近妙です。
第59巻~単行本未収録~WJ2015年27号第五百四十三訓「狼煙」まで前提ですが、59巻まででもわかる感じです。
近藤さんとお妙さんが再会したら?!の妄想第6弾目。
58巻と59巻の狭間で近妙がすっかり出来上がっていたり、退却な真選組手漕ぎ船に乗り込んでる設定です。
とても適当なので雰囲気で読んでくださいませ。
第59巻~単行本未収録~WJ2015年27号第五百四十三訓「狼煙」まで前提ですが、59巻まででもわかる感じです。
近藤さんとお妙さんが再会したら?!の妄想第6弾目。
58巻と59巻の狭間で近妙がすっかり出来上がっていたり、退却な真選組手漕ぎ船に乗り込んでる設定です。
とても適当なので雰囲気で読んでくださいませ。
お帰りなさい
船尾にいた妙は、座席に腰掛ける広い背に触れた。引き寄せられるように顔を近藤へと寄せる。
「こんなところまで来てしまって、ごめんなさい……」
やっと再会が叶ったが、切なさに涙ぐむ。近藤は一度も妙と目を合わせることなく隊士たちと共にこの船に乗り合わせた。こちらには見向きもしない。隊士たちに指示を与えても、自分には何も言わない。戦場にやって来ても何の役にも立たない足手まといにしかならない自分がいることについて、怒りもしなければ、喜びもしない。きっと呆れたのだろう。嫌われてしまった。それを寂しいと思うのに、呼吸をして鼓動を打っている近藤に触れていることを嬉しく思う。
しばらくの沈黙後、近藤は息をつき、口を開いた。
「首の傷は平気ですか?」
伏せていた目を開く。妙は、やはり近藤に呆れられていると思った。一国の主に向かって小娘がきゃんきゃんと吠えたところでどうしようもないことだ。わかっている。わかっていた。だが、今、自分に背を向けているこの人が、ここにいたら、悲しさも、憤りも、悔しさも、感じることはないはずだと堪えきれなかった。
「はい、平気です……。余計なことしてすみません……」
近藤は再び押し黙ってしまった。妙は不安になり、顔を上げて近藤の背を見た。
「余計かどうかはトシの奴に聞いてください。実際に引き金を引いたのがあなたであろうが、他の誰かであろうが、どの道、桂の野郎が爆破しちまう」
くっと、近藤は声を抑えて笑った。
「それに、引き金はすでに引かれていた」
ひどく落ち着いた声に隊士たちは顔を見合わせた。松平片栗虎を引きずり下ろした男の顔を思い浮かべる。近藤は切り替えるように一息ついて後ろへ振り返り、笑って見せた。
「なあに、お妙さんが気に病むことはねェ」
「でも……」
視線が合いそうになり、妙はそれを避けた。怖がっている。近藤は体ごと振り返り、船尾にいる妙と向かい合うように座席に座り直した。
「どうしました。ここまで来ておいて怖気づきましたか」
「……はい」
素直に頷かれ、近藤は薄く笑った。妙の頬に触れ、視線を合わせる。
「だが、すでに周知されている。あなたがここにいることが何よりの証だ」
と、近藤は妙の髪を梳いて首の傷跡を確認する。
「その傷跡は、真選組(おれたち)の魂(おもい)を護ってくれた証だ」
不安げな妙に、近藤は穏やかに笑う。
「恥ずべきは俺だ。あなたじゃない」
己の不甲斐なさを悔い、近藤は眉間に皺を寄せて歯を食いしばる。辛そうな近藤の気持ちが妙に感染し、妙は瞳に涙を浮かべた。頭を横に振る。
「いいえ、あなたは護ろうとしたんです。……あなたは、街も、みんなも、護ろうと、したんです……」
涙をあふれさせ、懸命に訴える。近藤は、それを指でそっと拭って感謝した。
「ありがとう」
妙は、涙を流しながらも笑みを浮かべた。再び近藤の指が目元に優しく触れ、心が温かくなるのを感じる。
「……あのォ、大変盛り上がってるところ大変申し訳ないんですが、局長。あっちにいる沖田組が呼んでるんですけど……」
と、山崎が離れた位置に浮かんでいる船を指差す。
近藤と妙は、顔を見合わせて瞬きを数回繰り返し、我に返った。慌てて互いの距離を取る。
「ほんっとすみません、姐さん」
近藤の肩越しでこそりと謝る山崎に苛立った妙は、近藤の足の間に膝を突き、体を安定させてから山崎の額に拳を入れた。
「あだッ!姐さん、俺局長じゃありませんよッ!殴るなら局長がお約束でしょうッ!?マジ痛いよッ!」
「ごめんなさい、山崎さん。なぜだかわからないけど、あなたの顔にイラッとしちゃって、つい……」
「ダッハッハッハッ!お妙さんは、いつも元気だなァ」
と、近藤は妙の腰を抱き締めた。
「やんッ、近藤さんッ、みんないるんだからやめてくださいッ」
と、照れながら近藤の頭を抱き締めた。温もりと柔らかさを顔面に感じ、近藤の鼻の下が伸びきる。
「むッ!ならば、お妙さん、放してくださいよォ。んッ!息できなくなっちゃうじゃないですかァ」
「でも私ィ、もう、近藤さんと離れたくないんだもんッ」
と、近藤の頭を解放した両手を肩に置く。浮かれた気分を飛ばした妙は、こちらを見上げる近藤の頬に手を当てる。
「離れ離れは……もういや……」
切なげな表情に何も言えなくなる。返事の代わりに近藤は妙の首に手を伸ばした。うなじを撫でてから後頭部を引き寄せる。唇を重ね、一度離すと角度を変えて深く口づける。
「ん……、俺もいやだ……、はぁ、もう、離さねェ……」
口づけの最中に言われ、繋がった粘膜に声が響く。いつかの情事を思い返し、妙の熱が上昇する。
「ふぅ……、あっ……、やぁ、んん……っ」
近藤の唇は、甘く痺れたかわいらしい舌を捕らえ、腕は細い腰を抱き締めた。くぐもった女の艶めかしい声に隊士たちは赤面しながら上司の熱烈な接吻が終わるのを待った。一刻も早く次の行動へ移りたいというのに、呆れて溜息をつくしかない。山崎は、先に呼ばれていた沖田とは別行動をとっていた土方に呼ばれて肝を冷やした。
「あわわわわ、やばいよ、副長が勘付いちゃったよ。ねェ、局長ッ!副長も呼んでますよッ!いつまでいちゃこいてんですかッ!ちゃっちゃと終わらせてくださいッ、ねェってばッ!」
業を煮やした山崎に捲し立てられ、近藤は口づけながら妙の腰を下ろす。ゆっくりと唇を離すと、頬を赤く染めて瞳を潤ませた妙に見上げられた。すっかり欲情している妙に、近藤はすまなそうに笑って耳元で囁く。
「続きは帰ってからですよ」
と、妙の頬に口づけ、立ち上がった。妙に背を向けて山崎と話していると、後ろから縋りつかれる。やれやれと両手を上げた山崎は提案した。
「姐さん、局長の隊服、座席の下に載せてるんで、それ着させてあげてください」
快諾した妙は、なんの躊躇もなく近藤が着ていたものを脱がせていく。剥かれている近藤もまた、仁王立ちのまま隊士たちとやり取りしていた。が、褌に妙の手がかかったところで山崎が止めに入った。
「ストップして姐さんッ!予備の褌はありませんからそのままでいいです。ってか、局長も止めましょうよ。好きな女性と想いが通じ合ってんだから、いい加減、公然猥褻やめましょうよ」
「おお?そうか、うむ。お妙さん、シャツお願いします」
言われて妙は袖を通しやすいように広げたシャツを近藤に着せた。袖を通した近藤はボタンを留める。
「お妙さんの前では常にノーパンでいなきゃって思ってたからさ。むしろ恥部を晒すのは当然の如く思ってたが……やめたほうがいいのか?」
「えッ!姐さん、ノーパンの男が好みなんですかッ?!」
「そんなわけないじゃないですか。山崎さん、変なことを言うのはやめてください」
と、ベストを着せ、ズボンを穿かせる。靴下と靴は近藤自ら履いた。
「あれは、たとえ話です。心を護りすぎて本心を隠す人には私のパンツを触らせたくなかっただけです。誤解しないでください」
スカーフを巻いて形を整える。もうすぐ一番好きな近藤に会える。妙の心は弾んだ。
「まァ、どんな近藤さんも素敵だから別にノーパンでもいいですけどォ……」
恥じらいながら近藤の胸に指で触れ、のの字を書く。当てられた山崎は渇いた笑みをこぼした。妙は、近藤の背後に回り、隊服の上着を広げた。近藤が袖を通すと身頃を整える。妙は正面に回った。銀の縁取りがあしらわれた堅い黒に、柔らかい白のスカーフ。とてもよく似合っている。
「でも、一番素敵なのは真選組(けいさつ)のあなた……」
妙は感激して涙を浮かべた。
「お帰りなさい、近藤さん」
と、笑顔で近藤の愛刀を差し出した。妙によって差し出された剣をしばし見つめ、近藤は控えめに笑った。目を閉じ、心内でただいまと呟き、開眼する。鞘に納まっている真剣を帯刀した。一仕事残っている。ただいまと口にするには、まだ早い。それにしてもだ。
「あ~あ~、俺って奴ァ、とことん幸せな野郎だな」
近藤は、照れを誤魔化すように片眉を上げて笑った。
「こんなところまで来てしまって、ごめんなさい……」
やっと再会が叶ったが、切なさに涙ぐむ。近藤は一度も妙と目を合わせることなく隊士たちと共にこの船に乗り合わせた。こちらには見向きもしない。隊士たちに指示を与えても、自分には何も言わない。戦場にやって来ても何の役にも立たない足手まといにしかならない自分がいることについて、怒りもしなければ、喜びもしない。きっと呆れたのだろう。嫌われてしまった。それを寂しいと思うのに、呼吸をして鼓動を打っている近藤に触れていることを嬉しく思う。
しばらくの沈黙後、近藤は息をつき、口を開いた。
「首の傷は平気ですか?」
伏せていた目を開く。妙は、やはり近藤に呆れられていると思った。一国の主に向かって小娘がきゃんきゃんと吠えたところでどうしようもないことだ。わかっている。わかっていた。だが、今、自分に背を向けているこの人が、ここにいたら、悲しさも、憤りも、悔しさも、感じることはないはずだと堪えきれなかった。
「はい、平気です……。余計なことしてすみません……」
近藤は再び押し黙ってしまった。妙は不安になり、顔を上げて近藤の背を見た。
「余計かどうかはトシの奴に聞いてください。実際に引き金を引いたのがあなたであろうが、他の誰かであろうが、どの道、桂の野郎が爆破しちまう」
くっと、近藤は声を抑えて笑った。
「それに、引き金はすでに引かれていた」
ひどく落ち着いた声に隊士たちは顔を見合わせた。松平片栗虎を引きずり下ろした男の顔を思い浮かべる。近藤は切り替えるように一息ついて後ろへ振り返り、笑って見せた。
「なあに、お妙さんが気に病むことはねェ」
「でも……」
視線が合いそうになり、妙はそれを避けた。怖がっている。近藤は体ごと振り返り、船尾にいる妙と向かい合うように座席に座り直した。
「どうしました。ここまで来ておいて怖気づきましたか」
「……はい」
素直に頷かれ、近藤は薄く笑った。妙の頬に触れ、視線を合わせる。
「だが、すでに周知されている。あなたがここにいることが何よりの証だ」
と、近藤は妙の髪を梳いて首の傷跡を確認する。
「その傷跡は、真選組(おれたち)の魂(おもい)を護ってくれた証だ」
不安げな妙に、近藤は穏やかに笑う。
「恥ずべきは俺だ。あなたじゃない」
己の不甲斐なさを悔い、近藤は眉間に皺を寄せて歯を食いしばる。辛そうな近藤の気持ちが妙に感染し、妙は瞳に涙を浮かべた。頭を横に振る。
「いいえ、あなたは護ろうとしたんです。……あなたは、街も、みんなも、護ろうと、したんです……」
涙をあふれさせ、懸命に訴える。近藤は、それを指でそっと拭って感謝した。
「ありがとう」
妙は、涙を流しながらも笑みを浮かべた。再び近藤の指が目元に優しく触れ、心が温かくなるのを感じる。
「……あのォ、大変盛り上がってるところ大変申し訳ないんですが、局長。あっちにいる沖田組が呼んでるんですけど……」
と、山崎が離れた位置に浮かんでいる船を指差す。
近藤と妙は、顔を見合わせて瞬きを数回繰り返し、我に返った。慌てて互いの距離を取る。
「ほんっとすみません、姐さん」
近藤の肩越しでこそりと謝る山崎に苛立った妙は、近藤の足の間に膝を突き、体を安定させてから山崎の額に拳を入れた。
「あだッ!姐さん、俺局長じゃありませんよッ!殴るなら局長がお約束でしょうッ!?マジ痛いよッ!」
「ごめんなさい、山崎さん。なぜだかわからないけど、あなたの顔にイラッとしちゃって、つい……」
「ダッハッハッハッ!お妙さんは、いつも元気だなァ」
と、近藤は妙の腰を抱き締めた。
「やんッ、近藤さんッ、みんないるんだからやめてくださいッ」
と、照れながら近藤の頭を抱き締めた。温もりと柔らかさを顔面に感じ、近藤の鼻の下が伸びきる。
「むッ!ならば、お妙さん、放してくださいよォ。んッ!息できなくなっちゃうじゃないですかァ」
「でも私ィ、もう、近藤さんと離れたくないんだもんッ」
と、近藤の頭を解放した両手を肩に置く。浮かれた気分を飛ばした妙は、こちらを見上げる近藤の頬に手を当てる。
「離れ離れは……もういや……」
切なげな表情に何も言えなくなる。返事の代わりに近藤は妙の首に手を伸ばした。うなじを撫でてから後頭部を引き寄せる。唇を重ね、一度離すと角度を変えて深く口づける。
「ん……、俺もいやだ……、はぁ、もう、離さねェ……」
口づけの最中に言われ、繋がった粘膜に声が響く。いつかの情事を思い返し、妙の熱が上昇する。
「ふぅ……、あっ……、やぁ、んん……っ」
近藤の唇は、甘く痺れたかわいらしい舌を捕らえ、腕は細い腰を抱き締めた。くぐもった女の艶めかしい声に隊士たちは赤面しながら上司の熱烈な接吻が終わるのを待った。一刻も早く次の行動へ移りたいというのに、呆れて溜息をつくしかない。山崎は、先に呼ばれていた沖田とは別行動をとっていた土方に呼ばれて肝を冷やした。
「あわわわわ、やばいよ、副長が勘付いちゃったよ。ねェ、局長ッ!副長も呼んでますよッ!いつまでいちゃこいてんですかッ!ちゃっちゃと終わらせてくださいッ、ねェってばッ!」
業を煮やした山崎に捲し立てられ、近藤は口づけながら妙の腰を下ろす。ゆっくりと唇を離すと、頬を赤く染めて瞳を潤ませた妙に見上げられた。すっかり欲情している妙に、近藤はすまなそうに笑って耳元で囁く。
「続きは帰ってからですよ」
と、妙の頬に口づけ、立ち上がった。妙に背を向けて山崎と話していると、後ろから縋りつかれる。やれやれと両手を上げた山崎は提案した。
「姐さん、局長の隊服、座席の下に載せてるんで、それ着させてあげてください」
快諾した妙は、なんの躊躇もなく近藤が着ていたものを脱がせていく。剥かれている近藤もまた、仁王立ちのまま隊士たちとやり取りしていた。が、褌に妙の手がかかったところで山崎が止めに入った。
「ストップして姐さんッ!予備の褌はありませんからそのままでいいです。ってか、局長も止めましょうよ。好きな女性と想いが通じ合ってんだから、いい加減、公然猥褻やめましょうよ」
「おお?そうか、うむ。お妙さん、シャツお願いします」
言われて妙は袖を通しやすいように広げたシャツを近藤に着せた。袖を通した近藤はボタンを留める。
「お妙さんの前では常にノーパンでいなきゃって思ってたからさ。むしろ恥部を晒すのは当然の如く思ってたが……やめたほうがいいのか?」
「えッ!姐さん、ノーパンの男が好みなんですかッ?!」
「そんなわけないじゃないですか。山崎さん、変なことを言うのはやめてください」
と、ベストを着せ、ズボンを穿かせる。靴下と靴は近藤自ら履いた。
「あれは、たとえ話です。心を護りすぎて本心を隠す人には私のパンツを触らせたくなかっただけです。誤解しないでください」
スカーフを巻いて形を整える。もうすぐ一番好きな近藤に会える。妙の心は弾んだ。
「まァ、どんな近藤さんも素敵だから別にノーパンでもいいですけどォ……」
恥じらいながら近藤の胸に指で触れ、のの字を書く。当てられた山崎は渇いた笑みをこぼした。妙は、近藤の背後に回り、隊服の上着を広げた。近藤が袖を通すと身頃を整える。妙は正面に回った。銀の縁取りがあしらわれた堅い黒に、柔らかい白のスカーフ。とてもよく似合っている。
「でも、一番素敵なのは真選組(けいさつ)のあなた……」
妙は感激して涙を浮かべた。
「お帰りなさい、近藤さん」
と、笑顔で近藤の愛刀を差し出した。妙によって差し出された剣をしばし見つめ、近藤は控えめに笑った。目を閉じ、心内でただいまと呟き、開眼する。鞘に納まっている真剣を帯刀した。一仕事残っている。ただいまと口にするには、まだ早い。それにしてもだ。
「あ~あ~、俺って奴ァ、とことん幸せな野郎だな」
近藤は、照れを誤魔化すように片眉を上げて笑った。
お帰りなさい
Text by mimiko.
2015/06/05