「再会は水割りと」「結ばれない罠」の続きです。近妙です。えろです。
お妙さんが男性向けえろ並みのよがり声出してますのでご注意を。コンドームとか普通にお妙さん言ってたりします。

離れられない罠

 寝支度を整え、床に就いた妙は自室の暗い天井を見つめた。
 また来ます――のまたとは実際にいつのことになるのだろう。明日だろうか。数日後だろうか。それ以上だろうか。またある日を境に所在が不明となり音信も断たれてしまうのだろうか。また会えなくなるのは嫌だ。切なくなって胸が苦しくなる。
 昼間は巻き込んでくれるなと思ったが、本当はもっと自分を巻き込んで欲しいと前々から思っていた。でも、それをしない近藤だから余計に魅かれているのかもしれない。いつでもすぐにいなくなってしまう近藤の傍にずっといられていつでも触れ合えたら、それはどんなに幸せなことだろう。
「会いたい……近藤さん……」
「はい、あなたの近藤が来ましたよ……」
 前触れなく声がして妙は寝返りを打った。見ると自分の入る布団の脇に寝転がっているではないか。いつの間に潜り込んでいたのだこのゴキブリゴリラストーカーは。本当に元の職業は警察官なのだろうか。窃盗犯の間違いではなかろうか。
 侵入者をまじまじと見つめる妙の目尻に指が伸びてきた。涙の跡を近藤の指が触れる。泣いていたのを知られてしまい、妙は近藤から視線を逸らす。いや、きっとすでに知っていた。自分が涙に明け暮れていたことなど近藤にはお見通しだろう。
 普段は結わえている妙のおろされた髪が大きな手に覆われた。額には唇が寄り、言葉を発せられる。
「お妙さん、許してください」
 とても近い距離感に妙の気が緩む。
「何についての謝罪ですか」
「いろいろ……全部?」
 言葉を溜めた合間に額に唇がつけられて妙の目が細くなる。
「訊かれても困るんですが」
「すみません。何をどう謝っても全然足りないよね」
 苦笑しながら言う近藤の唇は妙の額に押しつけられる。気のせいではないと感じた妙は指摘する。
「あの、いちいちおでこにキスするのやめてもらえませんか」
「あ、すみません。すっぴんのお妙さんの肌が気持ちよくて」
と、掛け布団ごと妙を抱き締めて額に口づける。
「シャンプーのいい匂いも石鹸のいい匂いもするし」
 瞼に口づけ、鼻の頂にも口づける。
「お妙さんもなんかかわいいし」
「……なんかってなんですか。私はいつでもかわいいでしょうに」
 かわいいと言われて照れた妙は照れを誤魔化そうと口を尖らせた。
「そうですね、いつでも……」
 言葉に詰まった近藤はゆっくりと妙の額に口づけ、唇を離した。
「本当にすみません。いつでも傍にいられなくて。女は愛するより愛されるほうが幸せなのに、これじゃァまるで……」
 切なくなった近藤は妙をきつく抱き締める。
「君を泣かせる奴なんざ許せないのに、それでも俺は君が好きだ」
 薄暗がりに小さな瞳が光った。泣いているように見えたが思い直した。そんなはずはない。この男は何よりも先に女を捨てる。けれど、優しさ故に情までは捨て切れず、腹に仕舞う。そして道すがら、片手さえ空けば拾いにくる。女なぞ片手間なのだ。ずるい男だ。けれど、女として生まれた自分には歩むことの出来ない道を行くこの男に憧れた。決して信念を曲げず、すべてを救って護ろうとする強さに魅かれた。知れば知るほど好きだと思った。自分のすべてを擲(なげう)つことなど安いものだった。きっと二度とこんな男には出会えないとさえ思っていた。それなのに今更、待たせたことについて懺悔されても困る。そんなことをするならば初めて出会った時のように結婚でも申し込みなさいと言いたい。
「じゃあ責任取ってください」
 言うと近藤の目の色が変わった。
「ゆ、行く行くはそうしたいと思ってるけど、ホントはそうしたいのは山々なんです。山々そっちへ行きたいんです」
 しどろもどろだ。呆れる。目が泳ぎまくっている。
「責任取れって言ったんですけど。山に行けなんて言ってませんけど」
「いや、行かせてくださいッ! 俺はお妙さんの断崖絶壁を今すぐ登りたいッ! そこに乳首がある限りッ!」
と、近藤は掛け布団を剥ぎ取って妙の両手を敷布団へ押しつけた。寝間着の胸元に寄せた顔を左右に振る。
「ん、いやっ、はぐらかさないでッ!」
 大人しくなった近藤は胸元に顔を寄せたままだ。
「……あの?」
「前と変わらない感じで懐かしいなって……」
「あら、そうですか。手、離してくださいませんか?」
「あ、はい」
 すんなり両手を解放された妙は近藤の頭を抱いて横へ転がった。横向きになった近藤の頭を抱き直す。
「わっぷ、んちょっ」
 鼻と口を妙の胸の膨らみに押さえられ、息苦しくなる。待ったをかけようと妙の背中をタップする。
「どうしました?」
「柔らかくて気持ちいいけど息できないです、死にます」
「あら、そうですか」
 にこりと笑った妙はぎゅっと近藤を抱いた。
「や、だから……死ぬって……」
「責任取ってくれないなら逝かせます、私の中で」
 言われて近藤は瞬きをひとつした。妙と一線を越えた時、自分に誓ったことがある。どんなに盛り上がろうが婚姻しない限りは避妊すると。片親で子供を育てるのは大変なことだ。子を残したい気持ちはあるが妙ひとりにその責を負わせたくない。たとえ妙にそれを求められてもだ。安寧の世で周囲に祝福され、幸せに暮らす中で自分たちの子に会いたい。それが妙と自分に誓ったことであり、自分の夢である。きっと妙の願いでもある。それを阻む者は容赦しない。妙であろうとも。これはさっさと致してしまったほうがいい。こうして戻ってきた今の自分のことだけしか考えられないようにしてしまったほうがいい。
 呼吸し難いながらもなんとか頭を動かした。鼻先は妙の肌蹴た衿元を掠め、妙の背が震える。左手は妙の右太腿の下敷きになっており、ある意味死んでいる。動ける右手で遠慮なく妙の左胸を掻き上げた。口元に空間ができて息を吸い込む。白い肌から香る石鹸と妙の体臭が鼻腔に広がった。一気に興奮してしまう。傍にいる証である匂いだけで盛り上がる自分の欲に内心苦笑する。
「責任なら後でちゃんと取るんで。まずはイっときましょうか」
 こちらを見下ろす妙ににこりと笑う。
「結婚したら毎晩、生ではめまくりなんで、それまではじれったいやつ愉しんどきましょうよ、ね、お妙さん」
と、寝間着の上から左胸の先を舌で撫でた。布の下で粟立った肌が胸の先を硬くさせ、高い声が上がる。
「やんっ」
 かわいらしい反応に近藤の表情が緩む。
「やんって。じゃァ俺の顔に胸押しつけちゃダメですよ、お妙さん」
 近藤の弾む声が恨めしい。
「最初に私の胸に飛び込んできたのはあなたでしょうッ! 私、押しつけてませんッ! 締めつけてたんですッ! んぁッ、だめ、歯立てちゃ、あぁッ」
 右胸の突起を布の上から歯で挟まれ、もう一方の突起は直に摘まんだ指に転がされる。
「なるほど」
と、寝間着の衿を捲って右の胸の乳輪を舌でなぞる。
「道理で逝きそうになるはずだ。俺の頭をお妙さんが一生懸命締めつけてたんですもんね」
 近藤は自分の膝で妙の膝を開いた。右の手で太腿の内側を撫でてからそこへ触れる。
「ああ、早く俺の頭をすごく熱くなったお妙さんのここで締めつけてもらいてェなァ」
と、濡れた下着に指を軽く押し込む。
「んっ、やっ」
 近藤の着物の後ろ衿を掴む妙の指に力が入った。
「お妙さん、嫌ですか?」
 優しい声に訊ねられ、妙は瞑っていた目を開いた。穏やかな表情で切なげな瞳に見上げられる。つられるように切なくなった妙は瞳を潤ませて首を横に振った。
「近藤さんと繋がらないほうが、いや……。恥ずかしかっただけです。だって、ちょっと触られただけで、私……」
「俺もですよ。ちょっとお妙さんのいい匂い嗅いだだけでドキドキしてましたから」
と、妙の手を自分のそれに触れさせた。今にもはち切れそうだ。
「私のこと、ずっと欲しかったですか……?」
「はい。寝ても覚めてもお妙さんのことばっかり考えてました」
 妙は大きな溜息をついた。
「嘘ばっかり」
と、近藤をきゅっと掴む。
「んッ!! う、嘘じゃないってホントお妙さんのことばっか考えてたよッ」
「本当かしら。気晴らしに女の人買いに行ったりしてません?」
「してないよッするわけないじゃんッ! 俺にはお妙さんって人がいるのにッ!」
「あら、そう?」
と、形を確かめるように優しく撫で上げる。
「じゃあ、私だけなんですね」
 近藤は息をついて目をぱちくりとさせた。
「え? それは一体どういう意味?」
「傷心を癒そうとして火遊びしたんです」
 にこりと微笑むと近藤は目を白黒させた。無論、嘘である。こちらばかり好きなのが悔しく、放っておかれた仕返しに近藤をからかってやる算段だ。
「う、嘘だよね。んなわけないもんね。お妙さんのガードが鉄壁なの俺知ってるもん。そんなどこの馬の骨ともわからねェような男なんざお妙さんの懐に入れるわけないもんね」
 涙目で自分に言い聞かせているような近藤の口振りに妙は溜息をつく。
「心外だわ」
と、袴の上から近藤を掴むように擦り始める。
「あッ、ちょッ」
「私のことなんだと思ってるんです?売り上げのためにお客さんとデートするキャバ嬢だと思ってらっしゃるんですか」
「え、そうだよね。ってか、お妙さんそんな速く擦っちゃダメだよッ」
「こう見えても男の人とのおつき合いは誠実なんですよ、私。だから、お店のお客さんでデートしたのって近藤さんが初めてですし」
「えッ?!
 驚くと当時に妙の手が離れた。
「ホントですか、お妙さん!!
と、こちらを向いて横になっていた妙を押し倒し、彼女にのしかかる。
「ええ。九ちゃんとなら何度もふたりきりで出かけたことはありますけど、体まで男の人と約束をして出かけたのは近藤さんが初めてです。嵐と隕石のせいでめちゃくちゃになりましたけど」
 近藤は妙の左手を取り、その薬指に口づけた。
「俺は、あなたの初めてを独り占めできて幸せ者だ」
と、目を閉じた。茶化すわけでもなく、どうやら真面目モードらしい。
「あの、私、浮気しましたけど?」
 近藤は妙に額を近づけた。目を閉じて近藤は言う。
「だったらお妙さんは俺に体を触らせませんよ。自分で誠実だって言ってるし、尚更です」
 嘘をあっさり見破られていた妙は近藤を見上げた。瞼を上げた近藤は真っ直ぐに妙を見つめる。
「かわいいです」
 こちらをやきもきさせたくてついた嘘がかわいらしい。
「な……」
 満面の笑みで言うと絶句する。間もなく赤面するだろう。そうして悔しがるのだ。案の定、妙は眉間に皺を寄せて頬っぺたを小さく膨らませた。ぷくりと膨らんだ頬は近藤の唇に押しつぶされてしぼむ。
「お妙さん、いっぱいキスしましょう」
 優しい声音に妙は応えた。甘く優しい口づけはいつしか激しく絡みつく。妙は、とろりとした眼差しで着物を脱ぐ近藤を見上げた。次に寝間着を脱ぐことになるのは自分だ。久しぶりに近藤に見られることを意識して緊張する。見られないようにすべて脱がずにいたい気もするが、彼の肌に直接触れたいと思い直す。
 布団に寝かされたまま寝間着を脱がされ、口づけは唇から顎、首、鎖骨へと下がる。寄せられた胸の谷間に行くとその頂は素通りで横腹へと行った。左の横腹から脇へと上がると二の腕、肘へと口づけが落とされる。
「あの、やっぱり恥ずかしいです……」
 潤んだ戸惑う瞳に近藤の笑顔が映る。左手がそっと握られると再び薬指に唇を押しつけられた。
「久しぶりで緊張してます?」
と、左手首の裏側から上腕の内側へと舌が撫で降りる。
「ぁんん……っや、こん、はぁっ、やだぁ……っ」
 腋の窪みを舌先でくすぐられて妙は身を捩る。くすぐったさに面白いほどよく跳ねていた腰が嬌声とともにくねった。腋に掻く汗をねぶる度にかわいらしい声を上げながら息を乱す。腋から顔を離した口端に涎をこぼしていた近藤は手の甲で拭い、妙を見下ろした。視線が合った妙は顔を逸らして羞恥で唇をへの字に曲げている。
「腋責め、嫌でした?」
 口の片端を上げてにやりと笑う近藤が恨めしい。
「久しぶりで緊張してるのに……腋舐めるなんて……っ」
 あまりに恥ずかしすぎて涙が滲む。妙は泣き出しそうになり、目元を両手で覆った。眼が熱くなる。もっと優しく、それこそ初めて経験するように抱いて欲しいのに。込みあがる涙を抑えようとしながら胸を上下させて深く息をつくと両胸の先に刺激がした。尖った乳首は摘ままれ転がされる。
「はぁあんっ!」
 上げてしまった大きな喘ぎ声に自分で驚いた妙は目元を覆っていた手をどけて近藤を見上げた。胸の形を変えるほどにゆっくりと捏ね繰りまわしながら舌なめずりをしている。
「やっ」
 男の顔をした近藤に急に恥ずかしくなる。
「ああ、すみません……。お妙さんの胸、やっぱり綺麗でかわいいなってつい……」
と、右胸の先を食べるように口に含む。舌で強く嬲ってもう片方の胸先は人差し指の腹で優しく撫でる。
「あぁっ」
 嬲っていた舌が離れて安堵すると一度離れた唇に吸いつかれた。ぴりっとした快感ともう片方の優しい愛撫に全身が粟立つ。緩やかな刺激を壊すように今度は左胸の先に歯を立てられた。右の胸は親指に転がされる。
「やぅ、そんなの、だめぇ」
 乱れた寝間着は腰の帯紐でかろうじて脱げるのを阻止している。肩まで肌蹴た上半身では揺れる淡い桜色が自分の手で色濃くなりつつある。帯紐下に小さく窪んだ臍は妙が呼吸するたび上下し、布面積の小さい下着の両脇結び目は白い腿が擦り寄るたび揺れている。
 近藤は揃えられている膝に触れてから左の太腿に右の手の平を当てた。柔らかく温かい。そのまま足の付け根へと撫で上げる。下着の脇の結び目に指をくぐらせると妙の腰がびくんと揺れた。驚いたのかと彼女の顔を窺う。頬を赤くして恥ずかしそうにしている。新鮮だ。自分がどう動くかわかるくらいには何度も妙を抱いた。なのに、目の前の妙は想定などしていない。初心な気持ちでいい声を上げながら待っている。
 近藤は、妙の下着の紐をくぐらせた中指を下着の線に沿って内腿へと滑らせた。際どいところに触れる指に妙の腰が震える。近藤はそのまま妙の下着の中へ指を潜らせた。蒸れた狭い空間で指の向きを変えるついでに蜜を絡めとってそこへ中指を挿し込んだ。浅く入れたのに妙の粘膜に吸い込まれてしまう。指が根元まで入ると呼吸を整えようと桜色の美しい唇は開かれ、かわいらしい乳房はゆっくり上下し、すっかり立ち上がっている乳首はどちらも甘いぞと誘っている。近藤はひと息ついて右の手の平を妙の足の間に密着させ、中指に力を入れて妙の耳元で言った。
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