真選組版深夜のお絵描き真剣勝負(https://twitter.com/shinsengumi_dr)11/26(木)付のお題。
ゴキブリーダー
納涼祭でにぎわうかぶき町。人混みの中で上司を見つけた山崎は声をかける。
「あ、副長」
マヨネーズがたっぷりかけられているお好み焼きを頬張る土方の奥には、また見知った顔がある。
「あれ、沖田隊長まで」
と、たこ焼きを頬張る沖田。山崎は首を傾げて訊ねた。
「局長と一緒じゃないんですか?」
お好み焼きを挟む箸と、たこ焼きを刺した串の動きが止まる。同時に目を細め、それまで美味しそうに食べていたふたりの顔から表情がなってゆく。無言で口の中のものを食べきると溜息をついた。
「ん?どうかしたんですか?」
山崎の呑気な声に土方と沖田の片眉がつり上がる。
「ゴキブリなら今頃、ゴリラ女と乳繰り合ってんじゃないのか」
土方は残るひと切れのお好み焼きを食べた。
「あ、土方さんも姐さんとチャイナ娘、見かけたんですかィ」
と、沖田は遠くを眺め、残るひとつのたこ焼きを食べる。あからさまに面白くなさそうなふたりに愛想笑いをする。下手に刺激すると爆発して、そのとばっちりがこちらに来そうだ。
「ゴリラじゃなくてゴキブリなんですか?」
「バカップル狩りヒーロー仮面ゴキブリーダーブラックRXでさァ」
「ったく、てめェ自身がバカップルだろ」
冗談交じりに訊ねたのに肯定され、山崎は瞬きをする。
あれれ、これはいよいよ副長と沖田隊長の局長離れの時なのかな?
土方と沖田は、また同時に溜息をついてぼそりと同時に呟く。
「リアル充実爆発しろ……」
「え。ふたりともよしてくださいよ。縁起でもないこと言わないでください。カラクリ軍団が祭りを爆発させたの忘れたんですか」
言いきる前にこちらを窺う気配を感じ、山崎は両手を差し出した。そこにたこ焼きとお好み焼きが空になったパックが置かれる。
「はぁ、もう、俺だって青のりふわふわのたこ焼きとマヨネーズたっぷりのお好み焼き、食べたかったんですからね。なのに、ふたりがフラグ立てるからァ……」
沖田は得物を撫でてにやりと笑い、土方は隊服の内ポケットから煙草を取り出す。
「で、局長には知らせますか」
「有給休暇中だ。野暮な真似してやるな」
と、煙草に火をつける。
「総悟、むやみに暴れんじゃねーぞ」
「へいへい」
両手を上げて後頭部で指を組んで歩み出す沖田の背後に向かって土方が指摘する。
「へいは一回だッ」
「ヘーイッ☆」
振り返った沖田は片目をつむって舌をぺろりと出す。完全に馬鹿にしている。頭にきた土方は青筋を立てた。
「っんだソレ!おちょくってんのかコラッ」
やれやれ。ふたりとも素直じゃないなァ。
山崎は手にしていた空のパックを備え付けのごみ箱へ入れるとにこりと微笑み、人混みに消えた。
「あ、副長」
マヨネーズがたっぷりかけられているお好み焼きを頬張る土方の奥には、また見知った顔がある。
「あれ、沖田隊長まで」
と、たこ焼きを頬張る沖田。山崎は首を傾げて訊ねた。
「局長と一緒じゃないんですか?」
お好み焼きを挟む箸と、たこ焼きを刺した串の動きが止まる。同時に目を細め、それまで美味しそうに食べていたふたりの顔から表情がなってゆく。無言で口の中のものを食べきると溜息をついた。
「ん?どうかしたんですか?」
山崎の呑気な声に土方と沖田の片眉がつり上がる。
「ゴキブリなら今頃、ゴリラ女と乳繰り合ってんじゃないのか」
土方は残るひと切れのお好み焼きを食べた。
「あ、土方さんも姐さんとチャイナ娘、見かけたんですかィ」
と、沖田は遠くを眺め、残るひとつのたこ焼きを食べる。あからさまに面白くなさそうなふたりに愛想笑いをする。下手に刺激すると爆発して、そのとばっちりがこちらに来そうだ。
「ゴリラじゃなくてゴキブリなんですか?」
「バカップル狩りヒーロー仮面ゴキブリーダーブラックRXでさァ」
「ったく、てめェ自身がバカップルだろ」
冗談交じりに訊ねたのに肯定され、山崎は瞬きをする。
あれれ、これはいよいよ副長と沖田隊長の局長離れの時なのかな?
土方と沖田は、また同時に溜息をついてぼそりと同時に呟く。
「リアル充実爆発しろ……」
「え。ふたりともよしてくださいよ。縁起でもないこと言わないでください。カラクリ軍団が祭りを爆発させたの忘れたんですか」
言いきる前にこちらを窺う気配を感じ、山崎は両手を差し出した。そこにたこ焼きとお好み焼きが空になったパックが置かれる。
「はぁ、もう、俺だって青のりふわふわのたこ焼きとマヨネーズたっぷりのお好み焼き、食べたかったんですからね。なのに、ふたりがフラグ立てるからァ……」
沖田は得物を撫でてにやりと笑い、土方は隊服の内ポケットから煙草を取り出す。
「で、局長には知らせますか」
「有給休暇中だ。野暮な真似してやるな」
と、煙草に火をつける。
「総悟、むやみに暴れんじゃねーぞ」
「へいへい」
両手を上げて後頭部で指を組んで歩み出す沖田の背後に向かって土方が指摘する。
「へいは一回だッ」
「ヘーイッ☆」
振り返った沖田は片目をつむって舌をぺろりと出す。完全に馬鹿にしている。頭にきた土方は青筋を立てた。
「っんだソレ!おちょくってんのかコラッ」
やれやれ。ふたりとも素直じゃないなァ。
山崎は手にしていた空のパックを備え付けのごみ箱へ入れるとにこりと微笑み、人混みに消えた。
ゴキブリーダー
Text by mimiko.
2015/11/27