浅く抜き差しされていた2本の指がゆっくり根元まで入れられ、ぞくりとした快感に体を戦慄かせる。まるで勲が入ってきたような感覚に甘い声が止まらない。左の親指は変わりなく優しく刺激されており、自分の中が更に熱くなっている。
 そんなところで気持ちよくなっちゃダメなのに、勲さんの舌も指も優しくて気持ちよくなってきちゃう……。
「はぁ、んっ、お尻で感じるなんて、そんなはしたないこと」
「大丈夫ですよ。俺、妙のはしたない姿、大好きですから!どんどん感じて下さい!」
 明るい声で言われて、妙は目を丸くした。
「それに男ってのは自分の女のすべてを支配したいって思ってるもんなんですよ。だから妙のまだ誰も知らないところも膜があるなら俺が破りたいと常々思ってます」
と、親指の刺激をやめ、窪みの中を舌先で行こうとする。
「そんなっ、んっ、やっ、それだけは嫌ですっ」
 はっきりと嫌がられ、また親指で刺激し出す。太腿の脇から妙を窺うように上を見上げた。
「え、なんで」
「だって、あんな大きいの入れたらお尻割けちゃう……」
 尻つぼみになる声で言われて勲は笑った。
「はっはっはっ、大丈夫ですよ。無理しないように、少しずつ慣らすから。その点は安心して下さい。あ、でもここは大きければ大きいほど良さそうだけど、なんで?」
と、わざとらしく訊ねる。声を引き出そうと、妙の中を探っていた中指で内壁を臍に向かって刺激する。
「あっんっ、そんなことない、です」
 勲さんじゃなきゃ、こんなこと絶対許さないんだから。勲さんだから、どんなことされても優しくて、気持ちよくて、嬉しくて……。
「勲さんのだから……んっ、勲さんじゃないと絶対いや……」
 切なげな声で言われ、胸を熱くした勲は立ち上がり、背後から妙のそこに透明の液を滴らせた自身をあてがった。
 ははは、俺もいつになく先走り過ぎてるな……。
「え、ちょっと、待って」
「すまんがもう待てん。妙の中に早くぶちまけたくて、俺もいっぱい先走ってる……」
と、己の先で入口を解す。
「ま、あっ、まだっ、はぁぁ……」
 ゆっくりと押し進められ、体を強張らせる。根元まで入れられると、深呼吸し、指とは比べ物にならないものの大きさに慣らすように意識する。勲は中の熱さと肉の蠢きを感じて体中の血液が、そこへ流れて行くような感覚にひと息つく。妙の背中に口づけを落とし、名前を繰り返し呼ぶ。自分を欲されていることは嬉しかったが、思惑どおりにならなかったことに妙は不満を零した。
「……まだ勲さんにアイス塗ってないのに……」
 ぼそりと言われて顔を上げた。
「あ、そっか」
「そっかじゃないですよ」
「はは、すまん。じゃあ、また次の機会に、ね?」
「はい……」
***
 遠くに誰かいるような物音を聞いた勲は、後ろから妙を突き上げて口を開いた。
「あ、ひょっとして新八くん帰ってきましたかね」
 急に落ち着いたいつもの声音になり、妙はどきりとして勲を締めつける。
「くっ、ちょっとっ」
「え?」
 振り返った妙に勲は苦笑する。
「急に締めないで」
 そんなこと言われても、勲さんのが気持ちいいところにずっと当たってて、もうすぐにでも……。
 自分の中がゆっくりと収縮するのがわかり、動きを止めたまま硬さを増す勲を意識する。
「んっ、はぁ」
 いや、また硬くなってる。
 意識すればするほど奥が疼き、腰が揺れ、妙は自ら腰を動かし始める。
 もう、だめ、気持ちよすぎて、勲さんのことしか考えられない……。
 じわりと迫って来る快感の波に呼吸を合わせる。
 家の中を探して回っていた新八は、風呂場の前まで来てのん気に言った。
「近藤さーん?姉上ー?おかしいな、靴も草履も玄関にあったのにふたりともどこ行っちゃったんだろ。せっかくハーゲンダッツ買ってきたのに……」
 脱衣所の戸が開きそうになり、勲は咄嗟に妙の腰を掴んで戸を妙ごと押さえた。内壁を強く擦られ、最奥を突き上げられるように戸へ押しつけられた妙は、その強烈な快感に目をちかちかとさせて達し、勲は呼吸を止めてなんとか堪え切る。
 マズイ、戸に変な力が入って無駄に音を鳴らしてしまった。新八くんに気づかれたかな。それにしても、っく、キツイ。
 戸の向こうの新八は、妙が短く上げた嬌声を聞き逃さず、瞼を半分下ろして戸を見つめた。
 まだ明るいうちから己らナニやっとるんじゃァァァ!とでも突っ込みたいけど、ま、いっか。
「……」
 新八は戸に向かって勝手にやってれば、と無音で呟き、ひとり言を言う。
「はァァ、ふたりともいないかァ。売り切れ続出のハチミツバナナ味を溶かしてダメにするのも勿体ないから万事屋行くかな」
 えっ、ハチミツバナナ味……?新ちゃんちょっと待って……。
 新八をやり過ごすと、勲は腰を引き、ゆっくりと押し進めた。
 達したばかりだと言うのにあられもない声が上がり、妙は口の端から涎を零す。
「やっ、あぁ、まだ待って……それにハチミツバナナ味……」
「ダメです、熱く吸いついてくるここから抜きたくないです、ずっと妙の中に、っく、いたい、ハチミツバナナは次の時に買って、んっ、くるから……っ」
 切なげな勲の声に身震いし、胸をきゅっと締めつける。
 勲さん、あんなに私の中を掻きまわしたのに、まだ大きいまま……。
 全身から汗が噴き出るのがわかり、腰の揺れが止まらない。頭ではもう達したのだから体も次第に快感の波が引いて行くだろうと思うのに、一向に引いて行く気配がしない。
「はぁあ……、体が、おかしいです、んっ、鎮めて、おねがい、勲さん……」
 妙の切なげな表情と、止まることのない妙の中の蠢きに勲は苦笑した。
「ははは、俺もおかしくなりそうです」
 息を詰まらせ、唾液を飲み込む。ゆっくりとひと息つき、妙を気遣いながら床へと寝かせた。
「痛くないですか?大丈夫?」
「はい」
 それよりも、熱くて、うずいて、苦しい……。
「大丈夫です、お願いします……」
「あの、ちょっと激しくしてもいい?」
 え、これ以上……?
 勲は溶けたアイスクリームに指に浸したそれを妙の唇に垂らす。妙は勲の指を舐め出し、自分もその指のアイスクリームを舌で掬い、妙の舌へと押しつけた。唇を放して再び指にアイスクリームを浸して胸元へ塗りつける。
「ずっと妙から甘い匂いがして美味そうで美味そうで」
 新たに浸らせた指を再び妙の口元へやる。
「優しくしたいのに、メチャクチャにしたくて堪らなくて……」
と、妙の口の中に指を差し込み、腰を揺らす。
「もういっそうのことずっとこうやって欲にまみれたまま妙と一緒に堕ちちまいたくて……」
 自身の硬さを意識して身震いする。熱く包まれ、溶かされるように感じながらも己で妙の最奥を突き上げる。声にならない妙の嬌声が上がると、口の片端を上げて笑った。
「妙、コレされるの好きだよね。俺もコレするの好きなんですよ。突くと中がひくついてすごく気持ちいいんです」
 新たに指にアイスクリームを絡めて妙の口元へ運ぶ、唇が開くと指を挿入し、舌を撫でる。中が締まり、にやりと笑う。
「ああ、美味いなァ妙。妙も美味いですよね?」
 執拗に、けれども不快を伴わない舌を撫でる指の動きに翻弄され、気持ちよさそうに涎を溢れさせる。
「上の口に大好きなハーゲンダッツに浸った指突っ込まれて、下の口に大好きな俺を突っ込まれて、堪んないでしょう?」
と、空いていた手を広げて両胸の尖った先端を刺激する。妙のくぐもった喘ぎ声が出ると口の指を抜き、再びアイスクリームを掬って自分の舌にそれを乗せ、妙の口内へと流し込む。妙は、小さな子供がするように、こくんと喉を鳴らして飲み込んだ。
「美味いですか?」
「おいし……です……」
 とろりとした眼差しで見つめられ、開いた唇から物欲しそうに舌先が覗く。勲は妙の顔を眺めながら深く腰を沈めたまま繋がっている濡れた襞を両方の親指でなぞった。蜜で濡らした指の腹をかち合わせて小さな突起を刺激する。呼吸を詰まらせながらも悦ぶ妙を見下ろす。
「指ですか?それとも舌?」
 にやりと笑って訊ねられ、妙は朦朧としながらもねだる。
「どれも……勲さんのなら、ぜんぶおいしくて、欲し、です……」
「参ったなァ」
 苦笑し、右手でそっと妙の頬を撫でる。手の平の温もりに、胸を温かくし、妙は涙を零した。
「やっ、んんっ……!」
 体を弓なりに反らせ、下腹部を震わせる。息を切らせながら訴える。
「や、ずっと奥で、硬いまま、なのに急に……」
 ぽつりぽつりと涙を流す。
「こんなに体で感じてるのに、心まで、はぁ、こんなっ」
 下唇を噛み、切なげに見上げられ、勲は妙の中の分身を更に大きくする。
「いや、また、大きくなっ、あっ、や、また」
 腰を揺らされ、勲は歯を食いしばる。
「もう、苦しいの、お願い、動いて……このままだと私、またイってしまいます……」
「んっ、はい……」
 懇願され、切なくなり、勲は腰を動かそうとして、はたと動きを止めた。いつの間にか妙の両足が腰に巻きついており、身動きが取れない。
「けど……あの妙?悪いけど、腰、離してくれる?」
「え?」
「妙の足、俺の腰がっちり掴んでるんだけど」
「えっ」
 無意識に自分の腰を固定されていたことを苦笑しつつも嬉しくなり、勲は笑った。
「ははは、だから入れたまま何回もイってたんだ。やらしいなァ妙」
 言われて妙は頬を真っ赤にし、両手で顔を覆う。
「だって、気持ちよくて、勲さんが入ってるだけで、あっ、また奥っ」
 何度意識したかわからない自分の中の勲のものを締めつけ、腰を震わせる。
「奥、もうダメ?」
「ダメです」
「そっかァ、ダメかァ」
 腰を引いて浅く抜き差しし、内壁を擦る。
「じゃあこっちする?」
と、妙を窺う。
「そ、そっちもダメ……」
と、甘い溜め息をつく。
「じゃあ、どっちがいい?」
 じっと見つめられて妙は素直に呟いた。
「……どっちも……」
 勲は思わず笑みを零し、妙の額に口づけた。
「うちの奥さんはおねだり上手で困ったなァ」
***
 快感の余韻に浸ったまま横向きで寝転がっている妙からゆっくりと引き抜き、勲はひと息ついた。
「やっちゃいましたね……」
「はい……」
と、妙は体はそのままに、視線だけを勲に向ける。
「すごかったです……」
「あははは、そですか?」
「はい」
 だって……
―ああ、美味いなァ妙。妙も美味いですよね?上の口で大好きなハーゲンダッツに浸った指突っ込まれて、下の口で大好きな俺を突っ込まれて、堪んないでしょう?―
 ……だなんて、あんなに意地の悪いこと……。すごく興奮したってことなんでしょう?それにずっと繋がったまま三回も……。
―だめ、もうゆるして―いやだ、まだ足りねェ、ほら、俺のをしっかり咥え込んだまま後ろ触られてえれェ熱くなってるよ、このままじゃあ指なんて簡単に入っちまいそうだ―
 朦朧としてたけど、ちゃんと覚えてる。いつもおっぴろげにいやらしいこと言う人だけど、最中にあんなに何回も露骨に言われたのって初めてだもの。
「……え?」
 視線を感じた勲に小首を傾げられ、妙は左右に首を振り、微笑んだ。のそりと体を起こした妙の太腿に視線を落とし、勲は、ぽかんと口を開けた。
 首や胸には、まだバニラアイスクリームが薄ら残っており、妙のそこからは自分が放ったものが流れ出ていた。顔を真っ赤にし、自身が反り立つのを意識する。
「勲さん?あの、それ……」
 自分の下半身を指差す妙を見て喉を鳴らした。
「すみません、溶けたアイスがやばい感じにソレに似てて……」
と、妙のそこを指差す。視線を落とした妙は、勲の放った物が零れていたことに気づき、顔を赤くした。  勲は妙の両胸に手を伸ばし、親指で両胸の先を転がす。
「ここに付いてるのも俺がぶっかけたみたいで、すごくやらしいです……」
「あっ、ちょっと勲さん」
「はい……」
 切なげな声で返事され、ぎくりとする。
「まさか、もう一回とか」
「はい、言います」
「そんな、待って下さい」
 不思議そうに小首を傾げる勲に言う。
「んっ、嬉しいですけど、肌がベタベタで気持ち悪くて……。それに、ちょっと節々が痛いです。勲さん、激しいんだもの……」
「あ、そ、そですよね、すみません」
 勲は慌てて胸を弄っていた手を離し、妙を抱き締めた。
「はァ、けど妙のソコから俺のがひとりでに出てるの見れて嬉しいです」
 嬉しそうに微笑まれ、妙は照れを誤魔化そうと苦し紛れに呟いた。
「バカ……」
「えへへ、すみません」
大好物
Text by mimiko.
2010/11/02

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