事後です。
終盤甘くなりすぎて近藤さんが別人くさいです。
終盤甘くなりすぎて近藤さんが別人くさいです。
埋め合わせ
――妙、すみません。この埋め合わせは必ずしますから、今日のデートはこれで帰って下さい――これで帰って、待ち合わせ場所に来ただけで、まだどこにも行ってないじゃないですか!――局長!急いで下さい!――ああ、わかった!じゃあ、そういうことで!ホントすまん!――
先日、久しぶりのデートを攘夷過激派に邪魔された。怒りの矛先を辿ると、こんなご時世だからなのだろうが、妙には勲を呼びに来た山崎が一番恨めしかった。いや、勲自身かもしれない。あれ程ふたりで楽しみにしていたのに、呼ばれてすぐさま飛んで行った。
真選組局長としては大のつく正解だ。だが、夫としては大をつけたい程の不正解。いや、やはり大正解かも知れない。デートの計画は流れてしまったが、こうしてそれ以上の埋め合わせはしてもらった。
妙は下腹部に残る勲の熱を呼び戻すように、先程のことを思い返す。うっとりとした溜め息をつき、体のだるさを実感した。左腕で自分に腕枕をする勲に寄り添い、心地よい心音に耳を澄ませ、静かに口を開く。
「あの、勲さん……」
「なんですか?」
「私も埋め合わせをさせて下さい」
「え?それならさっきいっぱい……」
「そうじゃなくて……。私、勲さんが何度も謝ってくれたのに、必要なこと以外三日もまともに口をきかなかったから……」
勲は、ふっと笑った。
「ちゃんと謝ってもらったから、もういいですよ」
と、右手で妙の髪を撫でて微笑む。
「それじゃあ私の気が済みません。何か私にしてもらいたいことはありませんか?」
「俺ァさっきの、あんなこんなそんなで充分なんですけど……」
「何か言って下さい。なんでもしますから」
「ん~……なんでもって、もうなんでもしてもらってるしなァ……」
と、髭を擦った勲は、はっとする。
「ひとつありました。ずっと前からして欲しかったことです」
「なんですか?」
勲はご機嫌な様子で布団を出た。
「あ、妙はそのままで待ってて下さいよ!パンツも穿いちゃダメです」
そう言うと、そそくさと押し入れを開けた。妙は不思議に思いながらのそりと体を起こすと、裸で押し入れを覗き、鼻歌を歌う勲を見つめる。
ずっと前からして欲しかったかったことでパンツも穿いちゃダメなこと?何かしら?
勲は隊服を手に布団へ戻り、言おうとして口を開いたが顔を真っ赤にし、隊服だけを差し出した。
「え?これを着るんですか?」
きょとんとした妙に、顔を赤くしたまま頷く。
――素肌に隊服を着て下さい――
が、何故言えん。さっきだって、あんなそんなこんなをしたりされたりした。今更、恥ずかしがることなどないはずだ。でも素肌に隊服ってすっげーえろくね?!しかし、好きな女の素肌に自分の隊服を着せるのは真選組隊士の憧れで夢だ。いやらしくても、言うの恥ずかしくても、やっぱしてもらいた……いィィィィ?!
勲は妙を見て目を点にした。視線を感じた妙は照れたように微笑む。
「やっぱり大きいですね」
と、手が出ていない袖を合わせて小首を傾げる。
ぶはァァァ!!マズイ鼻血出そう大量に出そう致死量出そォォォ!
額に汗を掻き、更に顔を赤くする勲を妙は窺う。
「勲さん?」
布団に両手を突いて身を乗り出したために胸の谷間が強調されている。勲は右手で額を覆い、血走っている目を閉じた。
いかんいかんいかん!絶対ダメだ。アレは二次元の世界のことだ。言うな勲、絶対に言ってはならん。妙にはどんなことでも話せと言われているが、ソレだけはいかん。落ち着け勲、何が何でも言うな勲。その姿が見れただけで充分じゃないか、それなのに……。
「勲さん?あの……着方が違いましたか?」
不安そうな妙の声に、勲は頭を左右に強く振った。
「じゃあどうして何も言ってくれないんですか……?」
「ち、違うんです、こないだ銀時に押しつけられた兄妹モノが……!」
我に返って口を両手で押さえた。言ってはならないことを言ってしまったという勲の顔に、妙は首を傾げた。
兄妹モノ?……銀さん?
「いや、今の違う、間違えた間違……」
笑顔の妙のこめかみには青筋が立っており、勲はびくりとする。
「何かいやらしいものでも観たんですか?私というものがありながら、他の女に、ぅんっ!」
勲は妙の唇を自分の唇で塞ぎ、舌を絡めて唇を離した。
「違います……。内容に血の繋がらない兄の制服を妹がこっそり着て兄を思ってその……」
妙の眉がぴくりと動いた。
「どこが違うんですか?いやらしいモノですよね、その兄妹モノ」
「そうじゃなくて、妙も隊服着ただけで俺に感じてくれたらいいなァなんて……」
え……。
妙は、どきりとして素肌に着ている隊服を意識した。ふと、胸の先が生地に触れ、体を揺らす。
あ……。
酸素を欲しがるように息をつき、勲が今朝もこの隊服を着て行ったのを思い出す。
そう言えば、この隊服はいつも勲さんが着ているもの。
中心がきゅっと締まり、身震いする。腰を揺らして一度離れた生地が肌に密着し、びくりとする。
あ、何、なんで?さっきまでこんなふうにならなかったのに、勲さんが変なこと言うからおかしく……。
眉を下げ、薄く唇を開き、切なげに勲を見つめた。隊服の生地が触れている部分を勲に撫でられているように錯覚し、瞳に潤ませる。
「変なこと、言わな、いで下さっ、んんっ、いや」
びくびくと体を揺らし、身を捩る。勲はそれを収めようと妙を抱き締めた。
「すみません。けど嬉しいです。俺は何もしてないのに、妙は俺を意識しただけで感じてる」
と、左手で腰を撫でる。
「んっ……」
「妙が二次元の娘よりもいやらしくて嬉しいです」
妙は顔を熱くし、息を詰まらせながらも抗議する。
「そんな、私を、こんなふうにしたの、勲さん、なの、に……あっ」
左の中指が熱くなっていたそこに触れ、妙は背を逸らせた。
「すみません」
と、嬉しそうに微笑む。浅く入れた指を引き抜き、妙の腰は指が欲しそうに揺れた。
ああ、ひどい。わかってるのにまた焦らして……。
妙は切なくなり、抱きついていた勲の首に口づける。息を詰まらせた勲は苦笑し、妙の胸の先を指で弾いた。短い嬌声が上がり、妙はもっとと勲に口づけ、舌を絡める。唇を離すと細い糸が引き、甘さを含んだ吐息を勲の頬にかける。
「欲しい、です」
「はい」
「隊服、脱いでもいいですか……?」
こんなの着てたらおかしくなっちゃう。
「いや、着ておいて下さい」
「そんなのダメです、汚れてしまいます」
「大丈夫ですよ、妙が感じ過ぎて沢山溢れさせなければ汚れたりしません」
「そんな……」
訴えかけるような視線を振り切り、勲は口の片端を上げた。
「埋め合わせでしたよね?」
返す言葉を失くした妙は、小さく頬を膨らませてそっぽを向くとぼそりと呟いた。
「勲さん、ずるい……」
思わず笑みを零した勲は、妙の頬に手を添え、こちらを向かせて微笑む。
「好きな女の素肌に自分の隊服を着せみたいと真選組の隊士なら誰もが憧れるんです。俺の夢はそうなった女を抱くことです。妙が叶えてくれるんですよね?」
そう言われては頷くしかない。妙は、こくりと頷き勲に身を預けた。
先日、久しぶりのデートを攘夷過激派に邪魔された。怒りの矛先を辿ると、こんなご時世だからなのだろうが、妙には勲を呼びに来た山崎が一番恨めしかった。いや、勲自身かもしれない。あれ程ふたりで楽しみにしていたのに、呼ばれてすぐさま飛んで行った。
真選組局長としては大のつく正解だ。だが、夫としては大をつけたい程の不正解。いや、やはり大正解かも知れない。デートの計画は流れてしまったが、こうしてそれ以上の埋め合わせはしてもらった。
妙は下腹部に残る勲の熱を呼び戻すように、先程のことを思い返す。うっとりとした溜め息をつき、体のだるさを実感した。左腕で自分に腕枕をする勲に寄り添い、心地よい心音に耳を澄ませ、静かに口を開く。
「あの、勲さん……」
「なんですか?」
「私も埋め合わせをさせて下さい」
「え?それならさっきいっぱい……」
「そうじゃなくて……。私、勲さんが何度も謝ってくれたのに、必要なこと以外三日もまともに口をきかなかったから……」
勲は、ふっと笑った。
「ちゃんと謝ってもらったから、もういいですよ」
と、右手で妙の髪を撫でて微笑む。
「それじゃあ私の気が済みません。何か私にしてもらいたいことはありませんか?」
「俺ァさっきの、あんなこんなそんなで充分なんですけど……」
「何か言って下さい。なんでもしますから」
「ん~……なんでもって、もうなんでもしてもらってるしなァ……」
と、髭を擦った勲は、はっとする。
「ひとつありました。ずっと前からして欲しかったことです」
「なんですか?」
勲はご機嫌な様子で布団を出た。
「あ、妙はそのままで待ってて下さいよ!パンツも穿いちゃダメです」
そう言うと、そそくさと押し入れを開けた。妙は不思議に思いながらのそりと体を起こすと、裸で押し入れを覗き、鼻歌を歌う勲を見つめる。
ずっと前からして欲しかったかったことでパンツも穿いちゃダメなこと?何かしら?
勲は隊服を手に布団へ戻り、言おうとして口を開いたが顔を真っ赤にし、隊服だけを差し出した。
「え?これを着るんですか?」
きょとんとした妙に、顔を赤くしたまま頷く。
――素肌に隊服を着て下さい――
が、何故言えん。さっきだって、あんなそんなこんなをしたりされたりした。今更、恥ずかしがることなどないはずだ。でも素肌に隊服ってすっげーえろくね?!しかし、好きな女の素肌に自分の隊服を着せるのは真選組隊士の憧れで夢だ。いやらしくても、言うの恥ずかしくても、やっぱしてもらいた……いィィィィ?!
勲は妙を見て目を点にした。視線を感じた妙は照れたように微笑む。
「やっぱり大きいですね」
と、手が出ていない袖を合わせて小首を傾げる。
ぶはァァァ!!マズイ鼻血出そう大量に出そう致死量出そォォォ!
額に汗を掻き、更に顔を赤くする勲を妙は窺う。
「勲さん?」
布団に両手を突いて身を乗り出したために胸の谷間が強調されている。勲は右手で額を覆い、血走っている目を閉じた。
いかんいかんいかん!絶対ダメだ。アレは二次元の世界のことだ。言うな勲、絶対に言ってはならん。妙にはどんなことでも話せと言われているが、ソレだけはいかん。落ち着け勲、何が何でも言うな勲。その姿が見れただけで充分じゃないか、それなのに……。
「勲さん?あの……着方が違いましたか?」
不安そうな妙の声に、勲は頭を左右に強く振った。
「じゃあどうして何も言ってくれないんですか……?」
「ち、違うんです、こないだ銀時に押しつけられた兄妹モノが……!」
我に返って口を両手で押さえた。言ってはならないことを言ってしまったという勲の顔に、妙は首を傾げた。
兄妹モノ?……銀さん?
「いや、今の違う、間違えた間違……」
笑顔の妙のこめかみには青筋が立っており、勲はびくりとする。
「何かいやらしいものでも観たんですか?私というものがありながら、他の女に、ぅんっ!」
勲は妙の唇を自分の唇で塞ぎ、舌を絡めて唇を離した。
「違います……。内容に血の繋がらない兄の制服を妹がこっそり着て兄を思ってその……」
妙の眉がぴくりと動いた。
「どこが違うんですか?いやらしいモノですよね、その兄妹モノ」
「そうじゃなくて、妙も隊服着ただけで俺に感じてくれたらいいなァなんて……」
え……。
妙は、どきりとして素肌に着ている隊服を意識した。ふと、胸の先が生地に触れ、体を揺らす。
あ……。
酸素を欲しがるように息をつき、勲が今朝もこの隊服を着て行ったのを思い出す。
そう言えば、この隊服はいつも勲さんが着ているもの。
中心がきゅっと締まり、身震いする。腰を揺らして一度離れた生地が肌に密着し、びくりとする。
あ、何、なんで?さっきまでこんなふうにならなかったのに、勲さんが変なこと言うからおかしく……。
眉を下げ、薄く唇を開き、切なげに勲を見つめた。隊服の生地が触れている部分を勲に撫でられているように錯覚し、瞳に潤ませる。
「変なこと、言わな、いで下さっ、んんっ、いや」
びくびくと体を揺らし、身を捩る。勲はそれを収めようと妙を抱き締めた。
「すみません。けど嬉しいです。俺は何もしてないのに、妙は俺を意識しただけで感じてる」
と、左手で腰を撫でる。
「んっ……」
「妙が二次元の娘よりもいやらしくて嬉しいです」
妙は顔を熱くし、息を詰まらせながらも抗議する。
「そんな、私を、こんなふうにしたの、勲さん、なの、に……あっ」
左の中指が熱くなっていたそこに触れ、妙は背を逸らせた。
「すみません」
と、嬉しそうに微笑む。浅く入れた指を引き抜き、妙の腰は指が欲しそうに揺れた。
ああ、ひどい。わかってるのにまた焦らして……。
妙は切なくなり、抱きついていた勲の首に口づける。息を詰まらせた勲は苦笑し、妙の胸の先を指で弾いた。短い嬌声が上がり、妙はもっとと勲に口づけ、舌を絡める。唇を離すと細い糸が引き、甘さを含んだ吐息を勲の頬にかける。
「欲しい、です」
「はい」
「隊服、脱いでもいいですか……?」
こんなの着てたらおかしくなっちゃう。
「いや、着ておいて下さい」
「そんなのダメです、汚れてしまいます」
「大丈夫ですよ、妙が感じ過ぎて沢山溢れさせなければ汚れたりしません」
「そんな……」
訴えかけるような視線を振り切り、勲は口の片端を上げた。
「埋め合わせでしたよね?」
返す言葉を失くした妙は、小さく頬を膨らませてそっぽを向くとぼそりと呟いた。
「勲さん、ずるい……」
思わず笑みを零した勲は、妙の頬に手を添え、こちらを向かせて微笑む。
「好きな女の素肌に自分の隊服を着せみたいと真選組の隊士なら誰もが憧れるんです。俺の夢はそうなった女を抱くことです。妙が叶えてくれるんですよね?」
そう言われては頷くしかない。妙は、こくりと頷き勲に身を預けた。
埋め合わせ
Text by mimiko.
2010/06/21