
妙は変わらず、大通りの向こう側を警戒している。
けど、俺もうゴリラでいい……!腰とか肩とか細くて、髪も良い匂いで、お妙さんの温もりも重みもやたら心地いいもん。今まで生きた中で一番幸せかも。それに考え方によっちゃあ、安心できる存在だからこんなに近づけるということもあるだろう。ああ、そうに違いない。
ひと葛藤の後、いつものように前向きに考えていた近藤を隠れ蓑にしていた妙は、声をかけた。
「あ、もう次の店に行くのね、近藤さん行きますよ」
「えっ」
「えっじゃなくて早く!見失っちゃうじゃない」
電柱と自動販売機の間から一足先に出た妙だったが、草履を躓かせてよろける。咄嗟に伸ばされた近藤の両手は、妙の脇をくぐった。掴むのが当然であるかのように妙の両胸を掴み、大きく開いていた指が動いた。
「っはぁ……」
極めて小さく洩らした妙の吐息のような声に、妙も近藤も驚いて目を瞬かせた。
え―。
近藤は無意識に指を動かし、妙は瞬く間に顔を熱くする。
いやァァァ、近藤さんの手が私の胸を鷲掴んで揉みしだこうとしたの見ちゃった……!なんていやらしい……!
「こぉんのド変態ゴリラがァァァ!」
妙は、そう言うと、条件反射のように近藤の鼻に右拳を捻じ込んだ。
「ぐぼェェェェェ!!」
妙の拳により、電柱と自動販売機の間へと戻った近藤は塀に背中を打ちつけ、薄れてゆく意識の中で妙の様子を思い返した。
ははははは……。着物の上からとはいえ、お妙さんの胸触っちゃった。しかもお妙さんの……かわいい声聞けちゃった……。
「……」
あのォすみません、お妙さん。俺、ヤバイんですけど……。とか言いたいのになんか言えない……!なんなの急に、お妙さんどうしちゃったの?!俺、近藤よ?!勲よ?!ゴリラよ!?こんな密着許されるの?!お妙さん、俺に関心ないみたいだけどホントヤバイよ?!
「おた、っん」
「しっ!静かに!」
妙は近藤の口を手の平で押さえ、尚も向こうを気にしている。
お妙さんの手がァ手がァ……!!
妙の手が自分に触れていると意識して顔を熱くするが、気を落ち着かせようと視線を逸らす。自分の口へと伸ばした妙の右の白い腕が、肘まで袖が捲れて見えていた。
ぐっ、お妙さん白い……!きっとその着物の中も白い綺麗な肌……いかんいかんいかん!
ふと、妙は身じろぎ、更に体が密着する。
ギャァァやめて!お妙さんやめて!これ以上密着しないでお願いィィ!
今度は均衡を保とうと、妙は近藤の胸に手をつく。
ぐォォォォ!ヤバイヤバイお妙さんの体、完璧に俺の下半身にくっついてる!いいいいいかんぞ絶対にダメぇっ!このド変態ゴリラァァァ!とかって殴り飛ばされるから何が何でもお願勲!元気にならな勲!――
「あの、お妙さん……」
耳元で囁かれ、妙は肩を揺らして勲を見上げた。
「な、なんですか」
「その、そんなにくっつかれると困るんですが」
勲の吐息が耳にかかり、眉を寄せた妙は小さく声を洩らした。
「んっ」
潤んだ瞳と我慢するように結んだ唇に堪らなくなった勲は、妙を抱き締め、首に口づけた。
「んっ、ちょっと、近藤さん、やめっ」
「遅いです、ん」
離れようとする妙を物ともせず、首に吸いつき、妙の甘い吐息を誘い出す。
「はぁ、ダメ、跡がついちゃう……」
「大丈夫、そんなにきつく吸ってないです。というかお妙さんの唇吸わせて下さい……」
「いやです」
「え、やっぱり?」
「唇だけなんていやです」
「え、あ……じゃあ舌も……」
妙は、こくりと頷き、勲は顔を近づけ、舌先を薄く開いた唇に侵入させた。
「んっ、近藤、さん……ふぁっ」
「ふ、お妙、さん……」
―とか……ないよなァ、ははは。しかし、こんなに傍にいられるなんて夢みたいだな。もしやマジでゴリラ・ ゴリラ・ゴリラのゴリラだと思われてる?男だって意識してたら、そうそう近づけないと思うんだけど……。
妙は変わらず、大通りの向こう側を警戒している。
けど、俺もうゴリラでいい……!腰とか肩とか細くて、髪も良い匂いで、お妙さんの温もりも重みもやたら心地いいもん。今まで生きた中で一番幸せかも。それに考え方によっちゃあ、安心できる存在だからこんなに近づけるということもあるだろう。ああ、そうに違いない。
ひと葛藤の後、いつものように前向きに考えていた近藤を隠れ蓑にしていた妙は、声をかけた。
「あ、もう次の店に行くのね、近藤さん行きますよ」
「えっ」
「えっじゃなくて早く!見失っちゃうじゃない」
電柱と自動販売機の間から一足先に出た妙だったが、草履を躓かせてよろける。咄嗟に伸ばされた近藤の両手は、妙の脇をくぐった。掴むのが当然であるかのように妙の両胸を掴み、大きく開いていた指が動いた。
「っはぁ……」
極めて小さく洩らした妙の吐息のような声に、妙も近藤も驚いて目を瞬かせた。
え―。
近藤は無意識に指を動かし、妙は瞬く間に顔を熱くする。
いやァァァ、近藤さんの手が私の胸を鷲掴んで揉みしだこうとしたの見ちゃった……!なんていやらしい……!
「こぉんのド変態ゴリラがァァァ!」
妙は、そう言うと、条件反射のように近藤の鼻に右拳を捻じ込んだ。
「ぐぼェェェェェ!!」
妙の拳により、電柱と自動販売機の間へと戻った近藤は塀に背中を打ちつけ、薄れてゆく意識の中で妙の様子を思い返した。
ははははは……。着物の上からとはいえ、お妙さんの胸触っちゃった。しかもお妙さんの……かわいい声聞けちゃった……。
密接に密着
Text by mimiko.
2010/08/26