「ラブラブ詐欺」の今朝の話で近妙えろです。乙女向けなティーンズラブ仕様です。
お妙さんがイボ並みに近藤さんへラブラブ攻撃してます。普段のバイオレンスお妙さんはいません。近藤さんが何しても許されるイケメンになってます。ふたりとも別人です。
銀魂゜2巻完全限定版特典CDラジオ「ジャンク真選組」前提です。が、もやは特典CDの内容にはほぼ触れていないので前提でなくてもいい感じです。
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ズルズル詐欺
朝の家事を済ませると、妙はトレーニングウェアに着替えた。ピンク色の半袖Tシャツに白色のショートパンツだ。手首にはリストバンドをはめる。居間に戻って腹筋運動を終えると、何者かの気配を感じて押入れの襖に手をかける。
多分、いる。
思い当たる人物は、初めて会った日にプロポーズを断った男だ。妙は、さっと戸を引いた。上段には物が詰め込まれている。確かこれほど荷物を入れてはいなかったはずだ。腰を下ろして下段を見た。
やはりいた。
自分と目を合わせると、男は顔面に汗を滲ませまくる。
「おはようございます、近藤さん。朝からお勤め、お疲れ様です」
真選組の制服を着用している近藤へにこりと笑って見せた。いつも飽きもせずによく我が家に潜伏しているものだ。
「お、おはようございます、お妙さん」
「お休みじゃないのにこんな朝早くからどうされたんです?」
下段に詰まっていた荷物を移動させて上段へ詰め直すのも容易ではないはずなのに、そうまでして埃っぽい押入れに入っているとは、ただただ呆れるばかりだ。
大きな子供が全力でするかくれんぼね。
「午後から遠出するんで、その前にお妙さんの顔を一目見ようと……」
「あら、そうなんですか」
と、妙は近藤の入っている押入れの中へと潜り込む。かくれんぼなぞ子供のすることで大人のすることではないと嘲っても、興味はそそられる。懐かしい子供時代を振り返るように妙の心は踊る。
「え、ちょ、お妙さん?!」
慌てる近藤を余所に妙は自分の体を近藤へと密着させた。
「こんなところで覗いてるだけでいいんですか?」
「え……」
妙は近藤の肩に手を置いて身を乗り出した。近藤の耳に、ふーっと息を吹きかける。近藤の肩が竦んで顔がこちらに向いた。
「ちょっと、お妙さん」
「しーっ」
妙は近藤の唇に左の人差し指押し当てる。その指を唇から顎へと移動させ、髭を撫でた。首に顔を寄せると近藤の匂いが濃くなる。好きな匂いにうっとりする妙は近藤の首に唇を押し当てた。唇を動かして近藤の匂いを食べる。何度か口に含んでいるともっと欲しくなり、唇を窄めて吸いついた。
「んっ……、お妙さん、跡つけたらダメですよ。俺、これから仕事ですから」
これからもっと近藤の匂いを堪能しようと目論んでいた妙は水を差されたと面白くなさそうに頬を膨らませた。
もう、どうしてそういうこと言っちゃうのかしら。
「わかりました」
と、舌をべろっと出して真選組制服のスカーフ際に差し込み、舐め上げた。顎に行くとそのまま頬へと舐め上げる。
あ、近藤さん、汗掻いてる。
「はぁっ、こら、べろーんってしちゃダメだって。後でちゃんと顔洗わなきゃいけないじゃん」
「私もこの後シャワー浴びますから、一緒に浴びて行ったらいいじゃないですか」
「いや、そんな時間ないんで。……て、この後って?」
わかっていないらしい近藤に耳打ちする。
「エッチなことした後♡」
甘えた声で言うと近藤の顔が赤くなった。
「え、そ……そんなの、こんな所でダメですよ……」
恥ずかしそうに視線を逸らす近藤の胸に手を当てた。ベストを開いて白いシャツの上から鍛えられている胸を手の平で撫でる。
「でも、まだ新ちゃん出かけてないし……」
近藤の体がびくりと揺れて硬直した。妙は、胸の小さな突起を探り当てると指の腹で撫ではじめた。
「ちょっ、だったら尚更ダメじゃないですかッ」
我に返った近藤は妙の手を掴む。
「でも、お仕事、行かれるんでしょう?午後からは遠出されるんでしょう?」
「あ……まァ、そうなんですけど……」
「じゃあ、折角、私もこんな格好してるんですから、ね?近藤さん、言ってたじゃないですか。普段の着物姿もいいけど、元気ハツラツなショートパンツ姿もいいですねって」
妙は左の太腿を仰向けになっている近藤の左の足に摺りつけながら自分の足を近藤に絡ませた。
「しかし……」
んもう、頭固いんだから。
近藤に掴まれていた手の力がいつの間にか緩まっており、妙は近藤の手から逃れて近藤の腰に跨った。頭をぶつけないように上半を起こし、近藤のシャツのボタンをはずして素肌に頬擦りする。男の、近藤の、匂いに酔いしれる。思えばこんなに体の匂いを発する体質であったろうかと思ったが、よく考えれば押入れの中に入っていた。狭い空間で密着していればその分、匂いも強く感じるはずだ。納得した妙だったが、我に返る。急に逃げ出したくなった。確かに密接度が増す押し入れ内であるのだが、近藤の体臭を堪能できるのだが、それは同時に自分に返ってくることを意味しているからだ。
どうしよう、筋トレしたばっかりなのに。
急に大人しくなった妙に近藤は訊ねた。
「お妙さん?どうかしました?やっぱりやめときます?」
「え、あ……」
はいと頷きたくないのに、頷きたい。戸惑う妙を不思議に思いながらも近藤は妙を引き寄せ抱きしめた。腰に回る腕が力強いのにとても優しい。心地のいい束縛に妙の胸が熱くなる。逞しい腕の中は、近藤の匂いで充満している。離れたくない。このままずっと一緒にいたい。
「や……やめたくないんですけど……その……匂いが……」
打ち明けてはみたが、恥ずかしさが増しただけだった。
「匂い?」
耳元で呟かれ、どきりとする。近藤は自分の髪に鼻を寄せて匂いを嗅いでおり、ぞくりとした。首筋がそわそわとしている。不意に近藤の指先がその首筋に触れた。
「っ……」
触れた指先はうなじへ滑る。
「ああ、確かに籠ってますね。お妙さん、筋トレしてたから匂いもいつもより濃いし」
と、もう一度匂いを嗅ぐ。頭のてっぺんまでぞくぞくとしたものが駆け、妙は肩を揺らした。
「そんなこと、言わないでください……」
呼吸を乱す妙に近藤は微笑む。
「お妙さん、かわいい……」
と、目を伏せた近藤が、首を傾げて唇を寄せた。胸の奥が掴まれ、それに引き寄せられる。妙は目を閉じて近藤へと唇を近づけた。温かく、柔らかい。重ねるだけの口づけを幾度か交わすと、そうするのが当然かのように唇を開いて重ねた。合わさった口内で舌を愛撫しあう。次第に唾液が混ざり合い、それを啜られて妙は声を上げてしまう。くぐもった声は触れた舌によって近藤へ伝わった。いつの間にか腰から背中へと移動していた右腕に抱きすくめられ、逃げ場がなくなる。妙の舌は甘く痺れ、口端からは涎をあふれさせる。唇を離した近藤は妙の口端の唾液を啄むように舐めとり、瞳を潤ませる妙に微笑んだ。
「キスだけでそんな顔するくらい感じたんですか?」
指摘され、恥ずかしくなって頬を熱くしながら反撃する。
「近藤さんだって……」
と、妙は下腹部に当たっている近藤を気にする。制服の上からそっと触れた。
「キスだけなのにこんなにしてる。ここ、大きくしたままお仕事行っちゃったら他のお巡りさんに逮捕されちゃいますよ」
妙が小首を傾げて言うと、近藤の目が細くなった。
「君みたいなかわいい警察官になら、僕、喜んで逮捕されちゃうんだけどなァ」
と、照れながら声も顔も緩める。先ほどまで渋っていた固い頭はもはやふにゃふにゃらしい。妙は、思わず笑みをこぼす。
「もォ、悪いお巡りさん♡それじゃあ、調書作成したいから署までご同行くださいね♡」
妙の腰に触れていた近藤の両手がピンク色のTシャツに潜り込んだ。弧を描く背を撫でて下着のホックをはずすと、脇を通って前へ移動した。前かがみになっている妙の柔らかい膨らみを近藤の太い指が支えて持ち上げる。指先に力が入ると妙の背が揺れた。
「調書なら俺が取りますよ。どこが感じるか本物のお巡りさんに教えてください、いけない婦警さん」
低い声で囁かれ、下着の締めつけから解放された肌があわ立つ。
「やっ」
きゅっと掴まれた胸を揺らされ、肩がびくりとする。厚い手に優しく捏ねられ、腰まで揺れ出す。
「胸、揉まれるのがいいんですか?どんなふうにされると感じますか?こうですか?」
と、指を揃えて椀型にした手で双丘を揺らす。
「んっ」
「それとも、こう?」
膨らみに添うように指を広げて互い違いに揺らす。
「あんっ……」
「あん、じゃわかりませんよ。どういうふうにされると感じますか?こう?」
「お巡りさんの、いじわる……んぁっ」
硬くなりつつある胸の先を両方の人差し指の腹で膨らみに押し込まれる。指が外されると押し返ったそれは、さらなる刺激を欲しそうに立ちあがった。
「はぁっ……」
切なげな溜息と共に体をびくりと揺らす。肩で呼吸し、上下する胸の先が疼いていることを意識する。
もっと触って、近藤さん……。
近藤は妙の期待通りに胸の突起に触れる。指先で弄ばれ、快感が胸先から広がった。もっと刺激が欲しくなり、妙の腰は揺れる。その度にそこに触れていた近藤の膨らみが硬さを増す。
「んっ、さっきよりも、近藤さんの、大きくなってる……」
息を乱しながら指摘された近藤は苦笑いした。
「しょうがないですよ。お妙さんがすごくやらしいから、興奮してるんです」
と、近藤は妙の背中を抱き寄せ、胸の先を舌で愛撫しはじめた。
「んあっ」
思わず出た大きな声に妙は唇を結んだ。しかし、優しかった愛撫がねっとり絡むような愛撫になるとどうしても声があがってしまう。
「ダメですよ、お妙さん。……んっ、そんな大きな声出しちゃ、こんな所でいやらしいことしてるの……はぁむ……、新八くんにバレちゃいますよ……じゅっ」
掴まれた乳房は寄せられ、愛撫を重ねる舌や指によって追い立てられる。口に含んだ唾液と共に硬く痺れた乳首を啜られ、妙の腰はびくびくと揺れた。中は、すでにきゅうきゅうと締まっている。衣服越しに近藤が当てられているだけなのに、早くそれをその奥で搾り上げたい。
「だって、近藤さんが、私の乳首、やらしく、吸うから、はぁ、やぁんっ」
妙は、近藤の首元に顔を寄せた。切なさがこみ上げ、眉を寄せる。腰は、近藤のそれを扱くようにいやらしく動く。
「胸、いっぱい触ったら、ダメです、んっ」
ちょっと体を刺激されただけなのに、すぐに理性が仕事をしなくなる。
普段ならば近藤の馬鹿げた行動で神経を逆なでされようとも、僅かながら残った理性が働いている。が、やはり皮下に覆われた神経を直接的に刺激されると呆気ない。快感を伴う刺激は女に生まれた自分の本能を剥き出しにする。近藤の右の人差し指が妙の唇に当てられた。
「お妙さん、しーっ」
と、薄く開いていた妙の口端に太い親指が触れる。妙は目を細めた。自分の奥を熱くし、唇に触れる近藤の親指を舌先でちろちろと往復する。
「ん……、だったら……、お巡りさん、はやく私を逮捕して……」
服の上から近藤を擦っていた腰が掴まれ、妙の腰が驚いた。
「ぁんっ」
自分のそこを擦りつけていたよりも確かに近藤を感じる。動きを封じられたのに、心地がいい。
「ホント、いけないお妙さんだよね。新八くんがいるのに、のっかってきちゃうんだもんなァ……」
と、苦言を呈する割には近藤の表情は嬉しそうに綻んでいる。緩んだ近藤であっても自分の腰を捕らえているその手は決して緩まず、そこを捕らえる近藤はますます猛っている。しかし、近藤と自分の着衣越しに触れているのがもどかしい。切なくなって妙の双眼が熱くなる。
「近藤さん……」
もっと、ちゃんと私を捕まえて……。
欲しがる妙に応えるように近藤の右の人差し指と中指が妙の濡れた唇に触れた。ふたりの合わさった唾液を潤滑油に桜色の上を滑る。僅かに捲れて血色のよい歯茎が見えたが、中から伸びてきた生き物のような赤い粘膜が男の指を二本、絡めとる。妙の舌は小さな水音を鳴らしながらも太い指を潤す。内側の熱の高まりに思わず腰を揺らす妙だったが、近藤の左腕に体を捕らえられたまま身動きが取れずに息を乱す。
「んぅ、こんどぉ……さん……ふぅ、じゅぅっ」
「お妙さん、もういいですよ……」
溢れそうになった唾液を啜る妙の口から二本の指を引き抜いた。
「こんなに濡らしてくれたら充分です」
と、近藤は妙のショートパンツと下着の隙間にその右の指を潜らせた。すでに妙の蜜で潤っていた秘裂に指を差し込んで引く。指に蜜を塗りつけながら隠れている小さな突起を刺激すると甘い声が上がる。
「あっ、やっ、んんっ」
眉根の寄った妙にしがみつかれ、近藤は笑みをこぼした。
「いきなり入れたらダメですからね」
穏やかな声といやらしい指の動きに妙の心が乱される。入れるという言葉に最奥が疼き、身を捩る。全身の熱も上がり、はやくこの熱を散らしたいと瞳が潤む。ぬるぬると滑りの良くなった近藤の指の先が、ようやくそこへあてがわれた。
「お妙さん♡」
弾んだ声で呼ばれて唇に軽く口づけられた。かわいらしい触れ方に妙は瞬きをする。
「指でいったらダメですよ。俺のでいくんですからね」
と、唇に舌を差し込む近藤の声は明らかにこちらを挑発していた。意地が悪いのに口づけは甘い。優しく舌を嬲られながら中に指を差し込まれ、妙の体がのけ反った。優しく指で掻かれ、卑猥な音を口内いっぱいに立てられ、すぐに追い詰められる。合わさった唾液を啜られ、妙の限界が来る。
「んふ、はぁ……むぅ……んんっ……!」
だが、妙が達する直前で二本の指は引き抜かれた。舌を唇で扱かれて妙は腰をくねらせる。
「んー、んっ……んーっ……!」
切なくて涙が滲む。妙の抗議に近藤は彼女の舌を解放し、乱れる呼吸を整えようとする妙にくすりと笑った。
「ダメですよ。ひとりだけいくなんてズルいですよ、お妙さん。俺も一緒にいかせてください」
自分のものを取り出した近藤は、妙のショートパンツと下着を脱がせながら彼女の耳元で訊ねた。
「持ってます?」
何を持っているかは敢えて言わずともわかっている。こちらが持っていないと告げれば、一緒に達したいと言った近藤であってもひとり我慢し、自分だけを悦ばせて仕舞にすることは知っている。
「ズボンのポケットに入れておきました……」
押入れへ潜り込み、近藤に乗りかかったその時、妙は予め避妊具を潜り込ませていた。妙の常套手段である。ポケットの中を探った近藤は、取り出した避妊具を手早く着けると妙のそこへ密着させた。
「すごいですね、ヌルヌルだ……」
ふうっと一息ついた近藤は口を噤んで腰を揺らした。妙の反応を窺いながら焦らす。耳に口づけ、次に首に口づける。不意に笑みをこぼした。
「汗、掻いてますね」
運動しているも同然なのだ。無理もない。こんな狭い所で大人ふたりが密着していれば汗を掻くのは必至である。
「ん……お妙さんの汗、美味いです」
妙の肌に浮かんで流れていた汗を舐めとり、満足そうに笑う。
「もっと、汗掻いてもいいですよ。上の口も、下の口も、肌も、もっとグショグショに濡らして……」
と、近藤は妙の中に進入する。
「全部、俺に飲ませてください」
根元まで近藤が入ると、ぐちゅんと粘着質な水音が鳴った。妙はその存在感に声なく達する。妙が体を固くしていると近藤は妙の髪を撫でた。
「いっちゃったんですか……?」
「……ん、はい……ごめんなさい、勝手に……」
「謝る必要ないですよ。俺はただ、お妙さんのいい顔を見たいだけです」
近藤は妙の頬に手を当てて顔を上げさせた。眉を下げて潤ませた瞳がとろりとしている。吐息がこちらにかかっている。徐々に落ち着いていく息遣いだが、平常のものではない。近藤は、彼女の頬に当てていた手を移動させ、前髪を梳くと指先が触れた額に微かな水分を感じた。前髪を上げると汗が滲んでいた。近藤は、額に滲んでいた妙の汗を指で拭い、その指を妙の目の前で見せつけるように舐めとった。真っ直ぐ近藤に見つめられた妙は、顔を熱くし、恥ずかしくなって視線を逸らした。
「美味いですよ、んっ、お妙さんの汗、美味いです……」
再び腰を動かしだした近藤は切なげに息をついた。
「ダメですね」
苦笑いし、妙に軽く口づけて唇を離す。
「お妙さん、いつもよりいいでしょう?中、いつもよりすごくて、すぐにでもいっちまいそうです……」
困ったように笑う近藤に愛おしさが込みあがり、今度は妙のほうが近藤に口づけた。
「いいですよ、もういっても……」
「いやいや、まだ入れたばっかだし。それに、お妙さん、まだ満足してないでしょう。いつも、何回もいってるんだから……」
と、奥にまで届いている分身に力を入れる。
「んっ……、そ、そしたらもう一回したら、いっ……いいじゃない、ですか、って奥、小刻みに、あっ、したら、やぁぁんっ……!」
また呆気なく達してしまった。先ほどから息苦しく、ずっと達する前の状態でいるように錯覚する。休みなく快感を与えられ、まだ残っているなけなしの意識まで手放してしまいたくなる。
「あ、お妙さんっ、そんなふうに動いたら、っぐぁ、んんっ……」
妙の腰を掴んで己の意識も掴もうとする近藤は、なんとか堪えきると肩で呼吸する。快感の渦に漂う妙は、自分の中で波打つ近藤に酔いしれる。
あ、近藤さんの、びくびくしてる……。
しかし、まだ硬さを保つ近藤に妙の腰が震える。
「あ♡」
甘い声で鳴き、頭の片隅にいるもうひとりの自分が恥ずかしがる。しかし、甘く鳴こうとする唇は閉じることを忘れてしまっている。
「お妙さん、……んぅ……」
息を乱す切なげな声に呼ばれて深く口づけられる。同時に体をゆっくりと突き上げられ始めると、もうひとりの自分も近藤の首に手を回して一緒によがり始めた。やがて自分の中で近藤が迸るのを察すると体は絶頂を迎え、頭の先から足のつま先まで幸福感に満たされた。普段から満たされている心は、その幸福が溢れ出ている。涙をこぼしていた妙の目元に愛しい人の唇が触れ、妙は顔を綻ばせた。
近藤さん、好き。大好き。言いたいのに言えない。でも、あなたのことだから、わかっているんでしょう。私が、こんなにあなたに夢中になっているんだもの。なのに、意地悪なんだから。というか、ズルいのは近藤さんのほうじゃない。ズルズルと誘惑されて、ズルズルと答えを先延ばしにしてケジメつけようとしないんだから。これじゃあ、ズルズル詐欺じゃない。
多分、いる。
思い当たる人物は、初めて会った日にプロポーズを断った男だ。妙は、さっと戸を引いた。上段には物が詰め込まれている。確かこれほど荷物を入れてはいなかったはずだ。腰を下ろして下段を見た。
やはりいた。
自分と目を合わせると、男は顔面に汗を滲ませまくる。
「おはようございます、近藤さん。朝からお勤め、お疲れ様です」
真選組の制服を着用している近藤へにこりと笑って見せた。いつも飽きもせずによく我が家に潜伏しているものだ。
「お、おはようございます、お妙さん」
「お休みじゃないのにこんな朝早くからどうされたんです?」
下段に詰まっていた荷物を移動させて上段へ詰め直すのも容易ではないはずなのに、そうまでして埃っぽい押入れに入っているとは、ただただ呆れるばかりだ。
大きな子供が全力でするかくれんぼね。
「午後から遠出するんで、その前にお妙さんの顔を一目見ようと……」
「あら、そうなんですか」
と、妙は近藤の入っている押入れの中へと潜り込む。かくれんぼなぞ子供のすることで大人のすることではないと嘲っても、興味はそそられる。懐かしい子供時代を振り返るように妙の心は踊る。
「え、ちょ、お妙さん?!」
慌てる近藤を余所に妙は自分の体を近藤へと密着させた。
「こんなところで覗いてるだけでいいんですか?」
「え……」
妙は近藤の肩に手を置いて身を乗り出した。近藤の耳に、ふーっと息を吹きかける。近藤の肩が竦んで顔がこちらに向いた。
「ちょっと、お妙さん」
「しーっ」
妙は近藤の唇に左の人差し指押し当てる。その指を唇から顎へと移動させ、髭を撫でた。首に顔を寄せると近藤の匂いが濃くなる。好きな匂いにうっとりする妙は近藤の首に唇を押し当てた。唇を動かして近藤の匂いを食べる。何度か口に含んでいるともっと欲しくなり、唇を窄めて吸いついた。
「んっ……、お妙さん、跡つけたらダメですよ。俺、これから仕事ですから」
これからもっと近藤の匂いを堪能しようと目論んでいた妙は水を差されたと面白くなさそうに頬を膨らませた。
もう、どうしてそういうこと言っちゃうのかしら。
「わかりました」
と、舌をべろっと出して真選組制服のスカーフ際に差し込み、舐め上げた。顎に行くとそのまま頬へと舐め上げる。
あ、近藤さん、汗掻いてる。
「はぁっ、こら、べろーんってしちゃダメだって。後でちゃんと顔洗わなきゃいけないじゃん」
「私もこの後シャワー浴びますから、一緒に浴びて行ったらいいじゃないですか」
「いや、そんな時間ないんで。……て、この後って?」
わかっていないらしい近藤に耳打ちする。
「エッチなことした後♡」
甘えた声で言うと近藤の顔が赤くなった。
「え、そ……そんなの、こんな所でダメですよ……」
恥ずかしそうに視線を逸らす近藤の胸に手を当てた。ベストを開いて白いシャツの上から鍛えられている胸を手の平で撫でる。
「でも、まだ新ちゃん出かけてないし……」
近藤の体がびくりと揺れて硬直した。妙は、胸の小さな突起を探り当てると指の腹で撫ではじめた。
「ちょっ、だったら尚更ダメじゃないですかッ」
我に返った近藤は妙の手を掴む。
「でも、お仕事、行かれるんでしょう?午後からは遠出されるんでしょう?」
「あ……まァ、そうなんですけど……」
「じゃあ、折角、私もこんな格好してるんですから、ね?近藤さん、言ってたじゃないですか。普段の着物姿もいいけど、元気ハツラツなショートパンツ姿もいいですねって」
妙は左の太腿を仰向けになっている近藤の左の足に摺りつけながら自分の足を近藤に絡ませた。
「しかし……」
んもう、頭固いんだから。
近藤に掴まれていた手の力がいつの間にか緩まっており、妙は近藤の手から逃れて近藤の腰に跨った。頭をぶつけないように上半を起こし、近藤のシャツのボタンをはずして素肌に頬擦りする。男の、近藤の、匂いに酔いしれる。思えばこんなに体の匂いを発する体質であったろうかと思ったが、よく考えれば押入れの中に入っていた。狭い空間で密着していればその分、匂いも強く感じるはずだ。納得した妙だったが、我に返る。急に逃げ出したくなった。確かに密接度が増す押し入れ内であるのだが、近藤の体臭を堪能できるのだが、それは同時に自分に返ってくることを意味しているからだ。
どうしよう、筋トレしたばっかりなのに。
急に大人しくなった妙に近藤は訊ねた。
「お妙さん?どうかしました?やっぱりやめときます?」
「え、あ……」
はいと頷きたくないのに、頷きたい。戸惑う妙を不思議に思いながらも近藤は妙を引き寄せ抱きしめた。腰に回る腕が力強いのにとても優しい。心地のいい束縛に妙の胸が熱くなる。逞しい腕の中は、近藤の匂いで充満している。離れたくない。このままずっと一緒にいたい。
「や……やめたくないんですけど……その……匂いが……」
打ち明けてはみたが、恥ずかしさが増しただけだった。
「匂い?」
耳元で呟かれ、どきりとする。近藤は自分の髪に鼻を寄せて匂いを嗅いでおり、ぞくりとした。首筋がそわそわとしている。不意に近藤の指先がその首筋に触れた。
「っ……」
触れた指先はうなじへ滑る。
「ああ、確かに籠ってますね。お妙さん、筋トレしてたから匂いもいつもより濃いし」
と、もう一度匂いを嗅ぐ。頭のてっぺんまでぞくぞくとしたものが駆け、妙は肩を揺らした。
「そんなこと、言わないでください……」
呼吸を乱す妙に近藤は微笑む。
「お妙さん、かわいい……」
と、目を伏せた近藤が、首を傾げて唇を寄せた。胸の奥が掴まれ、それに引き寄せられる。妙は目を閉じて近藤へと唇を近づけた。温かく、柔らかい。重ねるだけの口づけを幾度か交わすと、そうするのが当然かのように唇を開いて重ねた。合わさった口内で舌を愛撫しあう。次第に唾液が混ざり合い、それを啜られて妙は声を上げてしまう。くぐもった声は触れた舌によって近藤へ伝わった。いつの間にか腰から背中へと移動していた右腕に抱きすくめられ、逃げ場がなくなる。妙の舌は甘く痺れ、口端からは涎をあふれさせる。唇を離した近藤は妙の口端の唾液を啄むように舐めとり、瞳を潤ませる妙に微笑んだ。
「キスだけでそんな顔するくらい感じたんですか?」
指摘され、恥ずかしくなって頬を熱くしながら反撃する。
「近藤さんだって……」
と、妙は下腹部に当たっている近藤を気にする。制服の上からそっと触れた。
「キスだけなのにこんなにしてる。ここ、大きくしたままお仕事行っちゃったら他のお巡りさんに逮捕されちゃいますよ」
妙が小首を傾げて言うと、近藤の目が細くなった。
「君みたいなかわいい警察官になら、僕、喜んで逮捕されちゃうんだけどなァ」
と、照れながら声も顔も緩める。先ほどまで渋っていた固い頭はもはやふにゃふにゃらしい。妙は、思わず笑みをこぼす。
「もォ、悪いお巡りさん♡それじゃあ、調書作成したいから署までご同行くださいね♡」
妙の腰に触れていた近藤の両手がピンク色のTシャツに潜り込んだ。弧を描く背を撫でて下着のホックをはずすと、脇を通って前へ移動した。前かがみになっている妙の柔らかい膨らみを近藤の太い指が支えて持ち上げる。指先に力が入ると妙の背が揺れた。
「調書なら俺が取りますよ。どこが感じるか本物のお巡りさんに教えてください、いけない婦警さん」
低い声で囁かれ、下着の締めつけから解放された肌があわ立つ。
「やっ」
きゅっと掴まれた胸を揺らされ、肩がびくりとする。厚い手に優しく捏ねられ、腰まで揺れ出す。
「胸、揉まれるのがいいんですか?どんなふうにされると感じますか?こうですか?」
と、指を揃えて椀型にした手で双丘を揺らす。
「んっ」
「それとも、こう?」
膨らみに添うように指を広げて互い違いに揺らす。
「あんっ……」
「あん、じゃわかりませんよ。どういうふうにされると感じますか?こう?」
「お巡りさんの、いじわる……んぁっ」
硬くなりつつある胸の先を両方の人差し指の腹で膨らみに押し込まれる。指が外されると押し返ったそれは、さらなる刺激を欲しそうに立ちあがった。
「はぁっ……」
切なげな溜息と共に体をびくりと揺らす。肩で呼吸し、上下する胸の先が疼いていることを意識する。
もっと触って、近藤さん……。
近藤は妙の期待通りに胸の突起に触れる。指先で弄ばれ、快感が胸先から広がった。もっと刺激が欲しくなり、妙の腰は揺れる。その度にそこに触れていた近藤の膨らみが硬さを増す。
「んっ、さっきよりも、近藤さんの、大きくなってる……」
息を乱しながら指摘された近藤は苦笑いした。
「しょうがないですよ。お妙さんがすごくやらしいから、興奮してるんです」
と、近藤は妙の背中を抱き寄せ、胸の先を舌で愛撫しはじめた。
「んあっ」
思わず出た大きな声に妙は唇を結んだ。しかし、優しかった愛撫がねっとり絡むような愛撫になるとどうしても声があがってしまう。
「ダメですよ、お妙さん。……んっ、そんな大きな声出しちゃ、こんな所でいやらしいことしてるの……はぁむ……、新八くんにバレちゃいますよ……じゅっ」
掴まれた乳房は寄せられ、愛撫を重ねる舌や指によって追い立てられる。口に含んだ唾液と共に硬く痺れた乳首を啜られ、妙の腰はびくびくと揺れた。中は、すでにきゅうきゅうと締まっている。衣服越しに近藤が当てられているだけなのに、早くそれをその奥で搾り上げたい。
「だって、近藤さんが、私の乳首、やらしく、吸うから、はぁ、やぁんっ」
妙は、近藤の首元に顔を寄せた。切なさがこみ上げ、眉を寄せる。腰は、近藤のそれを扱くようにいやらしく動く。
「胸、いっぱい触ったら、ダメです、んっ」
ちょっと体を刺激されただけなのに、すぐに理性が仕事をしなくなる。
普段ならば近藤の馬鹿げた行動で神経を逆なでされようとも、僅かながら残った理性が働いている。が、やはり皮下に覆われた神経を直接的に刺激されると呆気ない。快感を伴う刺激は女に生まれた自分の本能を剥き出しにする。近藤の右の人差し指が妙の唇に当てられた。
「お妙さん、しーっ」
と、薄く開いていた妙の口端に太い親指が触れる。妙は目を細めた。自分の奥を熱くし、唇に触れる近藤の親指を舌先でちろちろと往復する。
「ん……、だったら……、お巡りさん、はやく私を逮捕して……」
服の上から近藤を擦っていた腰が掴まれ、妙の腰が驚いた。
「ぁんっ」
自分のそこを擦りつけていたよりも確かに近藤を感じる。動きを封じられたのに、心地がいい。
「ホント、いけないお妙さんだよね。新八くんがいるのに、のっかってきちゃうんだもんなァ……」
と、苦言を呈する割には近藤の表情は嬉しそうに綻んでいる。緩んだ近藤であっても自分の腰を捕らえているその手は決して緩まず、そこを捕らえる近藤はますます猛っている。しかし、近藤と自分の着衣越しに触れているのがもどかしい。切なくなって妙の双眼が熱くなる。
「近藤さん……」
もっと、ちゃんと私を捕まえて……。
欲しがる妙に応えるように近藤の右の人差し指と中指が妙の濡れた唇に触れた。ふたりの合わさった唾液を潤滑油に桜色の上を滑る。僅かに捲れて血色のよい歯茎が見えたが、中から伸びてきた生き物のような赤い粘膜が男の指を二本、絡めとる。妙の舌は小さな水音を鳴らしながらも太い指を潤す。内側の熱の高まりに思わず腰を揺らす妙だったが、近藤の左腕に体を捕らえられたまま身動きが取れずに息を乱す。
「んぅ、こんどぉ……さん……ふぅ、じゅぅっ」
「お妙さん、もういいですよ……」
溢れそうになった唾液を啜る妙の口から二本の指を引き抜いた。
「こんなに濡らしてくれたら充分です」
と、近藤は妙のショートパンツと下着の隙間にその右の指を潜らせた。すでに妙の蜜で潤っていた秘裂に指を差し込んで引く。指に蜜を塗りつけながら隠れている小さな突起を刺激すると甘い声が上がる。
「あっ、やっ、んんっ」
眉根の寄った妙にしがみつかれ、近藤は笑みをこぼした。
「いきなり入れたらダメですからね」
穏やかな声といやらしい指の動きに妙の心が乱される。入れるという言葉に最奥が疼き、身を捩る。全身の熱も上がり、はやくこの熱を散らしたいと瞳が潤む。ぬるぬると滑りの良くなった近藤の指の先が、ようやくそこへあてがわれた。
「お妙さん♡」
弾んだ声で呼ばれて唇に軽く口づけられた。かわいらしい触れ方に妙は瞬きをする。
「指でいったらダメですよ。俺のでいくんですからね」
と、唇に舌を差し込む近藤の声は明らかにこちらを挑発していた。意地が悪いのに口づけは甘い。優しく舌を嬲られながら中に指を差し込まれ、妙の体がのけ反った。優しく指で掻かれ、卑猥な音を口内いっぱいに立てられ、すぐに追い詰められる。合わさった唾液を啜られ、妙の限界が来る。
「んふ、はぁ……むぅ……んんっ……!」
だが、妙が達する直前で二本の指は引き抜かれた。舌を唇で扱かれて妙は腰をくねらせる。
「んー、んっ……んーっ……!」
切なくて涙が滲む。妙の抗議に近藤は彼女の舌を解放し、乱れる呼吸を整えようとする妙にくすりと笑った。
「ダメですよ。ひとりだけいくなんてズルいですよ、お妙さん。俺も一緒にいかせてください」
自分のものを取り出した近藤は、妙のショートパンツと下着を脱がせながら彼女の耳元で訊ねた。
「持ってます?」
何を持っているかは敢えて言わずともわかっている。こちらが持っていないと告げれば、一緒に達したいと言った近藤であってもひとり我慢し、自分だけを悦ばせて仕舞にすることは知っている。
「ズボンのポケットに入れておきました……」
押入れへ潜り込み、近藤に乗りかかったその時、妙は予め避妊具を潜り込ませていた。妙の常套手段である。ポケットの中を探った近藤は、取り出した避妊具を手早く着けると妙のそこへ密着させた。
「すごいですね、ヌルヌルだ……」
ふうっと一息ついた近藤は口を噤んで腰を揺らした。妙の反応を窺いながら焦らす。耳に口づけ、次に首に口づける。不意に笑みをこぼした。
「汗、掻いてますね」
運動しているも同然なのだ。無理もない。こんな狭い所で大人ふたりが密着していれば汗を掻くのは必至である。
「ん……お妙さんの汗、美味いです」
妙の肌に浮かんで流れていた汗を舐めとり、満足そうに笑う。
「もっと、汗掻いてもいいですよ。上の口も、下の口も、肌も、もっとグショグショに濡らして……」
と、近藤は妙の中に進入する。
「全部、俺に飲ませてください」
根元まで近藤が入ると、ぐちゅんと粘着質な水音が鳴った。妙はその存在感に声なく達する。妙が体を固くしていると近藤は妙の髪を撫でた。
「いっちゃったんですか……?」
「……ん、はい……ごめんなさい、勝手に……」
「謝る必要ないですよ。俺はただ、お妙さんのいい顔を見たいだけです」
近藤は妙の頬に手を当てて顔を上げさせた。眉を下げて潤ませた瞳がとろりとしている。吐息がこちらにかかっている。徐々に落ち着いていく息遣いだが、平常のものではない。近藤は、彼女の頬に当てていた手を移動させ、前髪を梳くと指先が触れた額に微かな水分を感じた。前髪を上げると汗が滲んでいた。近藤は、額に滲んでいた妙の汗を指で拭い、その指を妙の目の前で見せつけるように舐めとった。真っ直ぐ近藤に見つめられた妙は、顔を熱くし、恥ずかしくなって視線を逸らした。
「美味いですよ、んっ、お妙さんの汗、美味いです……」
再び腰を動かしだした近藤は切なげに息をついた。
「ダメですね」
苦笑いし、妙に軽く口づけて唇を離す。
「お妙さん、いつもよりいいでしょう?中、いつもよりすごくて、すぐにでもいっちまいそうです……」
困ったように笑う近藤に愛おしさが込みあがり、今度は妙のほうが近藤に口づけた。
「いいですよ、もういっても……」
「いやいや、まだ入れたばっかだし。それに、お妙さん、まだ満足してないでしょう。いつも、何回もいってるんだから……」
と、奥にまで届いている分身に力を入れる。
「んっ……、そ、そしたらもう一回したら、いっ……いいじゃない、ですか、って奥、小刻みに、あっ、したら、やぁぁんっ……!」
また呆気なく達してしまった。先ほどから息苦しく、ずっと達する前の状態でいるように錯覚する。休みなく快感を与えられ、まだ残っているなけなしの意識まで手放してしまいたくなる。
「あ、お妙さんっ、そんなふうに動いたら、っぐぁ、んんっ……」
妙の腰を掴んで己の意識も掴もうとする近藤は、なんとか堪えきると肩で呼吸する。快感の渦に漂う妙は、自分の中で波打つ近藤に酔いしれる。
あ、近藤さんの、びくびくしてる……。
しかし、まだ硬さを保つ近藤に妙の腰が震える。
「あ♡」
甘い声で鳴き、頭の片隅にいるもうひとりの自分が恥ずかしがる。しかし、甘く鳴こうとする唇は閉じることを忘れてしまっている。
「お妙さん、……んぅ……」
息を乱す切なげな声に呼ばれて深く口づけられる。同時に体をゆっくりと突き上げられ始めると、もうひとりの自分も近藤の首に手を回して一緒によがり始めた。やがて自分の中で近藤が迸るのを察すると体は絶頂を迎え、頭の先から足のつま先まで幸福感に満たされた。普段から満たされている心は、その幸福が溢れ出ている。涙をこぼしていた妙の目元に愛しい人の唇が触れ、妙は顔を綻ばせた。
近藤さん、好き。大好き。言いたいのに言えない。でも、あなたのことだから、わかっているんでしょう。私が、こんなにあなたに夢中になっているんだもの。なのに、意地悪なんだから。というか、ズルいのは近藤さんのほうじゃない。ズルズルと誘惑されて、ズルズルと答えを先延ばしにしてケジメつけようとしないんだから。これじゃあ、ズルズル詐欺じゃない。
ズルズル詐欺
Text by mimiko.
2015/09/27