第三百十三訓近妙補完計画として2010年WJ29号をがっつりネタバレ。
既読前提の補完話です。
既読前提の補完話です。
美味しい卵かけご飯が食べたい
今日は台風だからと大江戸体育センターで集まって、よっちゃんたちとシコシコ楽しいことをすることになりました。
サチ子ちゃんを誘いに行く途中、強風に傘をダメにされて台風に向かってキレてた姐御に出会いました。
普通の人なら見てはいけないものを見てしまったと思うのだろうけど、姐御は常にキレているのが当たり前で、でも、私と姐御の仲なら、どんなに機嫌の悪い時でも
「あら、神楽ちゃん」
と、笑顔を向けてくれます。
「こんな台風の日にどうしたネ」
「私?私はちょっと野球観戦をしに行くことになってるの」
「なってる?」
「ええ。最初で最後のゴリラとの散歩よ」
「ええェェェ!それってデートアルか?!」
「まあ、そうとも言うかしら」
だから、近年稀に見る大型台風だと結野アナが言っていたのだと思いました。
「でも姐御、こんな嵐じゃあゴリラもきっと来ないネ」
「ううん、きっと来るわ」
「電話したアルか?」
「いいえ。だけど、今日の約束をした時、雨が降ろうと槍が降ろうと必ず行こう、何が何でも行こうって言ってたから」
そう言って思い出し笑いをした姐御はすっかり乙女の表情で、こんな日に男のために出掛けることの意味をちゃんとわかっているのだろうかとちょっと心配にもなり、応援したくなりました。
なので、私は姐御を待ち合わせ場所に送り届けることにしました。
「ありがとう、神楽ちゃん。野球の時間大丈夫?」
「うん、大丈夫ヨ。それじゃあ、姐御、帰ってきたらゴリラのこと聞かせてネ」
「もう、神楽ちゃんったら!そんなんじゃないってさっきから言ってるじゃない。ゴリラを成仏させるための野球観戦よ」
最後まで違うって言ってたけど、恋とはとてもくすぐったいものだと実感しました。
そして、サチ子ちゃんを迎えに行って体育館へ向かいました。
人数が足りないからと、よっちゃんが連れてきた強力助っ人は、なんとそのゴリラでした。
乙女モードな姐御をつい先程見たのに、相手のゴリラがこんな所で子供と野球って、何やっとるんじゃいィィィ!と思いました。
が、なんでも大事なチケットが行方不明になっているとか。
サチ子ちゃんが拾ったチケットを自分のものだと主張するゴリラに私は言います。
「……いいアルか、本当に。これで……いいアルか、本当に……」
ゴリラはゴリラで大事なチケットであろうが、困っている女の子を差し置いて自分だけ幸せになろうとする男に、姐御は勿体なさすぎると思ったのです。
人のいいゴリラは、サチ子ちゃんの兄ちゃんを助けてお父さんも助けてあげました。
江戸に住む人たちを護る組織のリーダーはとてもいい侍だと思いました。
けれど、最初で最後のデートの待ち合わせ時間はとっくに過ぎ、ゴリラは大事なチケットを譲って帰って行きました。
私の選択は間違っていたのでしょうか。
彼女には男を待つように勧めておきながら、彼には行くなと足枷をしたようなものです。
だけど、ふたりが結ばれる運命ならばこのくらいのことは朝飯前で、今日の私の言動は白いご飯に生卵と醤油をかけてかき混ぜた時ほどのうま味があると思うのです。
私はそういう恋を食べたいと思いました。
「はァ、お腹空いたアル……」
サチ子ちゃんを誘いに行く途中、強風に傘をダメにされて台風に向かってキレてた姐御に出会いました。
普通の人なら見てはいけないものを見てしまったと思うのだろうけど、姐御は常にキレているのが当たり前で、でも、私と姐御の仲なら、どんなに機嫌の悪い時でも
「あら、神楽ちゃん」
と、笑顔を向けてくれます。
「こんな台風の日にどうしたネ」
「私?私はちょっと野球観戦をしに行くことになってるの」
「なってる?」
「ええ。最初で最後のゴリラとの散歩よ」
「ええェェェ!それってデートアルか?!」
「まあ、そうとも言うかしら」
だから、近年稀に見る大型台風だと結野アナが言っていたのだと思いました。
「でも姐御、こんな嵐じゃあゴリラもきっと来ないネ」
「ううん、きっと来るわ」
「電話したアルか?」
「いいえ。だけど、今日の約束をした時、雨が降ろうと槍が降ろうと必ず行こう、何が何でも行こうって言ってたから」
そう言って思い出し笑いをした姐御はすっかり乙女の表情で、こんな日に男のために出掛けることの意味をちゃんとわかっているのだろうかとちょっと心配にもなり、応援したくなりました。
なので、私は姐御を待ち合わせ場所に送り届けることにしました。
「ありがとう、神楽ちゃん。野球の時間大丈夫?」
「うん、大丈夫ヨ。それじゃあ、姐御、帰ってきたらゴリラのこと聞かせてネ」
「もう、神楽ちゃんったら!そんなんじゃないってさっきから言ってるじゃない。ゴリラを成仏させるための野球観戦よ」
最後まで違うって言ってたけど、恋とはとてもくすぐったいものだと実感しました。
そして、サチ子ちゃんを迎えに行って体育館へ向かいました。
人数が足りないからと、よっちゃんが連れてきた強力助っ人は、なんとそのゴリラでした。
乙女モードな姐御をつい先程見たのに、相手のゴリラがこんな所で子供と野球って、何やっとるんじゃいィィィ!と思いました。
が、なんでも大事なチケットが行方不明になっているとか。
サチ子ちゃんが拾ったチケットを自分のものだと主張するゴリラに私は言います。
「……いいアルか、本当に。これで……いいアルか、本当に……」
ゴリラはゴリラで大事なチケットであろうが、困っている女の子を差し置いて自分だけ幸せになろうとする男に、姐御は勿体なさすぎると思ったのです。
人のいいゴリラは、サチ子ちゃんの兄ちゃんを助けてお父さんも助けてあげました。
江戸に住む人たちを護る組織のリーダーはとてもいい侍だと思いました。
けれど、最初で最後のデートの待ち合わせ時間はとっくに過ぎ、ゴリラは大事なチケットを譲って帰って行きました。
私の選択は間違っていたのでしょうか。
彼女には男を待つように勧めておきながら、彼には行くなと足枷をしたようなものです。
だけど、ふたりが結ばれる運命ならばこのくらいのことは朝飯前で、今日の私の言動は白いご飯に生卵と醤油をかけてかき混ぜた時ほどのうま味があると思うのです。
私はそういう恋を食べたいと思いました。
「はァ、お腹空いたアル……」
美味しい卵かけご飯が食べたい
Text by mimiko.
2010/06/23