ホモセクシャルを認めたくない感じで。

俺はホモじゃねぇ

 事務所の社長に誘われて、びびった。
 カミングアウトはしてないけど、ホモだと噂されている社長。
 このままじゃ、マジで真正ホモになっちまう―
 冗談じゃないと、事務所を辞めた。
 つうか、あんなおっさんより……。
 て!ああ……っ!
***
 生まれつきのこの顔のせいで、寄って来る女は数知れず。
 おまけに芸能事務所に入ってたから、顔が知られてる分、余計に寄って来る。
 野郎は、俺のこの顔を羨ましがったり、疎んだり。
 やれ、合コン来いだの、やれ、他人の女寝取ってんじゃねぇだの……。
 他人の女なんて寝取った覚えないっての。
 しかも、いちゃもんつけてきた奴の女、巨乳だったし、写真見せられてもそんな女、知らねぇし。
 つうか、そもそも俺は巨乳が嫌いなんだって。
 あんなデカイ乳のどこがいいんだ。
 理解できねぇ……。
 ……て、やめやめ。折角のCHUB DAYが台無しだ。
 そういや、もうすぐアルバム出るんだっけ。
 俺は気を紛らわせるように、プレイヤーのボリュームを上げ、電車内を見る。
 ……あの女、今日はいねぇだろうな……。
 最近、やたら視線を感じると思ったら、女にストーキングされていた。
 追っかけとかよくあるけど、そんなのと比べられないくらいに、何度も見かける。
 あのサダコみたいな長い黒髪で、顔隠して俺のことをじっと見てんだよな。
 キモイし、ウザイし、堪んねぇったら……。
 ……あ。
 再び車両内を見回して、目に留まる。
 30代くらいの小太りのサラリーマン。
 夏でもないのに額に汗を掻き、ハンカチで汗を拭っている。
 ……ネクタイ、緩めればいいのに……。
「……て!」
 俺は頭を掻き、そのおとこから視線を逸らす。
 俺はホモじゃねぇ……!
 自分にないものに憧れてるだけだって……!
 そして、ふと視線を感じ、その方を向く。
 するとそこにはストーカー女。こちらを見て、にやりと不気味に笑っている。
 ゲッ!いる!あの女、いる……!
 しかも、なにその笑い……!
 口元しか見えてねぇから更にその不気味さ際立ってるし……!
 こ、こえぇ……!
 つうか、見てんじゃねぇよ!
 俺が睨みを利かせたところで、女は変わらず不気味に笑っているまま。
 まさか、あの女も俺のことホモだと思ってんじゃないだろうな……!?
 俺はホモじゃねぇ……!!
俺はホモじゃねぇ
Text by mimiko.
2007/06/29

だめだ、北条君はどうしてもギャグになってしまう。。 至って真剣だったのに何故??ホモなのにホモ完全否定するから?(笑) 『CHUB DAY』アーティスト名だと認識してますが…きっとそうですよね? 想像するにロックバンドかなあと思ってます。

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